
マクニカとNTT西日本グループは2024年8月29日、「次世代モビリティDAY 2024 ~地域交通を変革する、自動運転の力~」を合同で開催しました。
当日は、リアル開催の会場となった大阪・QUINTBRIDGEのほか、オンラインでも同時配信され、多くのお客様にご来場いただきました。
台風の接近・上陸が予想され、足元が大変悪い中、会場に直接ご来場いただいたお客様、またご多忙の中、オンライン配信でご参加いただいたお客様には、心より感謝申し上げます。

本レポートでは、イベントに先立って行われた報道陣向けのメディアセッションと、次世代モビリティDAY 2024の講演内容、試乗会の様子などをご紹介します。
「次世代モビリティDAY 2024」実施の背景

マクニカとNTT西日本グループは、自動運転分野において、地域に密着した伴走型のサポート力と自動運転技術のノウハウを持ち合わせ、両社の強みを補完し合ってきました。互いに協力してソリューションを提供することで、地方自治体における自動運転の社会実装を支援しています。
そうした中で、マクニカは「滋賀県自動運転社会実装推進事業コンソーシアム協定」を締結し、国土交通省「地域公共交通確保維持改善事業費補助金」への応募を行い、採択通知を受けました。滋賀県、NTT西日本グループ、NTTビジネスソリューションズを含めた4社が自動運転分野で協力関係を築き、滋賀県における自動運転技術に適した地域やニーズの洗い出しや、今後の可能性を検証する取り組みなどを実施しています。
マクニカとNTT西日本グループは、自動運転EVバス活用の企画提案から将来的なレベル4運行まで、ワンストップで提供可能な強みを活かして、地域とモビリティの進化に向けた共創を積極的に展開しています。こうした取り組みを幅広く周知し、理解を促進するため、リアル会場とオンライン配信で参加できる合同イベント「次世代モビリティDAY 2024」を開催することとなりました。

本イベントでは、基調講演やパネルディスカッション、自動運転EVバスの試乗会(※)、遠隔監視システムのデモ展示(※)など、様々なプログラムを用意。まちづくりに関わるすべての方々に、次世代モビリティの活用による課題解決、地域活性化の創出のきっかけを提供するイベントとなりました。
(※についてはリアル会場のみ)
メディアセッション「マクニカのスマートモビリティ事業」&「NTT西日本グループの自動運転EVバス事業」報道陣向け説明会

マクニカとNTT西日本グループは、自動運転ソフトウェアの開発や車両実装、運用を手掛ける「Navya Mobility SAS」(ナヴィア モビリティ)(以下、Navya)への出資に関する契約を締結しています。今後は自動運転サービスの社会実装をさらに加速させ、地方自治体における社会課題解決に貢献することをあらためて強調しました。

NTTビジネスソリューションズ株式会社 バリューデザイン部 宮崎 一 氏

株式会社マクニカ スマートシティ&モビリティ事業部 可知 剛
両社は、Navyaにおける自動運転車両とシステムの開発スピードを向上していきます。加えて、NTT西日本グループのサプライチェーンを活かし自動運転システムをトータルで提供できる体制を強化。顧客ニーズに合わせたシームレスなスキームを確立することで、自動運転EVバスを全国の自治体へ拡大し、民間企業での導入を推進していくロードマップも公表しました。
「開会挨拶・オープニングセッション」
~これまでの取り組みやビジョンをトップが解説~
・登壇者:西日本電信電話株式会社 代表取締役社長 北村 亮太 氏
・登壇者:株式会社マクニカ 代表取締役社長 原 一将

