電源ドック技術担当の佐々木です。

 

このコラムでは、色々なお客様サポートの中で複数回遭遇した、電源に関する不具合事例をご紹介していきたいと思います。



ある日、お客様からこんなお問い合わせがありました。

評価中にPOL電源が壊れる原因は?

お客様
お客様

FPGAと親和性の高いPOL(point-of-load)電源を評価していたところ、次々とモジュールが壊れて出力が出ない状態になり困っています。。

早速訪問して、打ち合わせを開始。

 

データシートを確認しつつ、お客様から試験条件などをヒアリングしました。

私

(試験条件を聞く限りだと、壊れる要因は見当たらないなぁ・・・。)

そこで実際に、試験状態を見せていただくことに。



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試験環境イメージ
お客様
お客様

安定化電源と恒温槽内の電源モジュールを銅線で繋いで、直接電圧を印加しています。

私

・・・!?
この状態で、安定化電源のスイッチOn/Offにより電圧を印加しているのですか?

お客様
お客様

はい、何か問題がありますか?

私

・・・この試験方法だと、電源モジュールの入力側に定格以上の電圧が印加されている可能性が高いです。
とりあえず電圧波形を確認してみましょうか。

そして、安定化電源の出力部と電源モジュールの入力端子の電圧をオシロスコープでモニターしてみました。



すると・・・

 

安定化電源のスイッチOn/Offにより、電源破損の原因となる電圧を捉えることに成功!



実は・・・

 

安定化電源は設定の5Vを示していましたが、モジュールの入力端子では絶対最大定格の7Vを超え、瞬間的に10V以上の電圧が印加されていたのです!

私

(やっぱり原因はこれだったんだな。。。)

過電圧が発生する原因 → 細くて長い銅線

今回の試験では、細長い銅線を使用していました。細長い銅線は、インダクタンスが大きくなるので注意が必要です。

 

電源の入力フィルターは、セラミック・コンデンサーのみで作られていることが多く、急峻に電圧を印加すると、セラミック・コンデンサーのESR(等価直列抵抗)が小さいため、瞬間的に大きな電流が発生し、細長い銅線のインダクタンスにエネルギーが蓄積されます。

 

蓄積されたエネルギーがインダクタンスからセラミック・コンデンサーに移行する際に大きな電圧スパイク(過電圧)を発生させ、これが故障の原因となったようです。



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過電圧が発生する仕組み

今回のポイント

私

長い配線を使用する際はインダクタンスに注意!

アプリケーションノートのダウンロード

長い配線+セラミックコンデンサーの条件で、過電圧が発生することを詳しく解説している、アプリケーションノートがダウンロードできます。

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