2020年11月21日(土)から11月24日(火)の4日間で浜松市水窪地区にて社会実験「自動運転による超小型モビリティの公道走行実証」を実施しました。現地にてご来場頂きましたお客様やイベント関係者様におきましては、貴重なご意見やご支援誠にありがとうございました。本コラムでは、社会実験の内容や結果についてレポートします。

浜松市実証実験サポート事業

「浜松市実証実験サポート事業」は浜松市様の主催にて様々な自然環境を有する浜松市を舞台に、独自の技術やアイデアを実証実験するプロジェクトを全国から募集して実施する取り組みです。実証フィールドの斡旋やプロジェクトの経費支援など各種サポートを通じて、浜松市の社会的課題の解決×テクノロジー活用による産業振興を推進しております。

マクニカではPerceptIn(パーセプティン) Japan 合同会社と共同で、新たに製作した超小型モビリティ(macniCAR-01)を用いた自動運転実証実験を実施。本地域でLiDARと高精度3Dマップ(注釈)を使用しない、超低コストな自動運転システムを使用した公道走行は、本実証実験が国内初となりました。この社会実験を通してマクニカは、中山間地域における移動課題の把握、本地域における走行環境と自動運転技術の技術検証、移動サービスに対する地域住民の利便性確認検証を実施しました。

マクニカとPerceptIn社は中山間地域における移動課題を解決するため、移動サービスの実現の第1歩として本実証実験に取り組んでおります。

社会実験の内容

浜松市水窪地区にお住いの住民の方を中心に2020年11月21日(土)から11月24日(火)の4日間でタジマEV社ジャイアン(超小型モビリティ)+PerceptInの自動運転システムを組み合わせた新型車両(macniCAR-01)を活用して水窪地区内の約2㎞のルートを走行する移動サービスを提供しました。走行中の安全を確保する為に時速約5㎞で走行し、5か所の停留所での待機も含めて片道約30分で走行しました。

今回の実験では新型車両活用、公道走行という事もあり、「Level IV Discovery(https://level4-discovery.org/)安心、安全な自動運転サービス実証を支える」を提供する損保ジャパン様のご協力のもと、事前に走行ルートの環境や条件に応じたリスクアセスメントを実施頂いております。

また、準備期間中には所轄警察様への報告や自治会様への報告等、実証実験を安全に実施する為に関係各所との連携をしながら準備を進めてまいりました。

また、本実証実験の準備中である11月19日(木)に事前の浜松市様からのご要望もあり、水窪地区における小中学生に向けた自動運転をテーマとした「特別授業」を実施し、将来を担う子供達への最先端の技術紹介と同時に子供に夢を与える機会を頂き、我々にとってもとても良い刺激となりました。

社会実験の結果

今回の社会実験では、4日間の運行で約110名の方にご乗車頂きました。開催期間中に降雨の時間帯があった事も影響して、全体の乗車率としては70%程度となりましたが、アンケートの結果により本地域における自動運転車両を活用した移動サービスの提供に対する高い期待値を認識した結果となりました。

また、安全面に関しても事前のリスクアセスメントや安全な走行速度を設定した事により、一定の評価を得る事が出来ましたが、技術的な観点で新型車両と自動運転システムの組み合わせによる調整余地がある事が明確になり、今後他の場所で実施される実験に向けて継続して調整を行ってまいります。

今回のような移動サービスを実現した場合の「利用者負担」に関しては、約9割の方が費用を支払う意思があり、3割程度の方は200円以上支払いの意思があるという結果も確認できました。自動運転車両を活用したサービス実装には一般的に多くの初期投資と維持費用が発生する事は既知の事実である為、「導入時に固定費用を抑える」「人件費用を下回る維持費用」に加えて「移動+αのサービスによる収益向上」という事業性を継続して検討してまいります。

PerceptInの自動運転技術

PerceptInは2016年にシリコンバレーで創業したコンピュータビジョン技術のスタートアップです。現在、開発拠点を中国/深センに置き、ロボットや低速車両向けに自動運転ソリューションを提供しています。

PerceptInの技術では、あらかじめ作成したデジタルマップ上にGPSのルートを設定します。カーナビなどで利用されている一般的なGPSでは数センチメートルの誤差が生じますが、PerceptInの技術では地域に設置した固定基地局からの補正情報によって、誤差を数cmまでに収めることができます。また、コンピュータビジョンモジュールではGPS情報とIMUからの三次元の角速度及び加速度情報、約360度の映像情報を融合する独自技術(センサーフュージョン)によって、正確な自己位置推定やディープラーニングによる物体認識を実現します。

PerceptInはコンピュータビジョンベース、GPSやIMUなどのセンサーフュージョンによる自動運転技術を得意分野としており、低速電動車両(LSEV)に最適なコストパフォーマンスの高いソリューションを提供します。

最後に

今回の社会実験の結果を元にして明確になった課題を改善しながら2021年1月以降の実証実験への参画だけではなく、自動運転サービスの社会実装に向けて、引き続き、取り組んで参ります。今後とも、宜しくお願いします。

自動運転に関するご興味やお困りごとなどがございましたら、お気軽にお問合せ下さい。