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自動運転EVバス

マクニカとNTT西日本グループは2025128日、「次世代モビリティDAY 2025 Premium ~地域交通を変革する、自動運転の力~」を合同で開催しました。

会場となった大阪・QUINTBRIDGEには100名近い皆様にご参加いただきました。ご多忙の中、ご参加いただいたお客様、さらには開催にご協力いただいたイベント関係者の皆様におきましては貴重なご意見、ご支援をいただき、誠にありがとうございました。

QUINTBRIDGE
QUINTBRIDGE会場

本レポートでは、次世代モビリティDAY 2025 Premiumの講演内容の詳細と、試乗体験、展示体験・相談コーナーの様子などをご紹介します。

「次世代モビリティDAY 2025 Premium」実施の背景

QUINTBRIDGE会場

近年、地方都市を中心に、人口減、少子高齢化、働き手・ドライバー不足などで移動の利便性不足や採算性の悪化による公共交通の維持が難しくなっています。そこで、マクニカとNTT西日本グループは、互いの強みを活かして課題解決に尽力してきました。マクニカが持つ自動運転EVバスの実装活動・技術の知見・ノウハウとNTT西日本グループが持つ地域密着型のサポート力を合わせてソリューションを提供することで、地方都市が抱える公共交通の課題を解決するための自動運転の社会実装を支援してきました。

マクニカとNTT西日本グループは、自動運転EVバス活用の企画提案から将来的なレベル4運行まで、ワンストップで提供可能な体制を構築しています。地域とモビリティの進化に向けた共創を積極的に展開し、地方自治体を対象に自動運転EVバスソリューションを提供することで事業拡大を図ってきました。こうした取り組みを広く周知するため、合同イベント「次世代モビリティDAY 2025 Premium ~地域交通を変革する、自動運転の力~」を開催することとなりました。

本イベントでは、自治体講演、自動運転EVバス レベル4の試乗体験、遠隔運行管理システムのデモ展示など、さまざまなプログラムを用意しました。まちづくりに関わるすべての方々に、次世代モビリティの活用による課題解決、地域活性化の創出のきっかけを提供するイベントとなりました。

「開会挨拶・オープニングセッション」

・登壇者:株式会社マクニカ スマートシティ&モビリティ事業部 可知 剛
・登壇者:NTTビジネスソリューションズ株式会社 バリューデザイン部 宮崎 一 氏

可知は、マクニカが約50地域で自動運転バスの実証実験に関わり、そのうち6地域で定常運行となっていることについて説明しました。

「車両の販売だけでなく、定常運行を実現し継続させるために、生成AIなどの先進技術や多様なネットワークを活かして、利用者を増やしていくことに尽力しています。自動運転車両の次世代モデル『EVO3』では、信号協調認識や障害物回避機能などが強化されることに加えて、NTT西日本グループとの資本提携を強化したことで車両の導入と機能拡張を加速させ、自治体の課題に対応していきたいと考えています。」

マクニカ可知

本イベントの会場では、内閣府や定常運行中の常陸太田市、実証中の嬉野市と直接意見交換ができるブースを設けていることもアピールしていました。

宮崎氏は、NTT西日本グループがフランスの自動運転車両メーカーNavya社へ出資したことで、日本仕様の自動運転技術の開発を加速させ、自治体への提案や構築、運用といったワンストップ対応を可能にしていることなどを説明しました。

宮崎様

NTTビジネスソリューションズ 宮崎 一 氏

2023年度に国土交通省採択の事業として12自治体以上で実証実験に参画しており、コンサルから運営までを総合的に支援しています。今後はバス利用予約システムのアプリや、医療MaaS、物流、物販サービスと連携していくことも見据えています。高齢者の移動手段や観光客の誘客、物流、医療アクセスなどの幅広い領域をカバーし、自動運転を起点にオンライン診療や地域物流とも組み合わせ、地方と都市部の格差是正を目指していきます。」

「常陸太田市における自動運転EVバス定常運行の取り組みについて」

・登壇者:茨城県 常陸太田市 企画部 部長 柴田 道彰 氏

茨城県 常陸太田市 柴田道彰 氏

茨城県 常陸太田市 柴田道彰 氏

常陸太田市は、人口減少に加えてバスの運転手不足、山間地域の買い物までのアクセスの悪さなどが課題となっていました。その対策に繋げるための自動運転EVバスの導入の検討、実証実験から定常運行に至るまでの流れを紹介しました。

