はじめに

昨今、自動車業界ではEV(電気自動車)、ADAS(先進運転支援システム)、AD(自動運転)、セキュリティ対応にともなうECUの統合化など、車のテクノロジーの進化・環境の変化により従来の車両構造から大きな変革期を迎えています。

その大変革にともない、車両1台に搭載する半導体の搭載数は年々増加し、MCU/SoCの処理能力が上がるにつれ、大電力化へシフトしています。このような状況下、この記事をご覧いただいている皆様は車載ECUの設計においてこんなお悩みはお持ちではないでしょうか?

・大電流に対応する電源を使用すると発熱が問題になってしまい、冷却対応・放熱機構に苦慮している。
・冷却対応・放熱機構に時間をかけたが、周辺部品含めて基板サイズが大きくなってしまう。
・大電流化にともないノイズ対応のため、設計・評価工数が膨大になってしまっている。
・ノイズ対策のためのノイズフィルター部品がどんどん追加になってしまう。

そんな数々の悩みを解決するのが、アナログ・デバイセズ社のセカンダリー電源です。今回は、車載ECUの大きな設計課題となっているMCU/SoCの大電力化にともなう発熱・サイズの大きさ・低EMIの実現を容易にする、サイレントスイッチャー機能搭載のセカンダリー電源をご紹介します。
※サイレントスイッチャーとは、アナログ・デバイセズが提供する低EMIのスイッチングレギュレーターです。

詳細は以下の記事をご覧ください。
CISPR25 Class5要求をクリア!車載ECUのノイズ設計を容易にするスイッチングレギュレーター

セカンダリー電源とは?

セカンダリー電源のセカンダリー (secondary) とは、一般的に、車載バッテリーから数えて2段目以降の電源を指しています。車載バッテリーから直接入力するレギュレーターではなく、別のレギュレーターから降圧された電圧を入力として使用する電源をセカンダリー電源と呼んでいます。アナログ・デバイセズのセカンダリー電源は、低電圧入力/高出力電流の製品のラインナップを数多く用意しています。

今回は、その代表製品「LTC3311S」を一例に、アナログ・デバイセズ社のセカンダリー電源を使用するメリットをご紹介していきます。

発熱課題を解決する高い変換効率

電源ICの発熱はスイッチングレギュレーターの場合、その多くが電源自体の変換効率に起因しています。

そのため、まずはじめに変換効率の良い電源ICを選ぶことが発熱課題をクリアするのに最も重要だと言えるでしょう。

アナログ・デバイセズのセカンダリー電源の変換効率は、92%を超える高い効率で、大電力が必要なケースで発熱を抑えながら変換することができます。

LTC3311Sの高い変換効率(出典:LTC3311S データシートより抜粋)

厳しいサイズ要求に応えた2つの特長

周辺部品の少ない省パッケージ

車全体の電装化にともない、車載用ECUは、サイズに対するリクエストも年々強くなってきており、それと同時に、基板に対するサイズの課題が大きな設計ポイントとなっています。

アナログ・デバイセズのセカンダリー電源は、パッケージサイズを小さくしつつ、非常に少ない周辺部品で簡素に設計することができます。

LTC3311Sは、3mm x 3mmLQFNとサイズはコンパクトなままに、最大で 12.5Aの電流を出力することができる製品です。

LTC3311Sの小型パッケージ

業界トップレベルの高速スイッチング周波数

また、LTC3311Sは、業界最高水準のスイッチング周波数~10Mhzで駆動することが可能です。

スイッチング周波数を速くすることで、Voutコンデンサー・インダクターの容量、サイズの小さい部品が選択でき、周辺部品の単価低減、部品点数削減によるコストメリットが生まれるだけでなく、設計の工数も削減することができます。

周辺部品の低コスト化に貢献(出典:LTC3311S データシートより抜粋)


実際にLTC3311Sのデモボードをご覧いただくと、サイズは周辺部品含めて1cm角に収めることが可能です。

下図LTC3311Sデモボードの出荷時設定は、スイッチング周波数が2MHz駆動になっていますが、周波数を10Mhzに変更して設定することで、インダクター・Voutコンデンサーの容量をさらに小さくし、サイズ全体を1cm角未満にすることができます。

LTC3311Sデモボード平面図

アナログ・デバイセズの大電流セカンダリー電源ラインナップ

アナログ・デバイセズのセカンダリー電源は、ECUの大電流化ニーズに適応した、大電流出力可能なラインナップを用意しています。

また、20Aを超えるようなさらなる大電流のシステムにも対応するため、Multiphase Operationの機能があります。

下記の通り、LTC3311S4pcs使用し、それぞれのPGOOD pinMODE/SYNC pinITH pinに接続すれば、Iout 50Aの出力が可能です。

LTC3311Sのマルチフェーズ接続(出典:LTC3311S データシートより抜粋)


アナログ・デバイセズのセカンダリー電源は大電流出力のラインナップを多く取り揃えており、同社の主力製品として、続々と新しいデバイスがリリースされています。マクニカでは、お客様の要求仕様にマッチしたデバイスのご提案が可能ですので、お気軽にお問い合わせください。

アナログ・デバイセズのセカンダリー電源ラインナップ

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Analog Devices Inc. LTC3310S同期降圧型Silent Switcher® 2

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