EVの駆動性能を高める!アナログ・デバイセズのインバーターソリューション

BEV(電気自動車)、HEV(ハイブリッド車)、PHEV(プラグインハイブリッド車)などのEVは、2030年には新車販売台数の半分以上を占めると言われ、世界中の車メーカーが開発を加速しています。

駆動性能に直結するトラクションインバーターには、小型化、高い効率、高度な安全性が要求されますが、「どの部品を選べば良いかわからない」「性能向上につながる部品があれば検討したい」とお困りの設計者も多いのではないでしょうか?

ここでは、インバーターの性能を高めるアナログ・デバイセズのソリューションを紹介します。

インバーターの構成とアナログ・デバイセズの製品ラインナップ

車載半導体で豊富な実績を持つアナログ・デバイセズは、EV開発者のニーズに応える高性能なラインナップを総合的に展開しています。

今回ご紹介するのはインバーターソリューションですが、「オンボード・チャージャー (OBC) 」、「バッテリー・マネジメント・システム (BMS) 」、「DC/DCコンバーター」といったEVのパワートレインに対して多様なソリューションが提供されています。


インバーターを構成する主要なデバイスとして、絶縁型ゲートドライバー、絶縁電源、絶縁アンプ、デジタルアイソレーターなどが挙げられます。アナログ・デバイセズはそれぞれに複数のソリューションを持ち、システムに応じて最適なデバイスの選択が可能です。

その中から、今回は特におすすめのソリューションをピックアップして紹介します。

インバーターの安全性、信頼性を高めるiCoupler🄬 技術

インバーターの性能向上には、アナログ・デバイセズならではのデジタル・アイソレーション技術「iCoupler🄬 技術」が貢献します。ポリイミド絶縁体を採用した磁気絶縁方式により、従来のフォトカプラーの課題を克服。絶縁信頼性の向上、伝送レートの高速化、低消費電力、回路の小型化を実現しています。

iCoupler🄬 技術とは?磁気によるアイソレーションとフォトカプラーの比較動画

iCoupler🄬 技術に基づいた磁気絶縁方式について説明した動画です。フォトカプラーとの違いが理解できます。

iCoupler🄬 技術は20年以上にわたってさまざまなデバイスに適用され、これまでに50億チャンネル以上の出荷実績があります。豊富な実績を持つiCoupler🄬 技術の活用で、信頼性の高いインバーターを実現できます。

インバーターの駆動性能を左右する絶縁型ゲートドライバー

インバーターで使われるデバイスの中でも、パワースイッチと並び駆動性能を左右する重要なデバイスが絶縁型ゲートドライバーです。

アナログ・デバイセズの絶縁型ゲートドライバーは、iCoupler🄬 技術によって、コモンモード過渡耐圧 (CMTI) を犠牲にすることなく、超低伝搬遅延を実現しています。シリコンベースのIGBTMOSFETだけでなく、ワイド・バンド・ギャップ材料をベースとしたSiCGaNにも対応できますので、これらと組み合わせることで、高効率化、小型化に貢献します。

その一例が、30A対応のSiC向けゲートドライバー「ADuM4177」です。オン抵抗0.4Ω未満を実現し、業界最高クラスの駆動能力を提供しています。

DESAT、ソフトシャットダウン、ミラークランプ、電圧監視、障害レポートなど、保護機能や自己診断機能が充実し、機能安全 (FuSa) にも対応しています。EEPROMにプログラム可能なレジスタを持ち、SPIでアクセスできます。また、SPIを介してスルーレートの選択が可能です。

アナログ・デバイセズの絶縁型ゲートドライバーの中でも、ADuM4177は最高性能のデバイスです。

また、シンプルな製品を使いこなしたい方には、「ADuM4135」も見逃せません。DESAT検出やミラークランプ、ソフトシャットダウンといった基本機能を備え、100kV/µsCMTI55nsの伝搬遅延特性という十分な性能を実現しています。

他にも複数の製品がありますので、システムの仕様や構成にあわせて、選択が可能です。

 

ADuM4135

ADUM4137

ADUM4138

ADUM4177

Channel

1

1

1

1

Fly back Ctrl.

