Splunk

スプランク

日本パレットレンタル株式会社様

物流機器管理ソリューションにSplunkを活用 膨大なパレットを管理するシステムのログを可視化し 精密な監視と傾向分析を可能にする仕組みを構築

Before
  • 以前の物流管理システムには各種システムから収集したログを精緻に分析する機能がなかった
  • インシデントや障害情報をスムーズに共有し、迅速に対応したい
  • 情報システム部の限られたマンパワーで監視に掛けられる時間と労力が少なかった
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After
  • 膨大なログ情報をダッシュボードで可視化・分析しRTI運用レポートを作成することで物流の効率化を実現
  • システム障害時やログインの試行回数が多い場合にメールとIP電話でアラートを知らせるよう工夫した
  • 限られたマンパワーでも時間と労力をかけずに精密な監視が可能な仕組みを構築
黒岩 暁氏

日本パレットレンタル株式会社
情報システム部 ICTサービスグループ
グループ長 黒岩 暁氏

谷 季幸氏

日本パレットレンタル株式会社
情報システム部 ICTサービスグループ
谷 季幸氏

ログファイルの監視やエラー検知の通報システムをSplunkで実現

日本パレットレンタル株式会社(以下、JPR)は、「手荷役の重労働」、という問題を解決するため、日本国内にJIS規格に準拠した11型と呼ばれる物流用パレットを普及させる目的で1971年に設立された。パレットの普及にあたり、「利用後のパレット回収の難しさ」、「拠点での積み替え作業の無駄」を省き、効率的なパレット輸送を実現できるレンタル方式を採用。パレットをレンタルすることで、各企業がパレットを共同で利用し、使い終わったらJPRがまとめて回収を行い、発地点から着地点まで同一のパレットに貨物を積載したまま輸送する「一貫パレチゼーション」が実現する。同社のレンタルパレットの仕組みは、日本の物流効率の向上とコスト削減、CO2発生量抑制に多大な貢献をしてきた。

現在では、同社のレンタルパレットは加工食品や日用雑貨の製造業を中心に約5000拠点で利用され、パレットの貸し出し枚数は年間延べ3300万枚以上を数えるなど、レンタルパレット業界でNo.1のシェアを誇る。

その膨大なパレットをはじめ、各社が自社保有するRT(I カゴ車やプラスチックコンテナなどの通い容器)が、どこに・どれだけの数が存在するのかをWEB上で総量管理できるシステムを2002年から提供してきた。さらにRFIDなどの自動認識技術を活用して、より精密に個体管理まで可能にしたのが、最新の物流機器管理ソリューションシステム「Llink」(エルリンク)だ。

2013年に運用を開始したLlinkについて、JPR情報システム部 ICTサービスグループ グループ長の黒岩暁氏は次のように説明する。

「工場、物流センター、店舗などのあらゆる物流現場からRTIの個体移動データを収集することで、長期滞留数量や滞留拠点などのデータ検索がクラウドから可能になるほか、入荷から出荷まで、出荷から回収までといった、イベントごとにリードタイムを把握することを可能にするシステムです。その膨大な情報をダッシュボードですばやく可視化・分析できます。お客様が運用レポートを定期的に確認できますので、物流の効率化に向けた改善策立案のヒントになります」

Llinkは、OSS(オープンソースソフトウェア)の統合運用管理ツールでサーバの死活監視などを行っているが、ログファイルの監視やログ上でエラーが検知された際の通報システムを、マクニカが提供するマシンデータ分析プラットフォーム「Splunk Enterprise」(以下、Splunk)で実現している。

見たいものを自分で作る手軽さやすぐに結果が出てくる自由度がある

その経緯について黒岩氏は、「当時社内にはログを収集・蓄積するシステムは存在していましたが、分析する機能はなく、Splunkでログを視覚的に捉えることができたら面白いと思い興味を持ちました。最初は無償版で、ログ監視の目的で使うつもりでしたが、ユーザーの使用するブラウザ比率の調査や、それを基にサービスでサポートするバージョンのポリシー決定などに活用できることが分かり、可能性の大きさに気付きました」と振り返る。

そこで、Llinkでよく使われる機能や、反対に使われていない機能、時間がかかり過ぎている処理、エラーが発生したページなどの傾向分析をダッシュボード上で可視化できるようにした。

機能の開発を担当したJPR 情報システム部ICTサービスグループ 谷季幸氏は、「Splunkはデータベースを持たずにデータフォーマットの異なるデータを一元的に取り扱える上に、見たいものを自分で作ることができる手軽さや、コマンドを打てばすぐに結果が出てくる自由度などが、他のログ分析ツールと大きく異なっていました」と感想を述べる。

