電源ドック技術担当の佐々木です。

 

このコラムでは、色々なお客様サポートの中で複数回遭遇した、電源に関する不具合事例をご紹介していきたいと思います。



お客様から「 FPGAのトランシーバーの通信エラーが出て困っている」との連絡が。

電源回路周辺のみのチェックで大丈夫?

お客様
お客様

数枚の基板でのみ、問題が発生しています。。
FPGA 周りの電源回路図や内部の論理設計なども見直しているのですが、原因が分からず行き詰っております。。。

私

まずは基板上のすべての電源電圧をチェックしてみましょう。

電源電圧をチェック

私

ん?この抵抗は何ですか?

お客様
お客様

これはデバック用に取り付けている 0(ゼロ)Ω 抵抗です。
これによって電源と負荷を切り離したり接続したりしています。

Article header library 127913 pic01  1
PCBデザイン(イメージ図)
私

なるほど。
(これはあやしいな・・・)

では次に、トランシーバーに関係する電源の電圧を測定しましょう。
FPGA 直近の端子で電源電圧を測定していただけますか?

FPGA 直近の端子で電源電圧を測定

お客様
お客様

あ!電圧が 100mV もドロップしています!
これだと FPGA の要求スペックを満たしていません。。

私

そうでしたか。この電源の内層パターンを見せていただけますか?

電源の内層パターンを確認

私

なるほど。
(これはあやしいな・・・)

お客様
お客様

電源パターンはできるだけ太くしているつもりなのですが、どこか問題はありますか・・・?

私

(ここにも問題があったか。。)

そうですね、問題が2つ見つかりました。

まず1つ目は、先ほどの0(ゼロ)Ω 抵抗のところです。この部分で配線が細くなっています。
2つ目はスルーホールの数です。
他の配線用に多くのスルーホールを開けていますが、これが原因で電源パターンが細くなっています(メッシュパターン)。
この2つが原因で抵抗値が上がり、電圧が下がってしまったようです。

Article header library 127913 pic02  1
電圧降下解析結果のイメージ
お客様
お客様

ちょっとしたパターンの変化なのに、そんなにシビアな問題なんですか?

私

そうですね。
特にトランシーバー電源など、1.0V 以下の電源回路は配線パターンによる電圧降下の影響が大きいので、
あらかじめ降下分を見積もり、配線幅に問題がないかをチェックする必要があります。

お客様
お客様

そうなんですね。今後は気をつけるようにしたいと思います。

電源電圧降下の原因

0(ゼロ)Ω 抵抗とスルーホールにより、細くなってしまった配線パターン



今回のポイント

私

1.0V 以下の電源回路では、事前に電圧降下を見積もることが必要!
(それにより、電源要求を満たせるかどうかを判断する)

おすすめ記事/資料はこちら

電源コラム 一覧


電源に関するよくある質問

おすすめセミナー/ワークショップはこちら

アナログソリューション 電源設計セミナー

 

アナログソリューション 熱設計セミナー

 

デジタル回路設計者向け電源に関する基礎セミナー



電源ドック