先日、弊社とお付き合いのある工作機械メーカー様をお招きし、技術交流会を開催しました。

技術交流会は以下4つのプログラムで行い、ここでは3つ目のプログラムである「【マクニカエンジニアによる講演】デジタル革新を牽引するキーテクノロジー」の内容をご紹介します。
また、当日の資料はこちらからダウンロードすることができます。
※資料のダウンロードには個人情報の入力が必要です。

1. EMOブログ①(計3回)
2. 参加型パネルディスカッション】業界キーマンが工作機械のデジタル革新の真髄に迫る
3.  【マクニカエンジニアによる講演】デジタル革新を牽引するキーテクノロジー
4.  【特別講演】価値変遷で世界と闘う〜伊勢の老舗食堂『ゑびや』から世界屈指のAI企業『EBILAB』へ変化できたワケ〜

マクニカエンジニアによる講演は、以下3つのテーマで行いました。

① 5Gがもたらす製造業への影響
② 自律学習型のAIで汎化性問題を解決とAI実装から始まるビジネスモデル改革
③ 事例から見る振動センシングの本質

① 5Gがもたらす製造業への影響

5Gについて

昨年の秋、ラグビーの試合会場で5Gを用いて「マルチアングル視聴」などを実現し、世界的に5Gの活用が始まっています。
4Gから5Gへの大きな変化としては、高速大容量通信、多数同時接続が可能になることと、高信頼性があげられ、その活用により単なる技術的な環境の変化ではなく、デジタル改革を促進するためのマネタイズプラットフォームになることが期待されます。

製造現場のデジタル化におけるニーズと無線活用の実態、今後の活用方法

現在の製造業のトレンドとして、大量生産、多品種少量生産から変種変量生産へと移行しようとしている点が挙げられます。
その流れの中で、さらなる製造現場のデジタル化・無線化による効率化が求められています。
しかし、産業用ネットワークで無線を活用する際の課題に、有線に比べ遅延が発生してしまう点や信頼性に欠ける点があります。
5Gの活用により、低遅延、信頼性向上の実現が可能となります。
さらに工場内の機械の時刻同期をするIEC/IEEE60802 TSN(Time Sensitive Network)という規格の実装も検討が進められています。

また、ローカル5Gを採用することで、個別ニーズに応じて柔軟に構築でき、通信事業者のサービスと比較して、他の場所の通信障害や災害、ネットワークの輻輳などの影響を受けにくいネットワーク環境を構築することができるようになります。
5Gの活用でスマートファクトリー化を促進できると考えています。

 

【5Gがもたらす製造業への影響 資料目次】
・5Gとは?
・製造現場における無線ニーズと実態
・製造現場デジタル化におけるニーズと無線活用の実態
・産業ネットワークと5G URLLC(高信頼性・低遅延)
・製造現場への適用

② 自律学習型のAIで汎化性問題を解決とAI実装から始まるビジネスモデル改革

汎化成の壁と自律学習型のAI

製造現場にAIを活用するための取り組みが広まってきていますが、実証実験(PoC)の段階ではうまく動くものの、実際の製造現場では工具の違い、外乱などの影響によりPoCで作成したAIモデルでは対応できないケースが多く見られます。
解決策としてさまざまなパターンをAIに学習させる手法もありますが、AIモデルが大型化、複雑化してしまいますし、経験上、すべての状況を学習させるのは不可能に近いことがわかりました。
これを汎化性の壁と呼んでいます。
その解決策として、機械の中の工具や、チャックごとなどの限られた環境の中のみで動かす小さなAIを複数組み合わせ、各AIに各環境を自動的に学習させ続ける自律学習型AIを活用していけると考えています。

AI実装から始まるビジネスモデル改革

自律学習を可能にさせるためにはどのデータをどのように取得するか、といったデータサンプリング方法や、AIが推論した結果の評価など、AIの使いこなしのためには工作機械メーカー様のナレッジが必須となります。
さらに自律学習型AIを実装するということはイコール、エンドユーザーの稼働状況を工作機械メーカー様が取得、蓄積できることになります。
このデータを持つことができれば、工作機械を販売するのではなく、工作そのものを販売するサービスへビジネスモデルを変化させていくことが可能であると考えます。

【自律学習型のAIで汎化性問題を解決とAI実装から始まるビジネスモデル改革 資料目次】
・汎化性の壁
・自律学習型AIとは
・自律学習型AIが実現する世界
・自律学習を実現するためのシステムとは
・お客様のビジネスモデルに

③ 事例から見る振動センシングの本質

工作機械のAI/IoT 化による新たな価値の提供

工場のIoT 化が進み、さまざまな機械が「つながる」だけではなく、ダウンタイムの削減、メンテナンスコストの最適化、加工精度異常検知など、データの利活用による新たな価値提供が求められています。
それらを実現させるために振動センサーを取り付けてセンシングし、さまざまな状態を把握するケースが増えてきています。
動的機器の不具合は振動の変化・増大となって現れることが多いためです。

振動センシング事例紹介

例えば産業機械の予知保全では、NC旋盤の軸受グリス切れや、フライス盤の工具不良を検知するために振動センサーを利用した例があります。

振動センシングのデータには異常や不良による情報以外にもさまざまな事象の情報が含まれているため、データにばらつきが発生します。
また、設置個所の影響もあるので、それらの勘所も必要になります。
正しくデータを取得する(どのようにデータを取得し活用するかを事前に考慮する)ことで、異常の検知等、様々な場面で役立てることができます。

事例から見る振動センシングの本質 資料目次
・工作機械のAI/IoT 化による新たな価値の提供
・工作機械種類別の代表的な課題と解決へのアプローチ
・振動センサーの特徴
・振動センシング事例紹介
・振動センシングを進めるにあたってのひとつの考え方

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