2014年6月に有償版に切替え、さらに扱うデータ量の増加に伴って12月に容量を増強。その過程で谷氏は、監視対象システムのログを自動的に出力するスクリプトを作り、さらに多くのシステムからのログに対応できるようにしたという。

毎朝Splunkで情報を確認し業務を開始する習慣が浸透

2015年末現在、Splunkが監視しているのは、VMware ESXiサーバ上で稼働するVMwarevSphereのVMware vCenter Serverログや、ゲストOSログ、データベースのプロセス情報、Webサーバログ、アプリケーションログのほか、ADC(アプリケーション・デリバリ・コントローラー)のパフォーマンスログ、PCの操作履歴ログ、プロキシログなどに拡大している。さらには、本社ビルにおける警備システムからのオフィスエリアの入退出管理ログ、共有キャビネットの鍵を収めた保管庫の施錠・開錠ログに至るまで、これら全てSplunkで収集・可視化・分析を行っている。そのレポート類だけでも108種類にも及ぶ。

それにより、各システムの稼働監視とセキュリティ管理が可能になったという。

「Splunkはスクリプトさえ作成すればどのようなシステムのログでも収集できるので、その懐の広さ、柔軟さには改めて驚いています」と谷氏は話す。「特に、フィールドの切り出し機能が強力で、細かく抽出できるほか、アクセス権限も付与できるので、ログの閲覧可能範囲の設定をさまざまな部署ごとに適用しています。処理もスピーディになりました」

また、黒岩氏も、「情報システム部のLlinkを開発しているメンバーや、アプリケーションの運用メンバーなどが、毎朝Splunkで可視化した情報を確認した上で業務を開始するなど、Splunkはすっかり業務に浸透し、社内のさまざまなところで利用されています」と打ち明ける。

従来は、精緻な監視をする為には、マンパワーを掛けざるを得なかったLlinkも、Splunkの導入によって各種システムや設備からのログ情報を細かく簡単に可視化できるようになったという。システム障害時やログインの試行回数が普段より多い場合、Splunkがメールでアラートを知らせるようにしている。また、クラウド型電話APIサービス「Twilio」を活用し、アラートメールをトリガにしてIP電話を鳴らすように設計し、メールに気付かない場合にも備えているという。

「情報システム部も限られたマンパワーの範囲で業務の改善を行っていますが、時間と労力をかけずに、今回新たに精密な監視が可能な仕組みを構築できたことは大きな成果だと思います」と黒岩氏は高く評価する。

  • 毎朝Splunkで情報を確認し業務を開始する習慣が浸透

Splunkは最近では珍しい一度使い始めたら手放せないツール

今後、JPRではSplunkの機能をさらに引き出し、IoTの先駈けとして応用することも視野に入れている。具体的には、業務で利用する端末を貸し出し制にする案だ。タブレット端末は1人1台支給し、ノートPCは希望者に貸し出しする方法を考えているが、現在はセキュリティ機能がないため、誰がいつ借りていったのかを正しく管理する必要がある。そのため、マクニカグループのオリジナル技術ブランドMpressionが提供するBluetooth SMARTモジュール「Koshian」などをノートPCに組み込んで、そのログ情報を自動的にSplunkで収集・分析し、精緻な可視化を実現したいと考えている。

今回のSplunk導入を振り返り、黒岩氏は、最近では珍しい、一度使い始めたら手放せないツールのひとつと評する。「私がSplunkを最も気に入っている点は、カスタマイズの柔軟性と機能の実現性の高さです。必要な仕組みを思いつくまま自分で作ることができる敷居の低さと、それが目に見える形で表現できるグラフィカルな性能。それが世界で普及している要因ではないでしょうか。面白くてとても便利だというのが正直な感想です」(黒岩氏)

また、他の企業でSplunkをどのように使いこなしているのかも興味があるという黒岩氏は、コミュニティやユーザー会などで開発事例を共有してエコシステムを発展させることができれば、さらに面白い世界が見えてくると語ってくれた。JPRがSplunkのポテンシャルをどこまで引き出していくのか、今後の取り組みが大いに注目される。

User Profile

日本パレットレンタル株式会社
URL

https://www.jpr.co.jp/

1971年創業。物流現場における重労働からの解放と物流の合理化を図る目的でパレットのレンタル事業を開始。JIS規格準拠の11型パレットの普及促進と共同利用・共同回収システムで実現する「一貫パレチゼーション」の提供により、低コストで環境負荷の低い効率的な物流を実現。業界No.1のシェアを維持する。現在は、レンタルパレット等の物流機器を管理するための情報サービス事業と運用管理支援サービス事業も展開し「モノの流れをレンタルと情報で最適化するサービスカンパニー」を目指す。

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