常陸太田市では、2017年度と2019年度に国土交通省が実施する『中山間地域における道の駅等拠点の自動運転サービス実証実験』に参加。2022年度には『未来技術社会実装事業』に選定され、20232月に本格的な自動運転EVバスの実証実験を実施。20242月には、Navya社の『EVO』を購入し、市役所から商業施設とその周辺約3.3km14便、毎日無料で定常運行しています。

自動運転EVバスで商品を運搬し、山間部の受取ボックスへ届ける貨客混載実証実験や、バスの位置情報をリアルタイムで配信するバスロケーションシステムなどに取り組んでいます。さらに、2024年度内に運行ルートを約3.3kmから約7kmに拡充することが決定しています。今後とも「安全確保とスムーズな運行の両立を図りながら利用者の増加を目指します。」と意気込みを語りました。

今後は、自動運転レベル4認定への取り組みとして、一部区間からの実現を目指し、近隣自治体との連携により、広域の移動利便性の向上と地域活性化を狙っていきたいとも話していました。

「自動運転実証実験から見えた課題と可能性 ~自動運転の地域実装に向けた嬉野市の挑戦~」

・登壇者:佐賀県 嬉野市 建設部 新幹線・まちづくり課 課長 馬場 孝宏 氏

佐賀県 嬉野市  馬場 氏

佐賀県 嬉野市 馬場孝宏 氏

嬉野市は、コロナ禍で観光客が減少し、お茶の生産も減り若者の転出なども加速していました。そんな中、新たに新幹線が開業し、嬉野温泉駅と道の駅が同時にオープンすることになり、交流人口拡大の契機と見込みました。そこで嬉野市は、自動運転EVバスを活用して、観光地をコンテンツ化し、観光客の周遊性を向上させ中心市街地の活性化を目指すことになりました。

2023年度から、自動運転バスの実証実験として嬉野温泉駅から中心市街地、嬉野温泉バスセンターの区間を運行しました。2024年度には、停留所を8箇所に増設。夜間運行などにも挑戦しています。」

実証実験の成果として、自動運転バスへの試乗を目的に市外から多くの来訪者があったことを説明。

「自動運転バスが観光コンテンツになり、誘客効果が期待できることを実感しました。さらに、店舗と連携した地域活性化にも尽力し、バス利用者に500円引換券を配布しました。そのうち半数近い乗客が店舗を利用していただき、自動運転と商店街の連携が地域経済の活性化につながったと実感しています。」

その一方で、路上駐車が原因で自動運転バスの操作を手動介入することになったことや、まだまだ観光客や他エリアからの来訪者への周知が不足しているという課題も浮き彫りになったと振り返ります。安全に走行するためにはさらなる啓発活動や規制、協力が不可欠であることも認識したとの説明がありました。

「今後は、自動運転をまちのシンボルとして、駅から商店街、旅館街への送迎・周遊サービスを拡充し、店舗や観光情報などを積極的に発信していきたいと考えています。車の通行量が少なく安全なまちづくり『トランジットモール化』を推進していき、地域のブランド力を高める観光コンテンツにしていきたいと思っています。」

自動運転EVバス レベル4の試乗体験

自動運転EVバス

会場となったQUINTBRIDGEに隣接する駐車場では、自動運転EVバス「EVO」によるレベル4試乗体験が行われました。

駐車場(1周500m程度)を10km/hで自動走行するコースを用意し、バス停での乗降をデモンストレーションしたり、歩行者の突然の飛び出しで急停止する状況を再現したりするテスト走行も実施されました。

試乗車として用意したEVOは、特定の環境下で自動運転システムが車両を制御し、ドライバーがいなくても走行可能な「自動運転レベル4」に対応した最新型車両で、すでに常陸太田市ではEVOによる定常運行が始まっています。

自動運転レベル4運行において、走行に必要なデータの取得、セットアップ、技術的取得データを提供し、車両の走行データを遠隔運行管理システム「everfleet」に連携させることで、EVOの走行情報をリアルタイムで離れた場所から確認することが可能です。

試乗された方には、EVOeverfleetの両面から自動運転レベル4を体験いただきました。

自動運転EVバス
自動運転EVバス

車内には、乗車体験の向上を目的に、生成AIによる対話型コンシェルジュサービス「アバターEVバスガイド」を実装しています。乗客に最適な運行案内とあたたかみのあるガイド体験を提供します。乗客の興味関心に合わせたコミュニケーションにも対応しています。

