電源関係の不具合に関るよくあるFAQ集

電源に関するよくある質問

DC/DCコンバーターに関する一般的な質問やトラブル・不具合に関わる質問に関してまとめました。

基礎 Q&A

ディレーティング・カーブとは?

周囲温度に対して、電源の出力電流をどれ位まで引くことができるかを表したグラフです。周囲温度が上昇し、出力電流が大きくなると電源回路で使用されているパワートランジスターのジャンクション温度があがります。ジャンクション温度が規定範囲内になるように周囲温度と出力電流の関係をグラフ化したものが「ディレーティング・カーブ」となります。

電圧設定の方法を教えてください。

出力電圧調整可能な電源ICの場合、内部のリファレンス電圧(Vref.)と分圧抵抗R1とR2によって設定が可能です。

出力電圧設定
出力電圧設定

電源のオン・オフを制御する為のピンを教えてください。

メーカーや製品により異なりますが、RUN・ENや/SHDNピンが該当します。データーシートを読んで確認してから使用してください。

リニア・レギュレーターの効率の計算方法を教えて下さい。

自己消費電流が出力電流に対して十分小さい場合、効率は(式1)で求めることが出来ます。 一方、出力電圧とリニア・レギュレーターの自己消費電流が同程度の場合は(式2)で算出可能です。

出力電圧
―――――― …(式1)
入力電圧

( 出力電圧 × 出力電流 )
―――――――――――――― × ( 出力電流 + 自己消費電流 ) …(式2)
入力電圧

ドロップ・アウト電圧とは何ですか?

電源回路の入力-出力電圧差のことです。電源が正常に動作する為の最小ドロップアウト電圧が300mVの場合、1.8V入力から1.5V以下の出力を得ることが可能です。最小ドロップアウト電圧が規定されていないリニア・レギュレーターの場合は、リファレンス電圧がドロップアウト電圧となります。

入力コンデンサーの容量は、どの様に決めたら良いでしょうか?

出力コンデンサーの容量がデータシートに規定している容量を付けている状態で、出力が不安定だったり、負荷応答性が悪い場合は、入力コンデンサーの容量を増やしてください。その上で、ESRを確認して大きい値の場合は、ESRを小さくする検討をしてください。

LDOの電流容量が足りないので並列接続する方法を教えてください。

単純にLDOの出力を接続して使用すと、出力が小さいLDOが負荷の様に振る舞い電流が流れ込む問題が発生します。各LDOの出力のバランスを取って均等化する必要がありますので、出力にはバラスト(Ballast)抵抗を使用し、並列接続してください。

PSRRとは?

PSRR(源電圧変動除去比)とは、入力に入った雑音(ノイズ)をどれくらい出力側に出さないで除去するかを表した割合のことです。値が大きい方が雑音除去能力が高いと言えます。フィルターとして、リニアレギュレーターを使用する際は、この値が大きい製品を選定することを推奨します。

PSRR
PSRR

デューティーサイクルを確認するように言われますが、何が問題になりますか?

デューティーサイクル(Duty Cycle)は大雑把に計算すると、出力電圧(VOUT)÷入力電圧(VIN)となります。製品毎に最大(MAX.)のデューティーサイクルが規定されているので、データシートの規定の範囲内で使用してください。製品によっては、最小(MIN.)値の規定をしている製品もあります。
デューティーサイクルの規定がない製品は、スイッチングのオン・タイム、オフ・タイムの規定を確認して下さい。この値を逸脱すると、スイッチングの周期が不安定になり出力電圧が安定しません。負荷電流を大きくすると顕著になります。降圧レギュレーターのDutyの式は、次の様になります。

Duty
Duty

リップルを小さくするにはどうしたらよいですか?

出力コンデンサーの容量を大きくして、ESR(等価直列抵抗)の小さなセラミックコンデンサーを使用してください。また、スイッチング周波数が高い電源ICを使うことでリップルが小さくなります。スイッチング周波数が高くなると、電源の変換効率が悪くなるので注意してください。

高いスイッチング周波数の製品を使うメリット・デメリットは?

メリットはインダクターなどの周辺部品を小型化できます。特性的には、リップルが小さくなることと、クロスオーバー周波数が高くなり、帯域が広くなるので負荷応答が良くなります。デメリットは、効率を良くすることが難しくなりますので、熱設計に注意が必要です。

昇圧スイッチング・レギュレーターは、どの様なところで使用しますか?

