電源ドック技術担当の佐々木です。
このコラムでは、色々なお客様サポートの中で複数回遭遇した、電源に関する不具合事例をご紹介していきたいと思います。
今回のコラムでは、
で紹介した「電源設計において陥りやすい問題点」などを確認しながらトラブルを解決していきます。
ぜひ皆さんも
を見返しながら、どこに原因があるのかを一緒に考えてみてください。
電源が上手く起動しないのはなぜ?
ある日、「電源を入れても、ボードが起動しない」という問い合わせが。
お客様から話を聞いていくと、電源 IC がオン・オフを繰り返しているせいで、ボードが起動しないということが分かりました。
(これは電源設計で陥りやすい問題点を1つずつ確認していく必要がありそうだな)
まずは電源回路を確認させてください。
出力部分ですが、大容量コンデンサーを使用していませんか?(第6回コラム参照)
いえ。メーカー推奨の回路図をそのまま流用しているので、大容量コンデンサーは使っていません。
大容量コンデンサーを使用すると 電源がオン・オフを繰り返してしてしまう理由はこちら
では次に、電圧について確認です。
測定した電圧は、プリバイアス状態になっていませんでしたか?(第4回コラム参照)
はい、プリバイアス状態にはなっていません。
電圧がプリバイアス状態になっていると電源がオン・オフを繰り返してしてしまう理由はこちら。
[電源コラム] 第4回 オン・オフを繰り返すと、電源が立ち上がらない・・・!?
なるほど。。では電流なども含め、全ての電源の動作確認をしてみましょう。
実際に電源の動作を確認
確認の結果、電源 IC に流れる電流値が過電流リミットに達していることが分かりました。
そのせいで過電流保護が働き、電源がオン・オフを繰り返していたようです。
それにしても、なぜ過電流リミットに達するほどの電流が流れていたんでしょうか?
負荷電流の見積もりはどのように算出しましたか?
ボード上の IC が全て動作している時の最大電流値で算出しました。
こちらはメーカーにも確認をしたので間違いないと思います。
うーん。。。
では、起動時のラッシュ電流の値はどうでしょうか?
どのデバイスもラッシュ電流が最大値になっていますが、これらは過電流リミットを超えていません。
そうなると、あとは電源シーケンスの確認ですね。
電源 IC メーカーが推奨している電源シーケンスは守っていますか?
・・・。
実は推奨の電源シーケンスは守っていないんです。
でも試作評価時に確認をして、特に問題は発生していないので大丈夫ですよね?
いいえ。残念ながら、こちらがトラブルの原因だと思います。
多くの方がやりがちですが、評価時の確認で問題ないと判断してしまうことはとても危険です。
量産時にトラブルが発生しないためにも、メーカー推奨の電源シーケンスを適用することがとても重要なんです。
そうだったんですね。。。
てっきり問題ないと思っていました。
電源のイネーブル制御でシーケンスを組んで、再度確認していただけますか?
その後の確認で、やはり電源シーケンスの変更が原因と判明しました。
後日メーカー推奨の電源シーケンスを適応し、トラブルはなくなりました。
電源 IC がオン・オフを繰り返した原因
電源シーケンスの変更により、過電流リミットに達する電流が流れてしまったこと。
今回のポイント
電源シーケンスはメーカー推奨のもの適応する。
(評価時の確認による判断は非常に危険です。)
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