スマート工場の実現には、スモールスタート&クイックウィンという、「体験ファースト」のアプローチが何よりも大切です。具体的には、特定のパイロットラインにおいてデータ収集や蓄積をして活用と業務改善までの小さな成功体験を実感し、そこからその成功体験を横展開していくといった流れになります。
 日本に多く存在する少量多品種のものづくりを担う製造業の場合、横展開の対象はパイロットラインとは全く異なる設備や生産物となることがあります。そうした環境での横展開は都度費用が発生するため、投資対効果を得づらいのが実態です。その打開策となるのが、マクニカが提供する「DSF Cyclone」です。

 DSF Cycloneでは、素早く特定のパイロットラインに導入いただき成功体験を生み出し、そのノウハウを工場の他のラインへの内製で横展開することが可能です。しかし、生産現場にITに詳しい方がいない場合、横展開に不安を感じられる方も多いのではないでしょうか。
 そこで今回は、実際にDSF Cycloneを横展開された方にインタビューをさせていただき、どういったスキルや経験をもった方々が、どのような役割を担い、どういう事前学習をして、どのようにDSF Cycloneの横展開を実現させたのかをまとめた資料の一部をご紹介します。

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生産ライン改善の横展開とは?

 生産ライン改善の横展開における役割は、下記の4種類が挙げられます。 

①取りまとめ
システム横展開に向けて、製造部や情報システム部門と事前共有&調整を行い、展開の進捗および課題管理を行う。実務者が適切に事前学習をできるようにするための、題材の確認や学習時間の確保も重要。

②現場データ取得
データ取得のために、システム横展開対象の現場データ(PLC・信号灯・作業者)から、事前の環境の把握、必要に応じた機器の追加設置、システムへの追加ロジック実装などを行う。

③マスターデータの整備
システム横展開対象における生産計画・設備・作業者・ロスといった、必要なマスターデータの検討~登録を行う。

④ダッシュボード作成
システムを現場でより活用するため、テンプレートを基準にダッシュボードの修正や追加作成を行う。

資料のご紹介

本コラムでは資料に掲載している3つのインタビューのうち、1つを抜粋してご紹介しています。
下表はインタビュー対象者の所属・立場・役割をまとめたものです。

  役割
  取りまとめ 現場データ取得 マスターデータの整備 ダッシュボード作成
所属や立場 部門……生産技術
立場……リーダー
キャリア……工場IT担当
   
部門……生産技術
立場……担当者
キャリア……作業者
   
部門……生産技術
立場……DX専門人材
キャリア……ITエンジニア
 

インタビュー①見たいダッシュボードも自ら簡単に制作できる!推進リーダーから見たDSF Cyclone活用

担当者のイラスト

工場一筋15年、現場で培ったIT技術を持つ生産技術部門のマネージャー

生産技術部門のマネジメント担当で、スマート工場化に向けた活動を推進中。入社当初はシステムの経験がなかったが、15年という長いキャリアのなかでMESの運用・メンテナンスを通じてIT技術を習得した。ITパスポートも取得済み。

サマリ

  • マスターラインで基本的な仕組みを理解し、横展開を内製化
  • 手間いらずで活用しやすい、汎用性の高いBIツールを搭載
  • 横展開で、メンバーに充足していなかった経験を積ませることができた

今回は初期のマスターラインはマクニカの構築支援を受けながら、現在は10ラインまでの横展開をされていると伺っています。導入時点から横展開は意識されていましたか。

 当初導入した3つのラインは、稼働時点で通信が可能になっていたため、そこから始めていくことを決断しました。将来的には全てのラインに展開していくことを当初から念頭に置いており、まずは最初のマスターラインで基本的な仕組みなどを理解したうえで、上長からの指示もあって、横展開は内製化した形で進めていくことにしたのです。

現場のメンバーだけで横展開をしていくことに不安はありましたか。

 ゼロから新たな仕組みを構築するスキルは正直に言ってありませんが、教わった内容をまねていきながら現場で工夫していくことは、過去の経験も含めて私もメンバーも割と得意なほうでした。初期の構築段階で学びながら適宜サポートいただければ、十分展開できるのではと考えており、さほど不安はありませんでした。 当初から少数精鋭でプロジェクトを進めてきましたが、 展開するラインの数やシステムの対象範囲が増えてくるなか、私も他部署と兼務することが出てきました。そんな折、ITに精通したメンバーを新たに迎え入れるめどがついたことで、実務レベルはメンバーを中心に展開していくことができています。現時点で効率がいい働き方というわけではない部分もあったため、工場の現場をよく知るメンバーよりも、別の職場の経験を我々の現場に活かしてくれるような、IT人材が欲しいと考えていたのです。

現在はDSF Cycloneにどんな形で関わっていますか。

 最近では、本社や物流部門からの要望で生産状況などのデータをリアルタイムに見たいという声に応えるべく、DSF Cycloneに組み込まれているBIツールでダッシュボードを作成しました。DSF Cycloneには蓄積されたデータを基に作りたいものの雛形がある程度事前に用意されているので、それほど手間はかかりませんでした。BIツールのベンダ主催のセミナーにも半日ほど参加しましたが、ビジュアルにそこまで拘らなければDSF Cycloneにて簡単にダッシュボードは用意できます。

どんな情報を参考にしてダッシュボード周りを構築していったのでしょうか。

 BIツールのベンダのサポートサイトなども検索しやすく参考になりました。また、私が実際にダッシュボードを設計したDSF Cycloneに組み込まれているBIツールは何より汎用的なソリューションのため、検索すれば世の中に多く情報が溢れています。それほど多くの学びを経験せずとも活用できたと思っています。

横展開で苦労したことはありますか。

 設定作業などは現場に任せてしまったので、私自身が苦労することはあまりありませんでしたが、どんなデータをどう活用するのかといった活用面に関して、もう少し現場と擦り合わせたうえでメリットを提示しながら進めたほうが、より有効な活用につながると感じています。

今回のプロジェクトマネージメントの中で得られたことはありますか。 

 メンバーのなかには設備周りの現場経験は豊富でもIT経験があまりない、逆に他業界でのIT経験があるものの設備に触れるのは初めてなど、メンバーはそれぞれ異なる経験やスキルを持っていました。DSF Cycloneがうまく橋渡ししてくれたおかげで、横展開を通じてそれぞれ充足していなかった経験を積ませることができたことは大きいですね。今後の機械更新などの際にも、今回の経験を活かしていいデータ取得のアプローチなど前向きな意見が出やすくなるのではと期待しています。

マクニカの支援についてはいかがですか。

 チャットにて問い合わせに回答いただけるサポートデスクが用意されており、何かあればすぐに相談できるためとても助かりました。また、マクニカからもこの期間でどこまで作業するのかヒアリングしてくれて、定期的にフォローの連絡をいただけたので、しっかり進めていけたのが何よりも大きかったです。とても感謝しています。

資料ダウンロードのご案内

 この続きは、下のボタンから資料をダウンロードしていただくことで読めます。DSF Cycloneを通じた実践的な横展開の軌跡を、ぜひご覧ください。