5Vから12Vや15Vのアナログ用電源を作る場合に使用されることが多いです。最近は、基板上の5Vのロジック電源も少ないことから、3.3Vをメイン電源として基板に供給し、5Vロジック電源を昇圧スイッチング・レギュレーターで作ることもあります。

リップルとは何ですか?

電源の入力・出力に現れる交流波形のようなノイズのことです。一言でいうと波です。リップルはDC/DCコンバーターの制御上、スイッチング動作(ON/OFF)を行っている為に発生します。また電源の特性の一つとして、出力電圧リップルが小さい事が望まれます。出力電圧の波が小さいという事は、出力電圧が安定していると言えます。

ライン・レギュレーションとは何ですか?

入力電圧が変動した際の出力電圧の変動量です。バッテリーなど入力の電圧が変動するシステム上で、FPGAのコア電圧などに使う電源は確認が必要です。

ロード・レギュレーションとは何ですか?

負荷電流が変動した際の出力電圧の変動量です。FPGAなどが軽負荷から最大負荷までの電流の変化量が大きい場合に、出力電圧の変動量が大きくなります。そのような場合に確認が必要です。

定電圧モードと定電流モードの違いを教えてください

定電圧モード(CV : Constant Voltage Mode)は、デジタルやアナログ回路に電源供給する降圧レギュレーターや昇圧レギュレーターなどの動作です。この回路は、負荷の電流が変わっても、一定の電圧を出力する特徴があります。 定電流モード(CC : Constant Current Mode)は、LEDドライバーやバッテリーチャージャーに使用するレギュレーターの動作です。この回路は、負荷が変わっても、出力に一定の電流を流す特徴があります。

負荷応答性(Load Transient Response)とはなんですか?

負荷電流が急に変動した時に、出力電圧がオーバーシュート、アンダーシュートします。この負荷急変に対して出力電圧が設定電圧に戻る速さのことです。FPGAやCPUなどの動作がスリープモードからバーストモードに移行する回路では、この負荷応答性が早い電源が求められます。

絶対最大定格で、ケース温度の保証値が150℃であるのに対し、ジャンクション温度の保証値が125℃の製品があります。これは、どうしてでしょうか?

ケース温度の保証値150℃は、デバイスを動作させていない状態でもケース温度が上限の150℃を超えてはいけません。例えば、175℃のオーブンに長期間保存した場合に製品の保証はできないことになります。ジャンクション温度は、製品を動作させている状態でジャンクション温度が125℃を越えない様にして使用することを規定しています。例えば、ケース温度が150℃以下でも、計算したジャンクション温度が125℃を超えている場合は使用不可となります。

古い電源ICでは、0.9V出力に対応できないものがあると聞きますが、最低出力電圧は何で決まりますか?

電源ICのリファレンス(基準)電圧で決まります。例えば、リファレンス電圧が1.2VのICでは最低電圧は1.2V設定までとなり、0.9V出力は設定出来ません。

電スイッチングレギュレーターのリップルが1V以上出ています。何が原因ですか?

測定方法に問題があると推測します。オシロスコープのGNDの配線を出来るだけ短くして測定してください。写真の様な形でプローブの先端を外して、GNDを短くするソケットなどを利用して測定してください。この測定方法によりGNDラインにのる高周波のノイズが取れて通常のリップル電圧レベルになると考えます。

測定方法
測定方法

Date sheet上に保存温度(Strage Tempreture:-60℃~150℃)とジャンクション温度(MAX 150℃)と 記載があるパワー素子の動作温度範囲は、何度でしょうか?

