センサをつかった革新的な技術が増えているなか、静電容量式のセンサが注目されています。
水位を計測するには、一般的にフロート型のセンサを想像される方も多いかと思います。
ここでは、Texas Instruments社(以下TI)の静電容量式センサを用いて水位センサが簡単に作れることをご紹介します。

そもそも、静電容量式センサとは?

静電容量式センサとは導電性物質(金属など)とGround間に形成される静電容量に対して、他の物質(対象物)が接近することで生じる誘電率の変化を静電容量の変化として捉えるセンサです。

用意するのは静電容量式センサと”金属テープ”

静電容量は、コンデンサ(=電気を蓄えたり放出したりする電子部品)などの絶縁された導体において、どのくらい電気エネルギーが蓄えられるか表す量で、スマートフォンやタブレットのタッチパネルなど、身近で利用されることの多い技術です。

では、水位を測る場合、どうすれば良いのでしょうか?
答えは簡単です。金属テープを使い、金属テープの静電容量を計測することで、簡単に推移が計測が出来ます。

実際に水位を測る場合、下図の様な構成になります。

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金属テープ(センサ部)は容器のどこにあっても計測可能

前述では、静電容量を計測するために金属テープを容器に貼る方法をご紹介しましたが、金属テープは容器から離しても、容器内の液体に接触させても計測が可能です。
これにより、様々なアプリケーションへの応用が可能になります。
 
3つの構成で応用が可能

  • センサ部を容器に接触させたセンシング
  • センサ部を容器から離したリモートセンシング
  • センサ部を液体に接触させたセンシング
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高いノイズ除去性能を持ったFDC2214を使うことがポイントです

FDC2214は静電容量式センサで、既存のソリューションに比べて非常に高いノイズ性能を提供し、あらゆる環境で人体や物体を検知できる低コストの静電容量ベース・センシングを実現しています。

特徴としては下記3つが挙げられます。

  • 非導電材料の透過検出が可能
  • 水位変化を静電容量変化として検出
  • 従来型に対し、約60倍のノイズ除去性能を実現する、Narrow Band方式の静電容量センサーを採用


下記のTI社動画では、従来の静電容量センサとFDC2214のノイズ除去性能を比較するデモを紹介しています。



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静電容量式センサ評価モジュール [FDC2214EVM]

FDC2214が搭載された評価ボード(FDC2214EVM)をご用意しています。FDC2214EVMにはUSBポートがあり、PCに接続するだけで簡単に評価が可能です。ソフトウェアはGraphical User Interface(GUI)をインストールするだけで、レジスタ設定の変更や、静電容量値の変化を視覚的に表示させることが可能です。



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リファレンスデザイン[TIDA-00317]

さらに液面検出の用途で参考にして頂ける、金属テープのリファレンスデザイン(TIDA-00317)がございます。販売はしておりませんが設計情報などをぜひ参考にしてみてください。

FDC2214を使ったその他のリファレンスデザイン

センサ情報をWi-Fi経由でクラウド接続

TI社が提供しているWi-FiマイコンCC3200モジュールが搭載された開発プラットフォーム「CC3200MOD LaunchPad」とFDC2214EVMを繋げることで、取得したデータをWi-Fi経由でクラウドへ転送し、水位の遠隔監視が可能です。AWSへの接続実績もありますので、興味のある方はぜひこちらの記事をご覧ください。

AWS Summit Tokyo 2016 「IoT パビリオン」ブースに出展:静電容量センサを使い水位を計測、可視化する展示 

最後に

静電容量式センサと金属テープで簡単に水位センサを自作する方法をご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。より詳細な試作品の作り方や検出精度の最適化などについてまとめた連載記事もありますので、是非そちらも覗いてみてください。
本掲載記事は当時の製品ステータスを元に執筆されております。製品をご検討の際は、最新の情報をメーカー若しくは代理店へご確認の上進めて頂けますようお願い申し上げます。

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FDC2214EVM
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