電源ドック技術担当の佐々木です。
このコラムでは、色々なお客様サポートの中で複数回遭遇した、電源に関する不具合事例をご紹介していきたいと思います。
お客様から「A社と B社の DC/DC コンバーターの比較評価中に電源ICが焼損する問題が発生したのでサポートしてほしい」との問い合わせが。
評価方法は十分に注意
詳しい症状はこちら
- A 社と B 社の電源 IC はピンコンパチ品
- 過去に A 社で設計した基板を使用した試作評価中に焼損が発生
- A 社の電源 IC を使用した場合、焼損は起こらない
- B 社の電源 IC を使用した場合のみ、焼損が発生する

評価ボードで検証していた時は、B 社の電源 IC も全く問題無かったのですが、自社の基板で評価を始めたら焼損が発生するようになってしましました。
価格面ではB社が魅力的なので、ぜひ使いたいのですが・・・

そうなんですね。ではまず、回路図とレイアウト図を確認させていただきますね。
回路図とレイアウト図を確認

回路図も B 社の電源 IC 用に定数変更していますし、レイアウトも問題なさそうですね。

なにが原因なのでしょう・・・

全く動かない状態ですか?

いいえ、はじめは正常動作しているのですが、評価途中で焼損してしまいます。

では、実際に評価しているところを見せていただけますか?
実験室へ移動し、実際に評価方法を見てみると、、、


(なるほど。そういうことだったのか!)
原因が分かりましたよ。
どうやら評価方法に問題があったようです。
電源 IC を基板に実装せず、リード線で基板と接続しているせいで焼損が発生しています。

え!電源 IC の変更が楽なのでリード線で接続して評価していたのですが、これだとダメなんですか?

この方法だと、GND 接続部のリード線のインダクタンス成分によって電源ICの絶対最大定格を超える電圧が発生し、電源 IC が焼損する可能性があるんです。

そうなんですね。。。では電源 IC を基板に実装して評価をしてみます!
その後、電源 IC を基板に実装し同様の評価をおこなったところ、焼損は発生しなくなりました。
電源 IC が焼損した原因
電源 IC を基板に実装せず、リード線で接続していたこと。
今回のポイント

電源 IC の評価は、必ず基板に実装しておこなう!
(この手間を惜しむと、今回のようなトラブルの原因になります。)
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