温度範囲の意味を順を追って説明します。

◎保存温度(Strage Temperature)
保管している時の絶対最大定格の温度条件になります。実使用上の考えでは、電圧をかけない状態で、デバイスの品質保証している温度になります。 例えば、実装後の基板において保管する温度や、使用環境下で動作させていない状態で品質保証可能な温度範囲となります。寒冷地で電圧が入っていない状態であれば、-40℃以下の状態になっても問題ありません。動作させる時にヒータを使用して動作保証範囲内の温度にすることで特性保証できます。

◎ジャンクション温度
パワーデバイスの場合、ジャンクションの温度が絶対最大定格にならない様に使用することが必要です。次の関係が成り立つ温度範囲で使用することが可能です。 動作温度(周囲温度)+ パワーデバイスの損失 × パッケージの熱抵抗 < ジャンクション温度 今回の場合であれば、室温(25℃)環境で使用する場合、ジャンクション温度が最大150℃の規定ですので、パワーデバイスの損失xパッケージの熱抵抗が125℃以下の範囲であれば使用可能となります。

◎動作温度範囲
パワー素子では、動作温度範囲が規定されていない製品があります。理由は、ジャンクション温度の項目の式で導き出すことが可能である為です。 ご質問に対する回答は、次のようになります。 動作温度(周囲温度)< ジャンクション温度 - パワーデバイスの損失 × パッケージの熱抵抗 を満足する範囲で使用することか可能です。

リニア・レギュレーターで、出力コンデンサーにセラミックコンデンサーを使用した時、出力電圧が不安定です。なぜでしょうか?

セラミックコンデンサーはESRが小さい為位相余裕が取れない条件となり発振していると考えられます。ESRの大きなアルミ電解コンデンサーなどを使用してください。セラミックコンデンサー使用が必須の場合は、セラミックコンデンサー対応のリニア・レギュレーターを選定してください。

リニア・レギュレーターのTAB端子を、VOUTと接続するように記載がある製品があります。ケースのGNDと接続するようにしたいのですが、問題はありますか?

VOUTと接続指定のTAB端子のリニア・レギュレーターは、VOUTと接続をお願いします。TAB端子はVOUTと内部で接続されていませんが、GNDには接続できない構造となっています。ケースやGNDなど、放熱的に有利な部分に接続する場合は、絶縁の放熱シートなどで、TABと基板を電気的に絶縁して接続することを推奨します。

リチウムイオンバッテリーを使用した機器で出力3.3V設定で使用します。入力が3.3Vになった際に3.3Vを出力し、3.3V以下になった場合も入力と同じ電圧が出力される降圧のレギュレーターを教えてください。

デューティーサイクル100%の製品を選定してください。若干、入力-出力間にロス分の電圧差が発生しますが、入力電圧が出力設定電圧以下になった場合、入力のUVLO(Undervoltage Lockout)電圧まで入力電圧と近い電圧が出力され続けます。 この図で説明すると、入力電圧(赤)が下がり始め3.3V以降は入力と同じ傾きで出力電圧(緑)も減少します。入力電圧が2.5V付近になるとUVLOの閾値を超えるので出力はオフ状態となります。

1.2Aスイッチ内蔵の昇圧スイッチング・レギュレーターを使って入力電圧5V, 出力電圧12Vで1Aの出力を得ようとしましたが、電流400mA程度までしか出力が得られません。1.2Aまで可能と記載があるのに、なぜでしょうか?

昇圧スイッチング・レギュレーターのデータシートに記載があるスイッチ電流は、入力電流の最大値になります。昇圧レギュレーターの出力電流の計算式は、出力電流 = 入力電圧 × 入力電流 × 効率 ÷ 出力電圧 となります。 今回の例では、効率が90%と想定すると、5V × 1.2A × 0.9 ÷ 12V = 450mAとなります。

シャットダウン・ピンで電源をオフしようとしても出力ピンに電圧が出ています。なぜでしょうか?

シャットダウン・ピン(SHDN)でオフすると、内部のスイッチング動作が停止します。しかし、下記の様な構成の昇圧コンバーターでは、出力VOUTが入力VINにインダクターとダイオードで接続されている為、電圧が出力ピンに出てしまいます。これを対策する為には、入出力間にパワーFETが入っている、入出力切り離し(ディスコネクト)機能付きの昇圧コンバーターを選定してください。

不具合関連 Q&A

電源回路から音がするのですが、何が原因でしょうか?

入力フィルターの構成が影響している可能性が有ります。入力コンデンサーとしてESRの大きい電解コンデンサーなどを追加して改善するかご確認ください。

関連記事:第1回電源ドックコラム

恒温槽で基板評価している際に、電源回路の焼損が多発しています。高温により電源回路が破損しているのでしょうか?

