シンギュラリティとは何なのか。激動のAI時代に生き残る術とエクスポネンシャル思考

~ これからの時代に必要なビジネスの考え方 ~

斎藤 和紀 氏

先日、弊社とお付き合いのある工作機械メーカー様をお招きし、技術交流会を開催しました。

そこで特別講演として、『エクスポネンシャル思考』著者の齋藤和紀様にご登壇いただいたのですが、「齋藤さんのセミナー、当社でもしていただきたいくらい興味深かったです」「特別講演に非常に感銘を受けた」といった声が寄せられ、大変好評でしたので、講演内容をご紹介します。

また、ここでご紹介した特別講演のさらなる詳細レポートは、こちら からダウンロードいただけます。

今の世の中では一体何が起こっているか

100年前に予測していた未来が実現している

齋藤氏の講演はまず、予測した未来は実現している、という話から始まりました。自動車も走っていない1900年の時点で、100年後にビデオ会議や音声記録器、空飛ぶクルマが実現するだろうと考えられていたのです。現に、ビデオ会議は利用されている方もいらっしゃるでしょうし、音声は記録するだけでなく、AIスピーカーというさらに上を行くものも登場しています。また、空飛ぶクルマは、2023年までに東京上空に飛ばそうと国を挙げた動きもあり、実際に人間が予想した未来が実現してきています。

今後20年間のテクノロジーについて予想もされている

続いて、「アバンダンス360」という世界のトップレベルのCEOが集まったカンファレンスで、彼らが「いまから20年間で何が起きるか」を予測した内容が紹介されました。
(参考ウェブサイト:Peter H. Diamandis LLC のtech blogより https://www.diamandis.com/blog/countdown-to-the-singularity )

前述の100年前に予想されていたことが実現しているのですから、これらの出来事も近いうちに起こりえるでしょう。

テクノロジーの進化スピードが急激に速まっている

次に、最近のテクノロジーの進化の速さについて、いくつか例が挙げられたのですが、ここではその中から1つご紹介します。

<人工知能と囲碁>
「AlphaGo」とは、DeepMind社によって開発され、 2015年10月に初めてハンデキャップなしで人間のプロ囲碁棋士を破ったコンピュータ囲碁プログラムです。
当時、人工知能の学者は、人工知能が人間に勝つまで10年かかると言っていました。ちなみに、囲碁の手数を総当たりで計算すると8億年かかると当時は言われていました。
しかし、この勝利からわずか3年ほどで「AlphaGo」が進化をとげた「Alpha Zero」は、あらゆる人工知能にチェス、囲碁、将棋といったゲームで勝利するようになりました。人工知能は、総当たりで計算せず、自ら情報を絞って勝つための計算をするようになったのです。

「エクスポネンシャル思考」はこれからの時代の一般教養

エクスポネンシャルとは「指数関数的」

人間の脳は、算術的な将来しか予測できませんが、科学技術はエクスポネンシャル(指数関数的)に進化すると言われています。イメージで説明すると、算術は足し算、エクスポネンシャルは倍々になっていくと考えていただければと思います。

科学技術の発展がエクスポネンシャルと言われる良い例がヒトゲノムの解析です。ヒトゲノムの解析には1990年から15年の予算が組まれていて、1997年の時点で進捗の1%しか進んでいませんでした。しかし、エクスポネンシャル(指数関数的)にスピードアップし、期限より大幅に早く100% 完了しました。

シンギュラリティは「技術的特異点」

シンギュラリティ(技術的特異点)とは、コンピュータ技術や生命科学などの進歩、発展によって、科学技術が自らより優れた科学技術を作れるようになるポイントを指します。米国の未来学者レイ・カーツワイル氏が、2005年に提唱した概念で、徐々に知られるようになりました。このポイントを超えると進化は無限大に発散します。また、「シンギュラリティは2045年頃に達成され、これまでの世界とは まったく異なる、不連続な世界がやってくる」とカーツワイルは予測しています。

齋藤氏は、シンギュラリティが来る来ないの問題ではなく、加速するテクノロジーを見越すことが重要と言います。

未来のテクノロジーを俯瞰する力

エクスポネンシャル思考とは、簡単に説明すると、経営者も従業員も学生も、これからの時代に起こりえるテクノロジーを俯瞰してそのイメージを実践していくための思考です。これからの時代の一般教養となるでしょう、と齋藤氏は言います。

この講演を聴いて、これからのビジネスは今まで通りでは戦えない、ということを痛切に感じる時間となりました。
エクスポネンシャル思考について、さらに詳しく知りたい方は、本講演を行っていただいた 齋藤様の著書を読んでみてはいかがでしょうか。