NTT西日本 北村 亮太 氏

マクニカ 原 一将
スマートシティのパイオニアであるNTT西日本グループと、自動運転EVバスで世界をリードするマクニカは、自動運転分野における戦略的提携について説明しました。
北村氏は、2023年8月から両社で自動運転分野における戦略的提携を展開していることを説明し、「両社の得意領域を持ち寄り、課題解決の一歩を踏み出しました。スマートシティ実現に向けたサービスをワンストップで提供していきます」と話しました。
原はNTT西日本グループとの連携によって、西日本エリアにおける自動運転の地域の拡大が顕著に表れていることを説明し、「スマートモビリティ分野でNTT西日本グループ様と手を取り合って、モビリティ先端技術が皆様のものとなるようしっかりと創り上げていきます」と決意を述べました。
「自動運転の本格実装に向けた取り組みについて」
~日本国内における自動運転の現状と課題~
・登壇者:国土交通省 物流・自動車局 自動運転戦略室長 家邉 健吾 氏
自動運転がどこまで進んでいるのか、日本国内における現状と課題について、家邉氏が解説しました。同氏は海外の事例をもとに「自動運転を導入することで、安全性の向上が期待できる」と話します。例えばアルファベット社傘下の自動運転車開発企業「ウェイモ(WAYMO)」では、傷害事故が89%も低減したというデータを紹介。人間が運転する車両に比べ、自動運転車の事故発生率が大幅に減っていることを説明しました。
さらに、自動運転レベル4の本格実装に向けた法規要件策定や各自動運転事業への支援など、今後の取り組みなどについても言及しました。
「北海道当別町における自動運転導入に向けた取り組みとまちづくり」
~自動運転でまちの少子高齢化・人口減少に立ち向かう当別町の戦略~
・登壇者:北海道当別町 企画部 部長 垂木 裕 氏
道内の中心である「札幌圏」に位置する当別町は、地元企業とともに設置した新駅周辺の「新しいまちの顔づくり」を推し進めています。その一環として、自動運転の導入に向けた取り組みを展開しています。
垂木氏は「自然豊かな環境で、最先端技術を体験できる周遊空間の創出を目指し、人や企業の呼び込みに積極的に取り組んでいます」と現状を説明。自動運転導入の経緯や今後のまちづくりの展望を紹介しました。
「まちづくりにおける自動運転が果たす役割」
~ディスカッション形式で自動運転の未来や展望を語る~
・登壇者:呉工業高等専門学校 環境都市工学分野 教授 神田 佑亮 氏
・登壇者:NTTビジネスソリューションズ株式会社 バリューデザイン部 宮崎 一 氏
・登壇者:株式会社マクニカ スマートシティ&モビリティ事業部 可知 剛
神田氏は「モビリティには、①人を運ぶ交通手段としての価値、②外出を促進し地域経済を循環させる効果、③地域の価値を高める効果、④イノベーションや新規ビジネスの触媒となる効果があります」と解説。その上で、自動運転の導入には、「①のように単なる移動手段としての価値だけにフォーカスしがちだが、それ以外の②~④のほうがかなり大きな価値と効果をもたらす」と、モビリティを導入するメリットについて話しました。

宮崎氏は、地域交通課題を分析した取り組みを紹介。岡山県真庭市内のバスの16ルート毎の地域住民や乗客にアンケートを実施し、住民が自動車に依存していることや、公共交通バスは赤字で減便、ルート変更などによる縮小傾向にあることなどを説明しました。同氏は「買い物などのサービスとかけ合わせた収益を確保することが重要で、そのための技術提供を促進していきます」と語りました。

可知は、同社が全国で定常運行、実証運行している自動運転EVバスの稼働状況などを紹介し「地域ごとに異なる環境や課題を考慮し、その場所に合わせた次世代地域交通の確立、まちの魅力度向上につなげられるような取り組みを推進していきます」と説明しました。