恒温槽に入れる際に、安定化電源と基板を接続する配線が長くなっていることが原因の可能性が有ります。電源の配線を短くするか、安定化電源から供給する電源の立ち上がりを遅くして改善するかご確認ください。

関連記事:第2回電源ドックコラム

電源回路のスイッチング波形を確認したところ、スイッチング波形がパルススキップして間欠発振しているようです。対策方法を教えてください。

負荷が軽負荷条件の為、パルススキップ動作している可能性が有りますので負荷条件を確認してからご使用の電源製品において、パルススキップする負荷条件に該当しないか確認してください。 問題が無い場合、入出力電圧から得られるデューティー比とスイッチング周波数から電源ICのMinimum On Time規定を逸脱していないか確認してみてください。Minimum On Timeを逸脱してもパルススキップする可能性があります。

関連記事:第3回電源ドックコラム

電源を切った後すぐに電源を投入すると基板上のDC/DCコンバーターの出力がオン・オフを繰り返して出力が正常に立ち上がりません。対策方法を教えてください。

電源を切った直後の場合、DC/DCコンバーターの出力側に電圧が残っている場合があります。 その場合、入力は出力電圧よりも低く、DC/DCコンバーターはプリバイアス状態となってしまい、上手く起動しない場合があります。 対策方法としては、プリバイアス状態でも動作するDC/DCコンバーターを使用するか、出力側の電圧が抜けた後で起動するようにしてください。

関連記事:第4回電源ドックコラム

DC/DCコンバーターの評価ボードを入手して、冷却スプレーを使用しデバイスの低温試験をしています。常温では問題無く動作しているのですが、冷却スプレーで低温にすると出力電圧が不安定になります。 なぜ低温でDC/DCコンバーターの出力は、不安定になることがあるのでしょうか?

低温になることで、周辺部品(特にコンデンサー)の特性が変わることで、出力電圧が不安定になることも考えられますが、一番の原因は冷却スプレーを使用することで、水滴が溜まりピン間やGNDへのリーク電流が流れることで出力が不安定になることがあります。恒温槽で低温試験をして同様の現象が発生するか確認してください。

関連記事:第5回電源ドックコラム

ボードの電源を投入すると、DC/DCコンバーターの出力が単調増加せずFPGAが上手く動作しません。 DC/DCコンバーターの出力が単調増加する電源ICを教えてください。

DC/DCコンバーターの出力が単調増加しない場合は、ラッシュ電流が流れることで出力が不安定になっていると推測できます。ソフトスタート機能付きで、IC外部で抵抗やコンデンサーの定数設定で起動時間を変更できるDC/DCコンバーターを選定するようにしてください。

関連記事:第6回電源ドックコラム

協力会社の部品実装ラインから、電源投入後ICが焼損する不具合が多発していると問い合わせがありました。デバイスの問題と思うので、解析頂く事は可能でしょうか?

焼損不具合が実装後の電源投入で多発した場合は、基板実装条件と基板デザインによる問題の可能性が高いです。X線などで半田の濡れ性などをチェックしてみてください。その後、解析可能か確認していく流れになります。

関連記事:第7回電源ドックコラム

DC/DCコンバーターの出力電圧が不安定です。他のエンジニアに確認したところ、出力コンデンサーの配置が悪いのでは?と言われてしまいました。出力コンデンサーの配置で気を付けるべき点など教えてください。

出力コンデンサーの容量がメーカー推奨の値になっていない可能性がありますので確認してください。また、コンデンサーの容量が合っていても、コンデンサーの特性の違いや基板上のコンデンサーの配置(電源ICとは異なる面への実装)により出力が不安定になることがあるので注意してください。

関連記事:第8回電源ドックコラム

DC/DCコンバーターの設計は基板のレイアウト(アートワーク)が重要と聞きます。 どの様な問題が発生するのでしょうか?また、設計する際に、何を参考に設計すれば良いでしょうか?

様々な問題が発生する可能性があります。一番大きな問題としては、レイアウトの問題により、過電圧破壊が発生する可能性があります。また、電源の出力が発振して不安定な出力を出すこともあります。レイアウトを行う際は、メーカーが提供しているデモボードのレイアウトを参考に設計してください。

関連記事:第9回電源ドックコラム

電源ラインを長くして基板評価をすると、基板上のDC/DCコンバーターが壊れます。電源ラインを短くすると、不具合は全く発生しません。何が原因でしょうか?

