はじめに

201911月から20203月まで奈良県/平城宮跡歴史公園にて社会実験「平城宮跡歴史公園スマートチャレンジ」を実施しました。現地にてご来場頂きましたお客様やイベント関係者様におきましては、貴重なご意見やご支援誠にありがとうございました。本コラムでは、社会実験の内容や結果についてレポートします。

平城宮跡歴史公園スマートチャレンジ

平城宮跡歴史公園スマートチャレンジ」は国土交通省様の主催にて、国営平城宮跡歴史公園を舞台に自動運転、AI IoTなどの新技術を活用し、公園の抱える課題の抜本的な解決や公園利用者サービスの創出などを目指す取り組みです。今回は産学官コンソーシアムのもと、民間事業者からの提案に基づく新技術を用いた社会実験を公園内にて実施し、公園サービスとしての実現性を検証いたしました。また、奈良県のまちづくりにおけるスマートシティ実現に向けて、社会実験の結果などを踏まえ、新技術の水平展開を促進することを目指しています。マクニカではPerceptIn Japan 合同会社と共同で、自動運転の8人乗りの低速電動車両(LSEV)を使用したモビリティサービスの社会実験を実施。この社会実験によって、来園者の回遊性を向上させることができるのか、さらにアトラクションとしての集客性を発揮できるのかを検証いたしました。併せて、公園サービスの事業性、将来のまちづくりに貢献するモビリティとしての社会受容性についても検証しています。この社会実験の結果も踏まえ、マクニカとPerceptIn(パーセプティン)社は、公園サービスとしての実用化を目指すとともに、奈良や日本各地のまちづくりにおけるスマートシティ実現に向けて取り組んでいます。 

社会実験の内容

国営平城宮跡歴史公園の来場者様を対象に、201911月から20203月までPerceptInの自動運転システムを搭載した低速電動バスにて公園内の周遊体験や移動を提供しました。時速7~8kmで走行する自動運転バスは公園内に設けられた3箇所の停留所を通り、運行スケジュールに合わせて約30分間で公園内を1周しました。8人乗りのバスは先着順で無料にてどなたでもご乗車することができ、乗車後にはアンケートを実施しました。安全性を最大限に確保するために、セーフティドライバーが1名乗車、走行ルートには保安要員を配置しました。また、「Level IV Discovery)/安心、安全な自動運転サービス実証を支える」を提供する損保ジャパン日本興亜様にもご協力頂き、事前に走行ルートの環境や条件に応じたリスクアセスメントを実施して頂きました。

 

社会実験の結果

 この度の社会実験では、全13日の開催となり、626名の公園来場者様にご乗車頂きました。開催時期や天候により公園来場者数には変動がありましたが、90%を超える乗車率を記録する日もあり、公園内での自動運転サービスの需要を認識いたしました。また、ご乗車頂いたお客様のうち、100名以上の方々が今回の社会実験を目的として公園に来場しており、新しい自動運転技術の活用に対する期待値を感じました。乗車後に実施したアンケートの結果より、自動運転サービスの満足度については、お客様の97%が「非常に満足」もしくは「ある程度満足」と回答、公園サービスとしての実現期待については、お客様の98%が「とてもそう思う」もしくは「ややそう思う」と回答しており、非常にポジティブな結果を得ました。また、事前のリスクアセスメントや運行時の保安対応などにより、「安全・安心」といった感想を多く頂きました。一方で、運行本数が少ないことから「待ち時間が発生する」、固定周回ルートのため「最短距離で目的地に行けない」などのご意見もあり、より良いサービスを開発する上での課題が明確になりました。

PerceptInの自動運転技術

PerceptIn2016年にシリコンバレーで創業したコンピュータビジョン技術のスタートアップです。現在、開発拠点を中国/深センに置き、ロボットや低速車両向けに自動運転ソリューションを提供しています。PerceptInの技術では、あらかじめ作成したデジタルマップ上にGPSのルートを設定します。カーナビなどで利用されている一般的なGPSでは数センチメートルの誤差が生じますが、PerceptInの技術では地域に設置した固定基地局からの補正情報によって、誤差を数cmまでに収めることができます。また、コンピュータビジョンモジュールではGPS情報とIMUからの三次元の角速度及び加速度情報、約360度の映像情報を融合する独自技術(センサーフュージョン)によって、正確な自己位置推定やディープラーニングによる物体認識を実現します。PerceptInはコンピュータビジョンベース、GPSやIMUなどのセンサーフュージョンによる自動運転技術を得意分野としており、低速電動車両(LSEV)に最適なコストパフォーマンスの高いソリューションを提供します。

さいごに

今回の社会実験の結果を検証の上、次年度以降の実施内容を検討し、自動運転サービスの社会実装に向けて、引き続き、取り組んで参ります。今後とも、宜しくお願いします。

 

 

 

 

 

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