加賀実証実験の自動運転EVバス「EVO」

マクニカでは、2024年3月16~17日の2日間、北陸新幹線加賀温泉駅開業記念イベント「加賀未来市.」で自動運転EVバスEVO」の走行体験会を実施しました(加賀市レポートVol.1参照)。それに続く形で4月17日から23日の7日間、EVO」を使って公道でテスト走行する実証実験が行われました。 

実証実験の期間中、EVOご試乗いただいたお客様やイベント関係者の皆様には貴重な意見をいただきました。また、地域の皆様には公道走行中の「EVO」にご理解、ご協力をいただき誠にありがとうございました 

本レポートでは、実証実験の内容や試乗した方のご意見などを紹介します。 

実証実験(公道テスト走行)実施の背景

実証実験の走行中の様子

加賀市では、人口減少や高齢化に伴うドライバー不足が課題となっています。この課題に自動運転技術が活用可能か、あるいは将来的な自動運転バスの導入が可能かについて、2024年4月17日から23日までの7日間、実証実験を実施することになりました。 

実証実験(公道テスト走行)の内容

実証実験の様子

〈概要〉 

日程:2024年4月17日(水)~23日(火)の7日間 
使用車両:自動運転EVバス「EVO」[Gama(旧NAVYA)社製] 
定員:15名
実証実験時乗車人数:10名(乗客8名+オペレータ(セーフティドライバ)と保安員各1名)
最高速度:20km/h 未満
サイズ:全長4,780mm、全高2,100mm、全幅2,670mm 

EVO」は最高速度20km/hのEV仕様(電気自動車)で、ハンドルやアクセル、ブレーキペダルがない車両搭載するセンサーによって車両の安全を確認しながら、設定したルートを自律走行できる自動運転EVバスです。 

 

実証実験で使用した自動運転EVバス「EVO」

 今回の実証実験では、イオン加賀の里店と加賀温泉駅、山代温泉総湯をつなぐ区間を走行しました。 

出発地(イオン加賀の里店)から経由地までの区間をそれぞれ6便運行。 
※運行日程や走行時間によって便数、時間の変更あり 

【自動運転バスの運行スケジュール】 
第1便 10:00~10:50 山代温泉経由 
第2便 11:00~11:35 加賀温泉駅経由 
第3便 11:45~12:35 山代温泉経由 
第4便 13:15~13:50 加賀温泉駅経由 
第5便 14:00~14:50 山代温泉経由 
第6便 15:00~15:35 加賀温泉駅経由 
第7便 15:45~16:35 山代温泉総湯経由 

山城温泉総湯周辺での実証実験の様子

加賀温泉駅からイオン加賀の里店までの2キロと、イオン加賀の里店から山代温泉総湯までの3キロの片道5キロ、往復10キロを「EVO」で走行しました。 

なお、「EVO」が公道を10キロ走る実証実験としては世界最長となります。 

実証実験の様子

イオンでの実証実験取材の様子

実証実験初日となった4月17日(水)は、イオン加賀の里店の駐車場の一角に「EVO」が到着。それに合わせて、加賀市の宮元陸市長をはじめ多くの関係者や報道陣が集まりました。どのような車両なのか、どのようなルートを走行するのかをスタッフが説明し、試乗がスタート。特に想定以上のテレビ新聞各社取材に訪れ注目の高さを実感するものとなりました。 

加賀市長とマクニカへ取材の様子

イオン加賀の里店をスタートした「EVO」は、山代温泉総湯に到着。そこで試乗していた宮元陸市長の記者会見が開かれました。 

試乗した感想について宮元市長は「思っていた以上に快適でした。人口減少に拍車がかかっていますので、いずれは自動化・自律化をしていく公共交通は必須になると思います。実用化にはまだ課題が多いですが、技術革新を進めていただいて、地方の公共交通の支えになっていただきたいと思います」と感想を述べられました。 

実証実験の期間中、平日にも関わらず多くの方に試乗いただきましたが、特に土日は、多くの便で満席になる混雑ぶりでした。20日(土)は天気もよく、交通量が非常に多い中で走行することになりました。また21日(日)は、小雨の降る雲天のため、いくつかの便で1~2名の空席もありましたが、両日とも大きな混乱やトラブルもなく、すべての便でスムーズに運行することができました 

試乗に参加していただいたお客様の客層はとても幅広く、未就学児から年配の方までさまざまな方にお乗りいただきました。 

試乗するきっかけとして最も多かったのは、加賀市のホームページや回覧板を見て知ったという方でした。中には、実際に「EVO」が公道を走行している様子を直接見かけて、試乗を申し込んだという方もおり、市民の関心の高さがうかがえました。 

試乗した方の感想

公道走行中のEVOの様子

試乗した方々に感想を伺いました。 

まず、試乗した方に自動運転バスに乗る前の印象を聞いたところ「安心」「やや安心」「やや不安」という声が多くありました。その後、乗ったあとの印象を聞いたところ「安心」「やや安心」という声が増えていました。実際に試乗することで、多くの方から「和んだ」「不安が安心に変わった」という前向きの意見をいただきました。 

次に「EVO」の外観や車内の雰囲気についても聞きました。その中では「良い」「まあまあ良い」という意見がほとんどでしたが、中には「席が狭い」という意見もありました。今後は荷物置きスペースなどを変更するといった改良も検討する必要がありそうです。 

一方、乗車中の乗り心地についても伺いましたが「良い」「まあまあ良い」と回答してくださった方が多くいらっしゃったものの、急ブレーキや急な停車時などブレーキ操作に対する不満の声を挙げる方もいらっしゃいました。この点についても今後設定変更などの改善が必要な結果となりました。 

加賀市で今後、自動運転の実装(本格導入、通年運行)を期待するかという質問には、試乗したほぼすべての方が「期待する」とお答えいただきました。また、実際に市内で運行が開始した場合、「ルートや時間が合えば利用する」という意見も多くありました。今回の実証実験を通して、加賀市内での自動運転バスに対する興味関心の高さをあらためて実感することとなりました。 

今後の展望

山城温泉総湯に停車中のEVO

今回の実証実験では、試乗した方から多くの貴重なご意見やご要望をいただきました。1週間という短い期間ではありましたが、連日興味関心を寄せていただいたことを実感した実証実験となりました。 

また、加賀市にお住いの方、加賀市で働いている方は自動運転に興味があることも新たな発見でした。今後マクニカでは、加賀市の主要駅を中心に自動運転バスの可能性を探る実証実験を展開していきます。特に山代温泉や山中温泉、片山津温泉といった3つの温泉地に「EVO」のようなモビリティを導入することで、住民の移動はもちろん、観光客の回遊率向上につながることが期待できます。 

加賀市が掲げる「市民と来訪者の移動の自由を確保する『移動最適化都市、加賀市』」というスローガンの実現に向けて引き続き連携していきます。街や地域の特性に応じたポテンシャルを最大限発揮するため、多種多様な産業のイノベーションを支援していきます。自動運転をはじめとする次世代モビリティと都市の産業を用いたスマートシティの実現をサポートします。 

お問い合わせ

マクニカでは、さまざまな地域や施設などにおいて自動運転の実用化を支援しています。自動運転に関するご質問やご不明点などがございましたら、以下よりお気軽にお問い合わせください。