みなとみらい自動運転EVバス実証実験

マクニカとMMスマートソリューション・コンソーシアム実行委員会(以下MMコンソーシアム)は、202423日と4日の2日間、NTTコミュニケーションズと協力して「5G×立体音響搭載エンタメ自動運転EVバス公道走行」共同実証実験をみなとみらいで実施しました。

実証実験中に実施した試乗・体験会へのご来場様やイベント関係者様におきましては、貴重なご意見、ご支援をいただき誠にありがとうございました。

本コラムでは、実証実験の内容や結果について詳しくレポートします。

実証実験の背景

みなとみらい実証実験

MMコンソーシアムは、みなとみらい21地区を最先端技術の実証実験が行われる未来都市とするために、産学公民のイノベーション創出の連携基盤「横浜未来機構」と連動して支援活動を実施しています。

今回行われた実証実験は、みなとみらい21地区での5G通信と連動した自動運転の実装を見据えたものとして、MMコンソーシアムが実施している「MMスマートソリューション・プログラム」の採択事業として行われました。

さらに同期間に実施された技術体験フェスティバル「YOXO FESTIVAL 2024 ~横浜でみらい体験~」の一環として行われました。同フェスティバルでは、宇宙やドローンの最新技術、ロボットやVRSDGsなどの未来に関する130点を超える展示ブースが集結しました。

街全体で未来の技術や製品を体験できるイベントと同時に自動運転EVバスの公道走行を行うことで、同フェスティバルの来場者だけでなく、街を通りかかった人たちにも自動運転EVバスを知ってもらうきっかけとなりました。

今後は、横浜市・みなとみらいで自動運転EVバスを運行しながら、自動運転と合わせて車内でさまざまなコンテンツを楽しめるエンターテインメントEVバスとしての可能性も探っていきます。そうしたこともあり、DATTARUJINが提供するエンタテインメントコンテンツ「M↔️M Sound Entertainment Tour(エムエム・サウンド・エンタテインメントツアー)」を活用した日本初のエンターテインメント自動運転EVバスの公道走行を実施するに至りました。

実証実験の内容

今回の実証実験では、運河パーク駅前にある観光スポット周遊バス「あかいくつ」のバス停「ワールドポーターズ」を乗降場所として、新港地区を約1.4km、およそ20分かけて一周するルートを走行しました。

〈概要〉
日程:202423日(土)、24日(日)の2日間
※同期間に開催された「YOXO FESTIVAL 2024 ~横浜でみらい体験~」の一環として実施
運行区間:観光スポット周遊バス「あかいくつ」のバス停「ワールドポーターズ」を乗降場所として、約1.4km(約20分)新港地区を一周するルート
車両:自動運転EVバス「ARMA
定員:最大7名(最高速度18km/h

みなとみらい実証実験

自動運転EVバスにはGama(旧NAVYA)社製の自動運転車両「ARMA(アルマ)」を使用しました。

ARMAは最高速度19km/hEV仕様(電気自動車)で、ハンドルやアクセル、ブレーキがなく、搭載するセンサーによって車両周辺の安全を確認しながら、事前に設定したルートを自律的に走行できます。本実験では平均15km/h程度の速度で走行しました。

ARMAの車内には、ソニーが提供する立体音響技術「360 Reality Audio(サンロクマル・リアリティオーディオ)」を活用した没入感のあるサウンドを楽しめる仕組みを搭載しました。車内に音楽や最新インフォメーションを流すことで、自動運転EVバスにエンターテインメントツアーの要素を取り入れました。ライブ会場に向かうバスの車内でも音楽を楽しめるようにすることで、会場に向かう移動時間もエンターテインメント化することが可能です。

今回の実証実験では、マクニカ製の遠隔モビリティ管理システム「everfleet」を用いた遠隔監視が行われました。走行ルート上にある複合施設「横浜ハンマーヘッド」内にあるマクニカブースでは、このeverfleetを用いた遠隔監視ディスプレイを設置。ARMAの運行状況を来訪者に案内する施策を実施しました。

さらに、ARMAに搭載されたカメラの映像伝送にはNTTコミュニケーションズが提供するネットワーク「ネットワークカスタマイゼーション」を活用。5G通信網を活用した安定した映像伝送が可能かどうか、品質検証も行われました。

実証実験の様子

実証実験の結果

〈社会受容面に関して〉

今回の実証実験にあたり、体験できるお客様の数に限りがあったため、事前応募を実施しましたが、150の枠に対して1157の応募があり、自動運転による走行だけではなく、体験価値を向上させるコンテンツとの組み合わせによるお客様からの関心の高さを感じ取ることができました。

実際に乗車されたお客様からは様々なフィードバックをいただき、音楽コンテンツの組み合わせによる体験価値の向上を感じ取れたという事だけではなく、自動運転車両を活用してレベル4運行を他の地域も含めて実現して欲しいという実用化を求める意見も多数いただきました。

また、今回の実証実験が土日ということもあり、お子様を連れたご家族での試乗も多く、子供が自動運転車両や走行の仕組みに対して興味深く質問をしたり、写真・動画をとって観察したりしていることも、ITリテラシーの向上という観点で良い影響があると感じ取ることができました。

〈走行・運行面に関して〉

路上駐車車両の台数や横断歩道を利用する歩行者の数によって、運行時間に差があることもわかりました。約1.4kmのルートを約20分かけて走行するルートでしたが、道路の混み具合などによっては10分程度で走行を終えるケースもありました。混雑した状況では、20分よりも長くかかることも想定されます。

また、走行ルート上では「路上駐車」や「大通りでの混雑した交通環境」「赤レンガ付近における大勢の歩行者の往来」、横断歩行者の安全を見守る警備員が路上にはみ出してきて、車両が急停車する場面も見られる等、自動運転車両の走行環境や安全運行のための運用面において多くの課題が確認できました。

車内で流される音響システムは、頭上から音が降り注ぐかのような立体的な音声(音楽やインフォメーション)を堪能できました。かなり大きな音量でも車外に音が漏れ出ることはなく、実用的でありつつ、自動運転バスをエンターテインメント化することに成功したといえるでしょう。

今後の展望

みなとみらい実証実験

マクニカでは、今回の実証実験を通して自動運転がドライバーなしで走行するための技術的な課題を解決していくだけでなく、自動運転EVバスの事業モデル全体の仕組みの検証と実装に向けた事業モデルの構築を本地域で引き続き進めていきます。

同時に、エンターテインメント性を高めた自動運転EVバスの運行など、街や地域のポテンシャルを活かした多種多様な産業のイノベーションを支援します。ビジネスエコシステムの形成に尽力し、新港地区の先進的な街づくりを幅広く展開していく予定です。

お問い合わせ

マクニカでは、さまざまな地域や施設などにおいて自動運転の実用化を支援しています。自動運転に関するご質問やご不明点などがございましたら、以下よりお気軽にお問い合わせください。