No

No

Yes

No

Negative Supply

Yes

No

No

Yes

Sprit Out

Yes

Yes

Yes

Yes

Miller Clamp

Yes (Internal Switch)

Yes (External Switch)

Yes (External Switch)

Yes (External Switch)

Slew rate control

No

No

No

Yes

Analog input

No

2ch

2ch

1ch

UVLO

VDD1, VDD2

VDD1, VDD2

VDD1, VDD2

VDD1, VDD2, VSS2

OVP

No

No

No

VDD2, VSS2

DESAT/Over Current

DESAT

OC

DESAT,OC

DESAT

Active Short Circuit

No

No

No

Yes

Soft Shutdown

Fixed

Adjustable

Adjustable

Adjustable

EEPROM 

No

Yes

Yes

Yes

SPI Interface  

No

Yes

Yes

Yes

Package

16-Lead SOIC-W

28-Lead SOIC-W

28-Lead SOIC-W

28-Lead SOIC-W

システムにあわせて選択が可能な製品ラインナップ:トラクションインバーター向け絶縁型ゲートドライバー

小型化に貢献する絶縁電源(フライバックコントローラー)

次に、小型化に貢献するアナログ・デバイセズの絶縁電源(フライバックコントローラー)を紹介します。

従来のフライバックコントローラーは、出力電圧をモニタリングするフィードバック回路にフォトカプラーが使われているため、回路の複雑化や大型化の要因となっていました。

一方、アナログ・デバイセズのフライバックコントローラーは、フォトカプラー不要で出力電圧をレギュレーションできるバウンダリーモードを採用しています。これにより、十分なレギュレーション精度を保ったまま、部品点数の削減、回路の小型化が実現できます。

多くのトラクションインバーターでは、6個の絶縁型ゲートドライバーに対して、それぞれ絶縁電源が配置されます。アナログ・デバイセズのソリューションを使用することで、インバーターの大幅な小型化を実現できます。

フライバックコントローラーの一例が、65V/1.2Aスイッチを内蔵する「LT8301」です。入力電圧範囲2.7V42Vを実現し、12Vバッテリーの車載アプリケーションに最適です。

また、もう少し大きな供給電流が必要な場合には、65V/3.6Aスイッチ内蔵の絶縁型電源コントローラー「LT8302」もおすすめです。他にも複数のラインナップがありますので、入出力仕様に応じて選択が可能です。

 

VIN Range

Internal Power Switch

POUT

LT8301

2.7V - 42V

1.2A/65V

~2W

LT8302

2.8V - 42V

3.6A/65V

~5W

LT8300

6V - 100V

0.23A/150V

~2W

LT8303

5.5V - 100V

0.5A/150V

~4W

LT8304

3V - 100V

2.0A/150V

~12W

LT8315

18V - 560V

0.3A/630V

~10W

LT8316

18V - 630V

external

~80W

フライバックコントローラー LT830xシリーズのラインナップ

アナログ・デバイセズのインバーターソリューションは、システム仕様や設計思想にあわせて多様な選択肢を提供し、最高レベルの安全性と電力効率を備えた、小型のインバーターの実現に貢献します。

本記事でご紹介したソリューションは評価ボードが提供されています。手軽にお試しいただくことが可能です。ご興味をお持ちの方は、どうぞお気軽にお問い合わせください。

アプリケーション例

BEV(電気自動車)

・HEV(ハイブリッド車)

・PHEV(プラグインハイブリッド車)

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また、本記事に関連した「EVの駆動性能を高める!アナログ・デバイセズのインバーターソリューションセミナー」というセミナーを過去に開催しました。もし開催したセミナー資料をご希望の方がいましたら、問い合わせ内容に ”EVの駆動性能を高める!アナログ・デバイセズのインバーターソリューションセミナー資料希望"と記載のうえ、お問い合わせください。

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