嬉野実証実験

マクニカでは、2023年9月25日から10月9日にかけて、佐賀県嬉野市にて自動運転の実証実験を実施しました。

実証実験中に実施した試乗・体験会へのご来場者様やイベント関係者様におきましては、貴重なご意見やご支援をいただき誠にありがとうございました。

本コラムでは、実証実験の内容や結果について詳しくレポートします。

実証実験の背景

嬉野市では、2022年度に市有地内にて実施した自動運転の試乗体験会において、参加者の約9割から「今後も乗車したい」との意向が寄せられ、自動運転の社会実装に向けて具体的な検討が求められています。

2023年度は、社会実装を想定した公道での実証実験(試運転や試乗体験会)を行うことで、運行上の課題や社会受容性の検証を行うとともに、旅館や商店街の活性化、まちづくりに与える効果も視野に検討を進めています。

実証実験の内容

嬉野温泉周辺

実証実験(試乗体験会)では、嬉野温泉駅と嬉野温泉バスセンター間を結ぶ片道約2.2kmの区間にて、地域住民や観光客の方々などを対象に実施しました。

なお、この実証実験は、嬉野市様が主体となり、(株)福山コンサルタント様、日本工営(株)様、(株)ケー・シー・エス様にて実証実験に関わる準備、運営、効果検証を行っていただき、マクニカでは自動運転EVバスの実装・運行の支援、関連システムなどを提供しました。

走行ルート

<概要>
日程:2023年9月25日(月)~2023年10月9日(月)
時間:10時25分~16時5分頃(1日10便)
運行区間:①嬉野温泉駅~嬉野温泉バスセンター ②嬉野温泉バスセンター~嬉野温泉駅(片道約2.2km)

車両:Gama(旧NAVYA)社 ARMA(自動運転EVバス)
定員:8名(セーフティドライバー・保安員除く)
運賃:無料

自動運転車両にはGama(旧NAVYA)社製の自動運転シャトルバス「ARMA(アルマ)」を使用しました。

ARMAは最高速度18km/hのEV仕様(電気自動車)で、ハンドル・アクセル・ブレーキがなく、搭載するセンサーによって周辺の安全を確認しながら、事前に設定したルートを自律的に走行します。

自動運転EVバス「ARMA」

自動運転EVバス「ARMA」

今回はセーフティードライバー及び保安員が同乗するかたちでの運行となりましたが、将来的な無人での運行を想定して、遠隔地のオペレーターが自動運転EVバスを運行管理する「everfleet(遠隔モビリティ管理システム)」を試行的に運用しました。

走行する自動運転EVバスの車両データ(車速、回転数、ステアリング舵角など)やセンサーデータ(位置情報、カメラ映像など)を統合し、クラウド経由で嬉野市企業誘致ビルの会議室に設置した遠隔監視室のディスプレイに可視化しました。

遠隔地からリアルタイムに自動運転EVバスの運行状況を確認することで、安心・安全にオペレーションすることができました。

嬉野市企業誘致ビル遠隔監視室

嬉野市企業誘致ビル内の遠隔監視室

遠隔監視による運行状況の可視化

実証実験の様子

実証実験の結果

計15日間の実証実験(試乗体験会)では、延べ860名(参加者内訳:嬉野市51%、嬉野市以外49%)と非常に多くの方々にご乗車頂きました。

また、アンケート調査や運行データの集計により、①車両挙動から見た安全性、②社会受容性及びルート等の要望、③旅館・商店への影響について、検証・評価することができました。

①車両挙動から見た安全性

自動運転化率は、全区間平均で約80%でした。何らかの障害によって手動運転に切替ざるを得なかった箇所を安全性・快適性の問題個所と捉え、区間別の自動運転率で評価しました。商店街区間(区間4、区間5)における自動運転率(約70%)は他の区間に比べ低く、自動運転率の低下要因として「路上駐停車車両」の影響が大きいことが分かりました。

分析対象区間

②社会受容性及びルート等の要望

自動運転EVバスへの期待は「中心部での移動のしやすさ」が多く、商店街を走行するモビリティは、特に旅館・商店主からのニーズが高いことが確認されました。運行エリアは、市街地内だけでなく、市街地~郊外部間の要望が多くありました。

社会受容性及びルート等の要望 結果

バス停の設置場所は、嬉野温泉駅や嬉野温泉バスセンターの他に観光施設や旅館を要望する回答が多く、車内では観光、商店や飲食店、イベントに関する情報提供が求められていることが明らかになりました。

また、自動運転EVバスに支払う運賃については、半数の方が既存のバス運賃以上支払う意思があることも明らかになりました。

社会受容性及びルート等の要望 結果

③旅館・商店への影響

旅館・商店アンケート調査によると、中心市街地における自動運転EVバスの導入は、旅館や商店主にとって、収益アップやまちの賑わいづくりへの期待が高いことが確認されました。

旅館・商店への影響 グラフ

今後について

マクニカでは、今回の実証実験の結果を踏まえ、嬉野市様及び関係各社様と連携し、嬉野市における自動運転サービスの社会実装に向けて、引き続き、ご支援をさせて頂きます。

嬉野市実証実験セレモニー

お問い合わせ

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