
ある決められたエリアに人や動体などが侵入した場合に、録画したり警報したりするシステムは、いわゆる「侵入検知システム」と呼ばれていますが、このようなシステムは多くの場所に使われています。
監視カメラに代表される、いわゆるセキュリティ用途では、防犯目的で店舗や工場、個人の邸宅まで、幅広く使われています。
最近では街中にいくつも設置され、犯罪調査にも効果を上げています。
また、建設現場や踏切など、立ち入ると危険な場所には、安全監視の用途として様々な侵入検知システムが使われています。
本コラムでは、多様化する侵入検知システムの方式や最先端センサーによる侵入検知システムの構築について解説します。
様々な侵入検知システムの方式
多くの場面で活用されている侵入検知システムには、様々な方式があります。
最も一般的なのは、カメラを用いた侵入検知システムです。これは、カメラ自体が安価になったこと、デジタル化と高速大容量通信により、インターネット経由でリアルタイムに確認したり録画したりといったことが普及の要因です。
さらに、検知だけでなく、AIによる識別など、高度な解析ができるようになり、今後もそうした技術開発や、取得したデータの活用が期待されています。
単なる侵入検知であれば、赤外線レーザーを発光部と受光部の間で遮られたときに検知する赤外線レーザーセンサー、人間の発する赤外線を検知する人感センサーなど、様々なセンサーがあります。
これらは、単機能で導入コストやランニングコストが安いですが、検知距離が短い、複雑な検知・識別ができないなどの特徴がありますので、確実に横切ることで検知するエリアセンサーや、人が近づいたときのみ点灯するライトなどに用いられます。

様々なLiDARセンサー
これらの他に、最近では3次元の空間認識ができるLiDARが注目されています。
これは、赤外線レーザーを発射して、その反射光を受光して距離や位置を測定するセンサーです。
LiDARによって得られるデータは”点群”と呼ばれる3Dデータで、カメラのような画像にも見えますが、それぞれの点が3次元座標情報を持っていますので、カメラ画像と異なり、視点を変更したり対象物までの距離が分かったりします。
これらを監視用途に応用したのがLiDAR侵入検知システムです。
カメラと違い、自ら赤外線レーザーを発射しているので、真っ暗でも検知することが可能です。
また、単なるセンサーではなく、形状が分かるセンサーですので、ソフトウェアで処理することにより、比較的簡単に人間か動物か、人間でも大人と子供などの判別が可能です。
人検知や動体検知するソフトウェアもすでに開発されており、ゾーンを設定し、侵入検知や人数カウント、滞在時間を出力し、人流分析へ応用することも可能です。さらに、一度検知したら動きを追跡・予測することも可能です。
簡単に構築できるLiDAR侵入検知システム

LiDARによる侵入検知システムの構築
実際にLiDARとソフトウェアを使って、エリアの侵入検知システムを構築する手順について、デモ動画と合わせて紹介します。
設定は非常に簡単で、以下の6ステップにて「5分」でできてしまいます。
①ソフトウェア起動
②LiDAR接続
③点群データ表示
④グラウンドレベル(地面となる平面)の設定と自動キャリブレーション
⑤ゾーン設定
⑥環境学習完了すれば設定完了!
デモ動画「5分で侵入検知をやってみた」
LiDAR侵入検知システムの応用
LiDAR侵入検知システムは、単なるエリアへの侵入検知だけでなく、前述の通り人数カウントや滞在時間を追跡ができるので、人がどのように行動しているのか、いわゆる人流分析を行うことができます。

LiDARによる人流分析
多数の人の行動を分析することは、工場では、工程の人の動きの最適化。店舗では、お客様の行動分析による店舗設計や商品陳列の最適化。
スマートシティでは、混雑状況把握や行動分析によるインテリジェントな配車・商品陳列など、さまざまな応用が考えられます。
マクニカでは、こうした応用へのコンサルティングや、伴走型による導入支援を行っております。
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