デジタル化された都市

スマートシティの基本

まずはスマートシティの定義や基本的な考え方について整理します。

スマートシティとは??

スマートシティはICT等の新技術により生活の中に存在する多様なデータを組織・分野横断的に利活用し、社会サービスの高度化など新たな価値の創出を図り、各種の課題解決を実現することで、人々の生活をより豊かにする都市・地域のことです。

新技術により多様なデータを組織・分野横断的に利活用するスマートシティ

スマートシティの概要

例えば、医療の分野では病院への通院において、患者の待ち時間が長いことが課題となっています。そこで、通院時の交通手段となる電車・バスなどにIoTデバイスを設置、バイタルセンシングによって移動中に患者の問診データを事前に計測します。また、患者を輸送する電車・バスなどの位置情報をリアルタイムに病院側に共有します。そして、これらの情報(データ)をAIによって分析し、患者の到着時間や診察時間などを正確に予測することで、病院の運営を効率化し、患者の待ち時間を解消することに期待できます。

このように、スマートシティでは各分野の課題に個別対処するのではなく、複数分野が横断的に連動する全体最適による課題解決を図ります。そして、IoTAIなどの新技術により様々なデータを利活用することで、社会に役立つ新たな機能を創り出し、人々の生活の質の向上を目指します。

スマートシティの基本コンセプト

内閣府が示すガイドラインでは、スマートシティの推進において以下4つの基本コンセプトが重要と考えられています。特に「都市マネジメント」と「都市OS」については、スマートシティ実現の両輪として、最も重要な要素として捉えられています。

スマートシティの4つの基本コンセプトと関係性

スマートシティの基本コンセプト

①利用者中心の原則

“全てのスマートシティに関与する者は、常にスマートシティサービスの利用者を意識してスマートシティの取り組みを進める必要があること“

スマートシティでは、地域住民や観光客、地域企業などサービス利用者が、より便利かつ快適に過ごし、活動できることが本質的な目的です。そのため、スマートシティに関与するすべての人々が利用者中心を原則として、取り組みを進める必要があります。

②都市マネジメントの役割

“スマートシティが持続的に運営され続けるためには、地域全体をマネジメントする機能が必要であること“

スマートシティの推進においては、効率よく開発を進めるために関係者間での情報共有や連携、スマートシティ全体としてのビジネスモデルの設計など、一体感のある取り組みが求められます。そのためには、地域全体を俯瞰的に管理する都市マネジメント機能として、スマートシティ推進組織を実装する必要があります。

③都市OSの役割

“都市 OS を通じてスマートシティサービスを提供することで、データやサービスが自由かつ効率的に連携されること“

都市OSは様々な地域や分野におけるサービスやデータを自由に流通させて利活用できるようにするための基盤(プラットフォーム)として、新たな社会サービスを創出したり、各地域の成果を効率よく横展開することができます。スマートシティでは、都市OSを通じて地域内外にてサービスやデータを横断的に連携させることが必要です。

④相互運用の重要性

“日本全体で効率よくスマートシティ化を推進するためには、他地域や他システムとの相互運用を効率よく行える必要があること“

日本全体のスマートシティを効率よく実現するためには、特定のサービスを相互に横展開し、複数の地域で利活用することが求められます。そのためには、都市OSによるシステム的な相互運用と都市マネジメントによる人的な相互運用の機能を意識して推進する必要があります。

参考:スマートシティリファレンスアーキテクチャ(内閣府)

スマートシティを実現するための仕組み

スマートシティを実現するためには、地域内外において組織・分野横断的なデータの利活用が不可欠です。そのため、自由にデータを流通させ、社会サービスを拡張するための仕組みが求められます。

個別最適から全体最適へ

従来のサービスでは行政と企業や交通とエネルギーなど、各組織・分野に存在するデータのみを用いて、それぞれに特化した個別最適型のサービスとして運用されています。それは、各組織・分野で取り扱われるデータの仕様が標準化されておらず、組織・分野を横断したデータの流通や利活用ができないためです。そこで、それぞれの異種データを標準化する機能をもった「都市OS(データ連携基盤)」を地域の構造に組み込むことが必要となります。これにより、組織・分野を横断して異種データを組み合わせ、全体最適型の新たなサービスを創出することができるようになります。

個別最適型から全体最適型にシフトするスマートシティの仕組み

個別最適型と全体最適型

理想的なスマートシティプラットフォーム

スマートシティでは、自治体や企業、個人などが所要する様々なデータアセットをオープンAPI経由で都市OSに流通させます。そして、仕様の異なる各種データを都市OSを通して標準化することで、データの連携を可能にします。さらに、これらデータのAI分析や可視化など、組織・分野を横断的に利活用することで、新たな価値を創り出します。このような仕組みを地域のプラットフォームとして構築することで、社会サービスの拡張を図り、地域課題の解決に期待できます。

