色々なお客様サポートを行っていると、電源回路の設計で良くご質問を頂くのはノイズの低減方法です。降圧型DC/DCコンバーターを設計するにあたり、低ノイズ電源回路設計を行うポイントは、次の3つだと考えられます。
1. 基板のレイアウトと部品配置
2. 使用する部品のパッケージ
3. 電源ICの性能
今回は、最新のデバイスLT8640を題材にして、この3つのポイントについて考えてみたいと思います。
基板のレイアウトと部品配置
LT8640は、サイレントスイッチャーシリーズでパワー素子内蔵のモノリシックDC/DCコンバーターです。パワー素子内蔵タイプで、レイアウト設計と部品配置は簡単になっています。低ノイズの電源回路設計を行うためには、入力・出力コンデンサーおよびインダクターをLT8640と同一面に実装することを推奨しています。
最も注意頂きたいことは、入力コンデンサーの配置です。図1は、LT8640の参考レイアウトになります。赤丸がついている部分が入力コンデンサーですが、LT8640に出来るだけ近づけて配置されていることが分かります。
入力コンデンサーの配置をICに出来るだけ近づけて配置する理由は、図2にあるアナログデバイセズ社がホットループと呼んでいる赤線で描いているHigh di/dtの電流が流れるループを小さくするためです。EMIノイズを低減するためには、このホットループを小さくすることが重要です。ホットループを小さくするには、入力コンデンサーの配置をICに近づける必要があります。
ホットループが大きくなってしまうと、EMIノイズが小さくなるように設計したLT8640の様なデバイスを使っても、ホットループ内の寄生インダクタンス成分が大きくなることによりノイズが大きくなってしまいます。従って、入力コンデンサーの配置は物理的にLT8640の近くにあることが重要でありますが、寄生インダクタンスが無いようにレイアウトすることが重要です。
使用する部品
◎リードレス
使用する部品のパッケージは、リードレスタイプが望ましいです。リードがあるパッケージでは、必ず寄生インダクタンスができるので、ノイズの発生原因となってしまいます。電源ICやモジュールの周辺で使う受動部品は、リードレスの表面実装タイプの部品を使う事を推奨します。
また、電源ICやモジュールもQFNやLGA/BGAタイプのリードレスタイプのパッケージを選定するとノイズを低減することが可能となります。
◎フリップチップ
IC内部でボンデイングワイヤーを使ってしまっては、ワイヤーのインダクタンス成分が残ってしまいます。更に、インダクタンス成分を低減するには、ICのパッケージ内部でフリップチップ構造であることが望ましいです。
アナログデバイセズ社のサイレントスイッチャーシリーズ製品は、ボンティングワイヤー構造を使わずにフリップチップ構造のリードレスパッケージを採用しております。
電源ICの性能
使用する部品の構造に注意して選定し、設計した回路図のレイアウトに気を付けても、最初に選定した電源ICやモジュールが低ノイズ化を目指した設計思想になっていない場合、電源回路はノイズが大きくなってしまいます。
図4は、EMI対策品(水色)と未対策品(紫色)のスイッチング電圧波形です。 EMI未対策の電圧波形は、オーバーシュートが大きく表れています。高効率化の為、スイッチ電圧の立ち上がりが高速化していることが影響しています。 サイレントスイッチャーシリーズ製品は、高効率を実現しつつオーバーシュートが発生しないようにIC内部で対策しています(図3のEMI対策品波形参照)。
また、電源入力ピン(VIN)を2つ用意しデュアルホットループ構造により、放射ノイズを抑えています。 放射ノイズを抑える説明については、次のデモ動画にて詳しく説明させて頂きます。
サイレントスイッチャー製品の説明とデモ動画
まとめ
低ノイズ電源回路設計を行うためには、3つのポイントについて気を付けて頂ければと思います。電源ICや周辺回路で使用する部品の選定に注意し、レイアウト設計について十分気を付けて行うことが重要です。
最近は、高効率で低ノイズ対策を行っている新しいタイプのDC/DCコンバーターICが開発されています。使い慣れたICで設計して毎回ノイズ対策に悩んでいる場合は、サイレントスイッチャーシリーズの様な新しいタイプのICを検討してみては如何でしょうか?
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