3者によるディスカッションでは、自動運転導入を検討するにあたって、地域ごとのニーズや全国各地の成功事例をもとに具体的なアイデアを共有することを再確認しました。全国で自動運転EVバスの定期運行を実現するための議論を深めました。
「NTTグループの自動運転支援サービス~参入の背景と今後の狙い~」
~NTTとMay Mobilityの戦略的取り組みとは~
登壇者:日本電信電話株式会社 担当部長 永宮 雅晴 氏
物流における2024年問題で深刻化する人手不足の解決策として、日本国内独占販売権を獲得した、米国の自動運転テクノロジー企業である「May Mobility」との取り組みを紹介。続けて永宮氏は、車両・自動運転システム・通信ネットワーク・遠隔監視など「自動運転サービス普及の仕組みを、NTTグループから提供していきます」と説明しました。
さらに「地域密着の課題解決力を武器に、地域が抱える交通課題だけでなく、経済、健康、福祉などの面からも幅広い取り組みを展開していきます」と今後の展望を話しました。
自動運転EVバスの試乗会

リアル会場となったQUINTBRIDGEでは、自動運転EVバス「EVO」による来場者向け試乗会を開催しました。

会場併設の駐車場(1周400m程度)を5km/hで自動走行するコースを用意し、バス停での乗降をデモンストレーションしたり、歩行者の突然の飛び出しで急停止する状況を再現したりするテスト走行が行われました。


車内には、乗車体験の向上を目的に、生成AIによる対話型コンシェルジュサービス「生成AIアバターコンシェルジュ」を搭載。乗車案内はもちろん、日常会話なども可能で、ローカルサーバーに固有の情報を保存し、地域のイベント情報などの発信に使用するといったカスタマイズにも対応しています。

QUINTBRIDGEの会場内には、大型モニターが設置され遠隔監視システム「everfleet」による自動運転EVバスの運行管理画面をリアルタイムで表示。モニターで走行している車内の様子や、車両の位置などを来場者の方々に確認していただきました。

そのほか、会場ではNTTビジネスソリューションズの都市データ可視化ツール「みんなのまちAI」や、パナソニック コネクトの「路側カメラにおける先読み情報取得技術」、マクニカのオリジナルデジタルマップ作成支援サービス「デジタルマップ」などを展示・紹介しました。

マクニカとNTT西日本グループは、2024年度の国土交通省「地域公共交通確保維持改善事業費補助金(自動運転社会実装推進事業)」において10事業以上採択いただきました。これからもマクニカの技術力とNTT西日本グループの地域密着のコンサルティング、社会実装力を活かし、次世代地域交通システムの確立に尽力していきます。
また、今回の「次世代モビリティDAY 2024」を通して自動運転サービスの現状や可能性を広く周知することができました。今後も自動運転への理解をさらに促していくため、こうしたイベントを積極的に開催し、持続可能な地域社会づくりに貢献していきます。
次世代モビリティDAY 2024 ご参加いただいたお客様の声
本イベントでは、来場者(オンライン参加者含む)の方々にアンケートを実施しました。ご参加いただいたほとんどのお客様が、講演の内容に「満足」あるいは「大変満足」とご回答いただきました。
その中でも、国土交通省や北海道当別町が実施している取り組み、3者によるパネルディスカッションはとても有意義なセッションだったという声が多数寄せられました。
そのほか、「全国でマクニカとNTT西日本が行っている先進的な取り組みについて理解することができました」といった声や、「実際に自動運転EVバスに試乗することができ、導入のイメージが膨らみました」といった好意的なご意見が寄せられました。さらに、「実証実験について検討したい」「具体的に相談したい」といった導入を前提とした前向きなご意見も複数ありました。
その一方で、「事故が少なくなるという実績をもっとアピールすべきだ」といったご意見や「導入にはまだハードルがあり難しそう」「早期に実用化できるような段階になってほしい」「同様のイベントを関東でも開催してほしい」といったご要望もありました。こうしたご要望も真摯に受けとめ、引き続き有意義なイベントになるように努めてまいります。

お問い合わせ
マクニカでは、さまざまな地域や施設などにおいて自動運転の実用化を支援しています。自動運転に関するご質問やご不明点などがございましたら、以下よりお気軽にお問い合わせください。