近年、「スマート工場」という言葉が取りざたされるようになり、IoTAIなどの技術を試された方もいらっしゃるでしょう。
その中で、デジタル技術の活用そのものが目的化され、ツールを導入することがゴールになってしまうケースも多いのではないでしょうか。
デジタル技術の活用は、あくまでも「生産現場で成し遂げたいことを実現するための手段」でしかありません。

では、デジタル技術の活用の本質はどこにあるのでしょうか。

本記事では、スマート工場推進にあたり、最初に検討していただきたい2つのテーマ「生産現場の改善活動の高度化」と「DXを見据えたデータ蓄積」についてご紹介いたします。

1.生産現場の改善活動の高度化

生産現場の基本的な役割は、生産管理で計画された目標数量を納期までに高品質に製造することです。これを効率良く実現するために、改善活動を続けることが求められています。
改善活動を行う手法は、長い製造活動の歴史の中で確立されています。具体的には、

・「ムリ」「ムダ」「ムラ」という3Mの削減
・「整理(Sorting)」「整頓(Setting-in-Order)」「清掃(Shining)」「清潔(Standardizing)」「躾(Sustaining the Discipline)」という5S活動の推進
・生産の4要素といわれる「人(Man)」「機械(Machine)」「材料(Material)」「方法(Method)」という変化点管理等が挙げられます。

多くの製造業が、改善活動を通じて、生産効率を阻害する「ロス」を顕在化させ、削減して、よりよい製造活動を続けています。

デジタル技術の活用の目的は、改善活動を行い、生産効率を最大化させることが原点であり、今まで取り組んできた活動の目的と同じです。
従来の改善活動との違いは、デジタル技術の活用により今までの改善活動が、もっと楽に、早く、精度を高く実現できること、すなわちこれまでの改善活動を高度化することであり、それこそが、デジタル技術の活用の本質であると考えます。

2.DXを見据えたデータの蓄積

企業におけるDXへの期待が高まっている中で、従来の改善活動高度化のみならず、誰が見てもわかるような変革が求められています。そのようなDXを実現するには大前提として生産現場の蓄積されたデータが必要となります。

サプライチェーンの中で、生産フェーズのDXは着手が遅れる傾向にあります。それは人による記録や古い設備データなどが多く、データの取得が難しいという背景があるのではないかと思います。実際には「生産現場のデータは溜まっている」とおっしゃる方も多くいらっしゃると思います。しかし、このようなケースは、生産現場のデータが、工程単位や目的単位に分断された状態で蓄積されていることがほとんどのため、分断され蓄積されたデータで工程やラインを超えて俯瞰的に工場全体を分析することの難易度の高さに悩まれていることがあります。
DXの実現において、「工場全体で共通化されたデータ」を蓄積していくことが重要になります。

スマート工場で求められることは大きく2つです。

①生産現場の改善活動を高度化すること
②その際に蓄積されたデータを基にしたDXを見据えて、共通化されたデータ構造で実現すること

これから推進される方、すでに取り組まれている方にもぜひこの2つのテーマを検討した上でプロジェクトを進めてみてはいかがでしょうか。

おわりに

弊社では、このような考えを基に様々なジャンルの製造業の皆さまに、スマート工場推進のご支援を行っております。
下記の動画では「ライン生産効率やロス分析の考え方」や「作業者の状況を負担なく取得する方法」など、
具体的な取り組みをご紹介しております。是非ご参照ください。

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ご興味のある方はこちらもご参照ください。

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