電源ラインのインダクターンスとDC/DCコンバーターの入力コンデンサーのESRの関係で破損が発生していると考えられます。入力コンデンサーのESR小さいセラミックコンデンサーのみの場合、電源ラインを長くすると電圧のオーバーシュートでDC/DCコンバーターを壊す可能性があるので注意が必要です。

関連記事:第10回電源ドックコラム

DC/DCコンバーターで12Vから0.9Vを作ってICに電圧供給しているのですが、0.9Vの負荷電流が大きくな ってくると、ICが誤動作しています。
原因は、電流値が大きくなった際に、12Vのスイッチングノイズが影 響を与えているようなことまで分かりました。0.9Vラインに出力コンデンサーを追加し、フェライトビーズフィルターを入れてみたのですが、全く効果がありません。何か良い対策方法を教えてください。

1つは、12Vのスイッチングノイズが原因の場合、出力側ではなくDC/DCコンバーターの入力側(12Vライン)にフェライトビーズを入れてください。また、12V層と0.9V層の間にGNDを入れて分離してください。

関連記事:第11回電源ドックコラム

複数社の電源ICを同一基板で評価する為にICの足にジャンパー線で接続して評価しているのですが、電源ICが壊れてしまい困っています。対策方法があれば教えてください。

電源ICは、ジャンパーで接続してしまうとジャンパー線のインダクターンスの影響でICに過電圧が掛ってしまいます。その為、ICが過電圧破壊で壊れます。ジャンパーで接続せずに電源ICメーカーが出している評価ボードを取り寄せて、ICを評価してください。

関連記事:第12回電源ドックコラム

FPGA搭載の基板が上がってきて、電源を入れたところタイミングによって電源が正常に立ち上がらない為 動作しないボードが発生することが分かりました。
原因は、電源モジュールの過電流検出が効いて電源が立ち上がらない様です。FPGAの消費電力を計算したところ、搭載している電源モジュールで十分供給できる はずなのですが、何が問題なのでしょうか?

起動時に電源モジュールの過電流検出が効いているとのことですので、一度、FPGAの電源シーケンスを守っているか確認してください。電源シーケンスを守らない場合、ラッシュ電流が大きく流れる可能性があります。それでも、改善しない場合は、電源のソフトスタート機能を使ってラッシュ電流を減らしたり、出力コンデンサーの容量を減らして改善するか検証してみてください。

関連記事:第13回電源ドックコラム

PCI-ExpressのLink-Upが上手くいかない基板が発生しています。電源電圧を上げると上手くいく確率が高くなります。電源が原因のようです。対策方法を教えてください?

FPGA直近のPCI-Expressに関連する電源電圧を確認してみてください。基板上のIRドロップにより要求電圧が印加されていない可能性が高いです。フェライトビーズや0(ゼロ)Ω抵抗を入れている場合にもそれぞれの抵抗値によりIRドロップが発生しますので、取り外して半田ブリッジなどで改善しないか確認してみてください。

関連記事:第14回電源ドックコラム

電源ラインにフェライトビーズを入れるとデジタル信号の信号品質が悪くなったり、無線の特性が悪くなる場合があると聞きました。フィルターを入れて特性が悪くなることがあるのですか?

基板上には、LとCで反共振の周波数ポイントが出来てデジタルや無線の信号品質に影響を与えたり、最悪ICの誤動作に繋がるような場合があります。PDN(Power Distribution Network)解析などを実施して大きな反共振点が無いか確認することも重要です。

関連記事:第15回電源ドックコラム

DC/DCコンバーターの出力電圧が不安定です。他のエンジニアに確認したところ、出力コンデンサーの配置が悪いのでは?と言われてしまいました。出力コンデンサーの配置で気を付けるべき点など教えてください。

出力コンデンサーの容量がメーカー推奨の値になっていない可能性がありますので確認してください。また、コンデンサーの容量が合っていても、コンデンサーの特性の違いや基板上のコンデンサーの配置(電源ICとは異なる面への実装)により出力が不安定になることがあるので注意してください。

関連記事:第8回電源ドックコラム

マクニカの電源ドックサービス

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