南城市自動運転EVバス実証実験

マクニカでは、2024223日から229日にかけて、沖縄県南城市にて自動運転EVバス(手動運転走行)と路車協調を連携させた実証実験を実施しました。

本イベントのご来場者様やイベント関係者におきましては、貴重なご意見やご支援を誠にありがとうございました。

本コラムでは、実証実験の内容や結果について詳しくレポートします。

実証実験の背景

南城市では、地域社会のさらなる活性化に向けて「地域住民向けの持続的な地域交通手段の維持」および「観光客向けの二次交通手段の拡充」が課題となっています。

これらの課題に対して、新しいモビリティの活用と同時にAIカメラ・センサー等を活用したリアルタイム交通情報を活用することで、より安全かつ効率的な遠隔監視を可能とし、安全性の高い自動運転モビリティシステム構築を目指しています。

そこで今回、将来的レベル4実現に必要となる要素としてセカンダリアクティビティ検証の公道実証実験を実施しました。

実証実験の内容

南城市を走行する自動運転EVバス

実証実験では、知念岬公園から世界文化遺産である斎場御嶽を結ぶ片道1Kmの区間にて、地域住民や観光客の方々などを対象に実施しました。

なお、この実証実験は、西日本電信電話株式会社様、NTTビジネスソリューションズ株式会社様にて実証実験に関わる準備、運営、効果検証を行っていただき、マクニカでは、自動運転EVバスの実装、運行の支援、関連システムなどを準備・提供しました。

南城市走行ルート

〈概要〉
日程:2024年2月23日(金)~2月29日(木)
時間:10時00分~17時00分(1日7便)
運行区間:知念岬公園~斎場御嶽を往復するルート(片道1km)
車両:Gama(旧NAVYA)社 ARMA(自動運転EVバス)
定員:9名(ドライバー1名を除く)
運賃:無料

自動運転車両にはGama(旧NAVYA)社製の自動運転EVバス「ARMA(アルマ)」を使用しました。

ARMAは最高速度19.8km/hのEV仕様(電気自動車)で、ハンドル・アクセル・ブレーキがなく、搭載するセンサーによって周辺の安全を確認しながら、事前に設定したルートを自立的に走行します。

今回の実証実験においては歩行者等の安全性を確保するために、運行は手動で走行いたしました。

また、ドライバーが同乗するかたちでの運行となりましたが、将来的な無人での運行を想定して、遠隔地のオペレータが自動運転車両を運行管理する「遠隔監視」を試行的に運用しました。

走行する自動運転EVバスの車両データ(車速、回転数、ステアリング蛇角など)やセンサーデータ(位置情報、カメラ映像など)、走行ルート上に設置したカメラやセンサーデータをクラウド経由で統合し、がんじゅう駅に設置した遠隔監視室のディスプレイに可視化しました。

遠隔地からリアルタイムに自動運転EVバスの運行状況を確認することで、安心・安全にオペレーションすることができました。

実証実験の様子

実証実験の結果

計7日間の実証実験では、乗車いただいた方を対象に544件のアンケートを取得させていただきました。

アンケート結果より本実証で運行したルートの移動需要は高く、自動運転バスの乗り心地、安全面においても評価いただける回答となりました。

同じルートを自動運転バスが走る場合、あなたは乗りますか?

アンケート結果1

【結果・考察】

98%以上が「乗りたい」、または「季節によっては乗りたい」と回答していることから、本実証で運行したルートでの移動需要は高いと考察できます。

バスの乗り心地はどうでしたか?

アンケート結果2

【結果・考察】

92%以上が「良い」、または「普通」と回答していることから本実証期間中の運行品質は高水準であったものと考察できます。

乗車中に不安を感じましたか?

アンケート結果3

【結果・考察】

95%以上が乗車中に不安を感じていないことから、本実証では十分に安全な水準で運行できたといえます。

乗車中に不安を感じる方も約5%いたことから、さらなる運行品質向上に向けた検討の余地があると考察できます。

セカンダリアクティビティの実証実験結果

リアルタイム交通情報マネジメントシステムを用いて安全性向上を図った状況下で、自動運転車両の走行中に遠隔監視者が実施可能な遠隔監視以外の行為を実施し、リアルタイム交通情報マネジメントシステムからの通知に対する反応時及び判断に要した時間を測定し、遠隔監視者に対してのアンケートも実施しました。

スマートフォン、パソコンを利用した情報検索、メール確認・返信についてはリアルタイム交通情報マネジメントシステムからの通知後5秒以内に知覚はできていたが、WEB会議や一定脳に負荷のかかる作業については10秒程度の時間を要しました。

結果としては食事、スマートフォンやパソコンを用いた情報検索、メール確認・返信、WEB会議(発言や資料説明を実施しない場合)、および資料作成については、遠隔監視業務の品質を保ちながら実施することができました。

セカンダリアクティビティ

今後について

マクニカでは、今回の実証実験の結果を踏まえ、南城市様及び関係各社様と連携し、南城市における自動運転サービスの実用化に向けて、引き続き、ご支援をさせていただきます。

南城市で使用した自動運転EVバス

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