自動運転EVバス

「内閣府地方創生推進事務局 相談ブース」

イベント会場では、自治体が抱える課題を解決するための未来技術活用についての紹介ブースが設けられました。

内閣府が支援する「未来技術社会実装事業」の取り組みについて紹介され、スマートシティの推進に向けた取り組みなどが説明されました。多くの自治体が、未来技術を活用した地域課題の解決、新しいまちづくりの可能性を探っていました。

内閣府地方創生推進事務局 相談ブース
内閣府地方創生推進事務局 相談ブース

「常陸太田市・嬉野市 直接相談コーナー」

講演を行った常陸太田市の担当者様と直接顔を合わせながら意見交換ができるブースも設置されました。来場者様は、自動運転バスの導入の経緯や、成果、課題などを直接質問したり、参考になる情報を交換し合ったりしていました。

常陸太田市直接相談コーナー

嬉野市も常陸太田市同様のブースを設け、まちづくりで困っていること、悩んでいることなどを市の担当者様に直接相談できるブースを展開しました。嬉野市の取り組みの事例をより詳しくご紹介したり、互いに理解を深めたりする交流の場となりました。

嬉野市 直接相談コーナー

「マクニカ・西日本グループ展示」

everfleet
everfleet

マクニカは、隣接する駐車場で行われている自動運転バスの試乗の様子をリモートで確認できる遠隔運行管理システム「everfleet」を展示しました。

everfleetは、使用状況に応じてシステムの連携と機能拡張が可能で、見やすくカスタマイズできるUIが特長です。運行管理画面には、車両の速度などの基本情報に加え、目的地、到着時間、遅延情報なども表示できます。さらに、車内外に設置されたカメラにより、社内の乗客の様子や車内の道路状況も把握できるようになっています。

自動運転レベル4で走行している車両を、遠隔でどのように管理できるのかを、実際に体験していただきました。

everfleetには自動運転車両の管理や制御に必要なすべての機能と拡張性を備えています。ニーズに応じたカスタマイズによって、あらゆる利用シーンで自動運転車両の導入をサポートします。

デジタルマップ
デジタルマップ

まち全体の広域エリアから建物内のフロアマップまであらゆる地図をデジタル化し、ガイドマップとして運用できる「デジタルマップ」のデモンストレーションを披露しました。

GPSトラッカーやGTFS(バス事業者と利用者との情報受け渡し共通プラットフォーム)との連携によって、移動体の位置や混雑状況、待ち時間などの動的情報をマップ上に滑らかに表示可能です。

デジタルマップを構築し、デジタルスタンプラリーや施設の予約決済、電子クーポンの発行などが行えるため、エンドユーザーの回遊性を高め、にぎわいの創出に貢献します。

デジタルマップによって、自動運転バスの位置情報はもちろん、周辺店舗の詳細情報などを確認できる利便性を来場者の方に体感していただきました。

アバトレ
AVACOM

アバターAIロープレ支援サービス「アバトレ」やアバターオンライン接客サービス「AVACOM」を紹介する展示ブースでは、実演形式でアバターを体験できるコーナーを設置。来場者様には、飲み物などを提供する際の接客を再現したデモンストレーションの体験や、アバターの仕組みについて説明を受けていただきました。

自動運転EVバス専用の予約システム「バスきて」を紹介するブースでは、直感的なバックオフィス機能を備え、決済システムやMaaSシステム、都市OSなど、さまざまなシステムと連携できる高い拡張性を持っていることなどが紹介されました。

次世代モビリティDAY 2025 Premiumでは、自動運転EVバスの導入において先行している常陸太田市と嬉野市から、導入の経緯や成果、見えてきた課題など、当事者だからこそいえる貴重な体験談を紹介していただきました。ご参加いただいた多くの自治体や関係者のみなさまにとって参考になる内容だったことと存じます。

自動運転EVバス

マクニカとNTT西日本グループは、互いの技術力と地域密着のコンサルティング、社会実装力を活かして、地域交通の課題を抱える自治体様向けの次世代地域交通システムを確立するための支援を実施していきます。

今後も自動運転への理解をさらに深めていただくために、こうしたイベントを開催し、導入事例などを紹介して、持続可能な地域社会づくりに貢献してまいります。

集合写真

お問い合わせ

マクニカでは、さまざまな地域や施設などにおいて自動運転の実用化を支援しています。自動運転に関するご質問やご不明点などがございましたら、以下よりお気軽にお問い合わせください。