電源ドック技術担当の佐々木です。

 

このコラムでは、色々なお客様サポートの中で複数回遭遇した、電源に関する不具合事例をご紹介していきたいと思います。



ある日のお客様との商談中。。。

過電圧破壊が原因!?

私

電源回路の不具合は、実はとても多いんですよ。

お客様A
お客様A

そうなんですか。。。
そういえば、うちに電源でトラぶっているエンジニアがいるんですが、相談に乗ってもらえませんか?

ということで、さっそくそのエンジニアの方と打ち合わせをすることに。

お客様B
お客様B

電源のオン・オフを繰り返していると、 上手く立ち上がらないことがあるんです。。。

私

(もしかして、内部のFETが損傷しているのでは。。。 だとすると大変だ。。。

調べてみると、内部FETの損傷は起こっていなかったため、まずは一安心。



ではいったい何が原因なのか??



波形と回路図を確認したところ、以下のことが判明



  • 電源のオン・オフを繰り返しているうちに、設定値より低い値で出力電圧が安定
  • 12V を出力するために大容量のコンデンサーを配置
  • VIN立ち上げ時、UVLO(3.5V)を超える際のVOUTは5V程度(下図)

 

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立ち上げ時の出力電圧の様子
私

(なるほど・・・)
今回の原因は、この電源ICが "プリバイアス状態での電源起動に対応していない" ということですね。

お客様B
お客様B

"プリバイアス状態での電源起動" って、何ですか・・・?

プリバイアス状態の電源起動とは?

電源起動時に、出力電圧(VOUT)が入力電圧(VIN)と同等か、高い電圧状態のこと。



今回の場合、入力電圧が 3.5V(UVLO)のときの出力電圧が約 5V だったため、

VIN < VOUT

となり、プリバイアス状態での電源起動であると言えます。



今回のポイント

私

電源起動時の VINと VOUTの電圧に注意!
(プリバイアス状態で起動していませんか?)

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