レイヤーと機能で示すスマートシティのプラットフォーム

理想的なスマートシティプラットフォーム

都市OSに求められる役割

スマートシティを実現するためには3つの課題があると言われています。そして、都市OSはそれら課題に対応した特徴をもって設計されており、スマートシティの実現において重要な役割を担います。

スマートシティ実現の課題と都市OSの特徴(要件)

スマートシティの課題と都市OSの特徴

スマートシティ実現の課題

①サービスの再利用・横展開ができない

従来のサービスでは、各地域の組織や分野ごとに個別特化したシステムを構築しており、他地域への横展開や再利用が簡単ではありません。

②横断的なデータ利活用ができない

社会に存在する様々なデータは、特定用途の固有データとして独立しているため、組織・分野を横断したデータの利活用を難しくしています。

③機能拡張によるサービス改善ができない

個別特化したシステムでは、機能拡張によるコストや労力が大きくなり、継続的にシステム更新ができず、容易にサービスを改善することができません。

都市OSの特徴(要件)

①相互運用(つながる)

地域内外のサービス連携や各地域における成果の横展開を可能にするため、共通的な機能や標準的なインターフェースを備え、外部に公開することが必要になります。

②データ流通(ながれる)

地域内外の様々なデータが分野や組織を横断して自由に流通することができるように、異種データを標準化し、仲介することが必要になります。

③拡張容易(つづけられる)

地域のニーズ変化や方針変更などに対応し、持続的に維持・発展し続けるため、容易に機能拡張や更新をできることが必要になります。

参考:スマートシティリファレンスアーキテクチャ(内閣府)

スマートシティ向けソリューション

マクニカの提供するスマートシティ向けソリューションをご紹介します。

Expolis Cloud Platform(エクスポリス・クラウド・プラットフォーム)

地域のデータ流通を加速するスモールスタート型の都市OS

Expolis Cloud Platformは地域の「データ流通」をスモールスタートで始めることができる都市OS(データ連携基盤)です。自治体において地方人口ビジョンや施策を検討する上で、都市部では充足しているソリューションや企業の情報が、経済合理性などの理由から地方自治体に行き渡っていない、地方自治体間での共有環境がなく他自治体におけるベストプラクティスを把握できないといった課題があります。Expolis Cloud Platformを活用することで、地域課題施策の策定から導入までの時間的・人的コストを削減し、自治体が高額な導入コストを負担せず、低コストでDXに着手し、持続可能な地域社会の実現の一助となることを目指し、地域課題を解決します。

自動運転実証実験支援サービス

自動運転の実証実験をトータルサポート

自動運転実証実験支援サービスでは、自動運転の実用化に向けた実証実験を支援します。ご要求やユースケースに合わせて、最適な自動運転車両・システムの提供、技術・運用における検証項目や調査方法の設定、関係各所の調整や実施ガイドラインの策定、現地の画像・センサー情報から自動運転プログラムの生成、実証実験期間中の運営業務や最終的な検証結果の報告までトータルサポートします。

MaaS支援サービス

スマートモビリティの実用化をトータルサポート

MaaS支援サービスでは、自動運転車両などのスマートモビリティを活用したサービスの実用化を支援します。お客様の要求に合わせて最適な車両・システム構成の提案、実証実験などの事前検証、自動運転の実装作業、運用における保守メンテナンス、導入効果の最大化までトータルサポートします。様々なユースケースに合わせて、最適なサービスモデルを設計し、スマートモビリティの活用を実現します。

LiDAR認識アルゴリズム開発支援サービス

LiDARデータの収集から物体認識ソフトウェア構築までトータルサポート

LiDAR認識アルゴリズム開発支援サービスでは、LiDARデータの収集から物体認識ソフトウェア構築までトータルサポートします。お客様のご要求に合わせて、車、歩行者、自転車などの対象物を点群から認識する最適なシステムを提供します。また、 特定エリアへの侵入検出や歩行者の人数カウントなど、ユースケースに応じて出力情報を柔軟に調整することが可能です。これによりお客様のシステム開発に要する工数や時間、費用を削減し、早期の市場投入を支援します。

衛星データ活用支援サービス

衛星データを活用した地域課題の解決を支援

衛星データ活用支援サービスでは、SAR(Synthetic Apeture Radar)と呼ばれるレーダーを搭載した衛星のデータを活用することで、地盤変動の観測や災害時の被害状況の把握、森林の状態監視など、地上の状況をリアルタイムに観測することで、様々な地域課題の解決を支援します。

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