SensorTag(CC2650STK)の3つの特長で紹介しているSensorTagは、評価、デモンストレーション用として簡単に利用可能なIoT評価キットです。おかげさまで多くの方にご利用頂いておりますが、それに伴い、お問い合わせ頂く件数も増加しております。そこで本記事では、お問い合わせの多いトップ3と、上級者向けの情報をご紹介します。SensorTagをお持ちの方、これからご購入を検討されている方に必見の記事です。
第1位 ハードの故障?センサの値が突然表示されなくなった
最も多いお問合せが、センサの値が突然表示されなくなるという現象です。
下の図は専用アプリを使ってSensorTagの値を表示させたものです。湿度が「--%rH」と表示されたり、加速度、磁気、ジャイロスコープの値が「0.00」、グラフも表示されません。前日までは正しく計測できていたのに、電池を抜いて本体の再起動を行っても正しく動作しないという現象が起きたことはありませんか?
もしかしてハードウェアの故障?と思う前に、試して頂きたいことがあります。

対処法:新品電池への交換
センサの値が突然表示されなくなる原因は電池の電圧低下が考えられます。センサの推奨動作電圧範囲を下回った場合、センサが止まったり、異常な値を出してしまうている可能性がありますので電池交換をお試しください。また、使用する電池は海外製品の一部で新品でも電圧が低い製品があるため、日本国製の電池をご使用ください。
では電池を交換してみましょう。

湿度センサ(HDC1000)は推奨動作電圧範囲の最低値が2.7Vと、他のセンサより少し高いため、特に、湿度の値がおかしい場合は電圧低下の影響を疑ってください。
センサ値の異常表示以外に下記のような場合も電池を交換してみてください。
- BLE接続ができたりできなかったり動作が不安定な場合
- LEDが一瞬点灯したものの、その後BLE接続が切れてしまう場合
第2位 専用アプリで「Sensor View」のページからすぐに接続デバイスの一覧ページに戻ってしまう
TI社から提供されている専用アプリ「SensorTag」に関するトラブルで一番多いのがこの現象です。
「SensorTag」アプリを起動して、接続デバイスの一覧よりデバイスを選択。「Sensor View」を選んで起動するも、少しの間(1~2秒程度)「Sensor View」が表示されセンサデータを受信できているような動きをしますが、すぐに接続デバイスの一覧ページに戻ってしまう現象が発生することがあります。

対処法:電池交換、最新ソフトウェアに更新
専用アプリ「SensorTag」に関するトラブルを解決するには3つの対処を試してください。
- 電池交換
先ほど電圧低下に関する事象をご紹介しましたが、こちらも電圧が低いことで接続を保てなくなっていることが考えられますので新品電池に交換してください。
- 「SensorTag」アプリのアップデート
Ti社から提供される専用アプリは開発用であり、iosやandroidの更新にともなって日々アプリも更新をおこなっていることから、動作がおかしいと感じた際はアップデートの有無を確認してください。
- 最新F/W(ファームウェア)の書き込み
Ti社では開発・デモ用のファームウェアの精度を上げるために日々更新をおこなっています。そのため、最新の「SensorTag」アプリと古いF/Wを使用することで不具合が出ている可能性があります。「SensorTag」のアプリ上、もしくは、CC-DEVPACK-DEBUGを使用して最新のファームウェアをご使用ください。
第3位 最新のF/Wにアップデートをする方法はありますか?
F/Wにアップデートをする3種類の方法
SensorTagにF/Wを書き込む方法は3種類あります。
バージョン変更前にこちらのFAQをご参照ください。
SensorTag側のソフトウェア、ハードウェアバージョンごとにスマートフォンアプリ、MP001Cと接続した際の動作確認結果はありませんか?
- ios/androidの「SensorTag」アプリを使ったOver the Air Download (OAD)
SensorTagを最新のF/Wにアップデートしよう -OAD編- - SmartRF Flash Programmer 2とCC-DEVPACK-DEBUGを使用したアップデート ※
SensorTagを最新のF/Wにアップデートしよう -Flash Programmer 2編- - CCSとCC-DEVPACK-DEBUGを使用したアップデート ※
SensorTagを最新のF/Wにアップデートしよう -CCS編-
※ 2と3の方法は、別途、CC-DEVPACK-DEBUGをご購入頂く必要があります。
※ 2と3の方法は、旧バージョンのF/Wを書き込むことが可能です。
SensorTag + CC-DEVPACK-DEBUGでご使用頂く際の注意
SensorTagには、USBポートが用意されPCと接続しますが、USBを接続した場合であってもボタン電池を使用して頂く必要があります。もし、未挿入のままUSB給電を開始すると最悪の場合、SensorTagの故障、破壊につながります。

上級者向け番外編 TIのオープンソースを使用していますが、最近購入したSensorTagではセンサデータが受信できなくて困っています
TI社が提供するSensorTag用オープンソースを使用した際、2016年10月以前に購入したSensorTagは問題なく動作するのに、10月以降に購入したSensorTagはアドバタイズパケットが受信できるのみで、以後の通信が全くできないという現象が確認されました。
原因:BLE Stackの更新によるGATTサービス変更の影響が考えられます
2016年10月からこのSensorTagに搭載されたWirelessマイコン向けのBLE Stackが更新され、BT4.2になりました。この結果、一部GATTサービス(ハンドル)に変更がありました。
対処方法:古いF/Wに戻してください
古いF/Wを書込むことで正常動作します。
現在、最新版のGATTテーブルについては公開されておりませんが、過去の情報についてはこちらの「5 Gatt Server」をご参照ください。
TI社では準備が整い次第、オープンソースを更新する予定です。ソースのご使用を検討されている方は最新版のリリースまでお待ちください。
まとめ
いかがでしたか?
最も多く質問を頂いたセンサ値の表示については、一部のセンサのみが誤表示するのでハードウェアの故障と考えてしまいます。しかし、電圧低下が原因でセンサが動作していなかったというケースが多ので、まずは新品の電池に交換してみてください。
また、3位のF/Wにアップデートをする方法を参考に、SensorTagを“Eddystone Beacon”にすることができますので、是非、お試しください。
SensorTagを“Eddystone Beacon”にしてみた
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