
マクニカは、茨城県常陸太田市での自動運転EVバスの定常運行を目指し、自動運転交通システムの構築を支援してきました。そうした中、同市では、2024年2月16日から自動運転EVバスの定常運行を本格的に開始しました。市役所や2023年にオープンした商業施設内を、片道約1.6kmに渡って結ぶルートを走行します。
運行は週7日を基本とし、1日8便、午前10時頃から15時頃にかけて走行します。走行ルートには「常陸太田市役所」のほか、「フォレストモール常陸太田」や「カインズ常陸太田店」など5ヵ所の停留所を設置しています。
出発式の実施にあたってご協力いただきました関係者の皆様、実際にご乗車いただいた皆様におきましては、ご協力、ご支援、ご理解をいただき誠にありがとうございました。
本コラムでは、定常運行開始日に行われた出発式と、午後から一般の利用客に開放された定常運行の様子をレポートします。
自動運転EVバス導入の背景

常陸太田市では、商業や業務用地の整備が進められている「東部地区」で多様な移動ニーズに対応するための交通システムの構築が求められていました。また、東部地区を中心とした市内全域の魅力を向上させるため、環境に配慮した交通システムや次世代技術を融合させた活気ある街づくりの推進が急務となっていました。
そこでその街づくりの一環として、マクニカは関係各社と連携し自動運転の導入の支援を進め、レベル4の運行に対応したNAVYA社製自動運転EVバス「EVO」を活用した自動運転サービスの実用化が実現したのです。
自動運転EVバスを定常運行させるにあたりマクニカは、「EVO」の運行や、自動運転走行に必要なデータの取得、セットアップ、技術的資料などを提供。さらに、マクニカ製遠隔モビリティ管理システム「everfleet(エバーフリート)」を導入し、EVOの走行データを連携させることで、運行情報をリアルタイムで確認できるようになりました。
定常運行の主な走行ルートは、ショッピングモールなどの商業施設を回遊します。そのため、ルート上にあたる各施設や自治体アプリとの連携も視野に入れ、常陸太田市行政情報アプリ「じょうづるさんナビ」を通して、自動運転EVバスの位置情報の提供や、バス停周辺の店舗情報などを可視化したデジタルマップの提供を可能にしました。
定常運行の内容

常陸太田市の自動運転EVバスは、同市役所や2023年にオープンしたショッピングモール「フォレストモール常陸太田」などを回遊し、片道約1.6kmに渡って結ぶルートを走行します。
〈概要〉
・運行開始日:2024年2月16日(金)より
・運行日:週7日運行
・自動運転車両:EVO(レベル4対応車両)1台
・自動運転車両定員等:乗車定員10人(座席9人、オペレータ1人)、運行速度18km/h
・自動運転車両デザイン:通行人や他のドライバーにもわかりやすく目立つようにピンクをベースとしたラッピングデザインを採用
・自動運転車両の愛称:愛称を募集し131点の応募の中から世矢小学校3年生の押手祐好さんの「じょっピー」が最優秀賞に決定
「じょうづるさん」の「じょ」と「ハッピー」の「ッピー」、車体カラー「ピンク」の「ピ」を組み合わせた愛称
・自動運転レベル:レベル2走行
・遠隔監視システム:everfleet
・遠隔監視システム設置場所:メイン=茨城交通株式会社 太田営業所 サブ=常陸太田市役所内
〈走行ルート詳細〉
・走行距離:片道約1.6km
・走行ルート:5ヵ所の停留所を回遊
常陸太田市役所→かわねやフェスタ店南→フォレストモール常陸太田①→カインズ常陸太田店①→カスミ常陸太田店東①→フォレストモール常陸太田②→カインズ常陸太田店②→カスミ常陸太田店東②→常陸太田市役所

〈乗車方法〉
事前予約は不要です。発車時刻までに各停留所にお越しください。
※乗車料金は無料です。
※満席(乗車定員9名)になると乗車できない場合があります。
定常運行の初日となった2月16日には、停留所のひとつとなっている「フォレストモール常陸太田」停留所前で出発式が開催されました。会場には自動運転EVバスの愛称「じょっピー」を考えた押手祐好さんも招かれ、押手さんにはじょっピーの模型がプレゼントされました。
出発式の会場には、常陸太田市の公式マスコットキャラクター「じょうづるさん」のほか、日本プロバスケットボールチーム「茨城ロボッツ」の公式マスコットキャラクター「ロボスケ(ROBO-SKET)」や、日本プロサッカーリーグに加盟するプロサッカークラブ「水戸ホーリーホック」のマスコットキャラクター「ホーリーくん」なども駆けつけ、会場を盛り上げました。
さらに、自動運転EVバスの出発にあたっては、地元の子どもたちが停留所前に集まり、じょっピーの描かれた旗を振り、バスの出発を盛大に見送ってくれました。
定常運行初日の成果

午前中の便では、出発式に出席した関係者を中心に乗車いただき、また午後からの便では一般の利用客の方にも乗車いただきました。午後からは多くのお客様にご乗車いただき、ほぼすべての便で満席になるほどの好評をいただきました。
今後の展望

自動運転EVバスの定常運行は、マクニカとして初の取り組みです。さらに、レベル4の運行に対応した自動運転EVバス「EVO」が公道を走行することも、遠隔監視システム「everfleet」を定常運行する自動運転EVバスに実装することも初めてです。
そのためマクニカでは、常陸太田市での実証実験から定常運行までの流れを通して、技術的な課題だけでなく、自動運転EVバスの事業モデル全体の仕組みを検証します。
マクニカは引き続き、常陸太田市の街全体の仕組みづくり、特に交通システムの構築を中心に支援していきます。特に自動運転EVバスの導入を通して、デジタルマップや自治体アプリとの連携、地域全体の情報提供やMaaS事業といった新たな取り組みへと発展させていきます。持続可能な街づくりの構築に、さまざまな面で貢献していきます。
同時に、常陸太田市内の自動運転EVバスの走行ルートを拡大し、利便性の高い交通システムへと拡大していく予定です。街や地域のポテンシャルを活かした魅力度向上を支援していきます。ビジネスエコシステムの形成に尽力し、常陸太田市の先進的な街づくりを幅広くサポートしていく予定です。
お問い合わせ
マクニカでは、さまざまな地域や施設などにおいて自動運転の実用化を支援しています。自動運転に関するご質問やご不明点などがございましたら、以下よりお気軽にお問い合わせください。