車載電源回路のノイズ対策と小型化を実現。信頼性向上に最適なアナログ・デバイセズ(マキシム)の電源IC

近年、自動車には多様な車載向けアプリケーションが実装され、電源回路にも課題が多く発生しています。技術者は「ノイズを低減したい」「回路面積を減らしたい」「消費電力を削減したい」「ASIL規格対応のデバイスが必要」など、さまざまな設計課題を短い開発期間で解決することを求められています。

こうした課題をお持ちの方におすすめなのが、アナログ・デバイセズが統合した旧マキシム・インテグレーテッド社の電源ICです。ここでは、車載アプリケーションの電源回路における代表的な課題と、アナログ・デバイセズ(旧マキシム)の車載向け電源ICの特長、おすすめの電源ICを紹介します。

車載アプリケーションにおける電源設計の課題(1) ノイズ対策

電動化、自動運転、ADAS(先進運転支援システム)といった技術が急速に普及し、計器類から走行制御まで、車載アプリケーションは増え続けています。人命に直結するため、車載アプリケーションには高度な機能安全と信頼性が要求されています。

こうした中、電源設計の大きな課題となっているのがノイズ対策です。車載アプリケーションではノイズによる誤動作を避けるために、CISPR25を代表とする非常に厳しい規格が要求されます。そのため、技術者の方からは「低ノイズのデバイスを探している」という声が頻繁に聞かれます。アナログ・デバイセズ(旧マキシム)の電源ICは、複数の技術を組み合わせて、EMIノイズを低減しています。

内部配線には、従来のボンディングワイヤーによる接続に代えて、フリップチップ構造を採用しています。ノイズ影響の大きいワイヤーが不要になるため、高いスイッチング周波数でもノイズを低減できます。パッケージ内部では入力(SUP)とグランド(PGND)が左右対称構造となっており、EMIノイズの抑制に効果的です。

内部配線には高いスイッチング周波数でもノイズを低減できるフリップチップ構造を採用
内部配線には高いスイッチング周波数でもノイズを低減できるフリップチップ構造を採用
EMIノイズの抑制に効果的なMAX2040xシリーズのパッケージ構造図
EMIノイズの抑制に効果的なMAX2040xシリーズのパッケージ構造図

また、EMIを低減するスペクトラム拡散技術を採用しています。最小オンタイムが短く、2MHzのスイッチング周波数での動作が可能となっています。アナログ・デバイセズ(旧マキシム)の電源ICを採用することで、ノイズ課題に効果的にアプローチ可能です。

車載アプリケーションにおける電源設計の課題(2) 小型化

もう1つの大きな課題が、電源回路の小型化です。昨今アプリケーションの小型化が進むのにともない、電源回路の実装スペースは非常に小さくなっています。電源回路は、電源IC、インダクター、抵抗、コンデンサーといった複数の部品から構成されます。そのため、小型化に取り組む際には、周辺部品も含めて、回路面積、部品点数、電力密度、発熱、コストなどを総合的に検討することが重要です。

アナログ・デバイセズ(旧マキシム)の電源ICソリューションは、一般的な電源ICと比べて、フットプリントを約60%削減しています。その実現に寄与した技術の1つが、90 nmプロセスのダイサイズの採用による電力密度の向上です。また、フリップチップ構造もパッケージの小型化に貢献しています。

さらに、アナログ・デバイセズ(旧マキシム)の電源ICの特長として、優れた応答性や、内蔵FETのオン抵抗の低さが挙げられます。そのため、出力用コンデンサーや、温度対策デバイスなどの周辺部品の削減が可能となります。また固定出力や周波数固定のオプションがあり、外付け部品の低減が可能です。

アナログ・デバイセズ(旧マキシム)の電源ICで、電源回路全体の大幅な小型化を実現できます。

設計課題を解決するMaxim電源IC (1) 高スケーラビリティーのP90シリーズ「MAX20404/5/6」「MAX20408/10」

それでは、車載アプリケーションの電源回路設計におすすめのアナログ・デバイセズ(旧マキシム)の電源ICソリューションを具体的に紹介します。いずれも、主要な課題である「低ノイズ」「小型化」の解決に貢献する機能を備えています。 

高いスケーラビリティーが魅力となっているのが、「P90」シリーズである「MAX20404/5/6」「MAX20408/10」といった90 nmプロセスのデバイスです。同一フットプリントで、456810Aに対応する豊富なラインナップを提供しています。車載用プライマリー電源(12V系)に多く採用されています。

近年、製品の早期市場投入が要求され、設計スケジュールが非常にタイトになっています。スケーラビリティーの高いP90シリーズを採用することで、複数のアプリケーションに共通のフットプリントで電源回路の展開が可能となります。設計資産を流用できるため、開発期間の短縮とコスト削減が容易となり、設計の柔軟性も向上できます。

MAX20404/5/6の主な特長

設計課題を解決するMaxim電源IC(2) 3.5μAの超低Iqを実現「MAX25231/232/223」「MAX20075D/6D/7/9」

消費電力低減に大きく貢献できるのが「Ultra-Low Iq Family」としてリリースされている「MAX25231/232/223」「MAX20075D/6D/7/9」です。昨今、低消費が要求されている車載アプリケーション向けに広く採用されています。

車載アプリケーションは、内部にさまざまな制御基板が搭載されるため、各機能に対して消費電力の制限が発生し、OEM製品の設計課題となるケースが多くあります。そこで、自己消費電流(Iq)値が重視される項目の1つになっています。

MAX20075をはじめとする「Ultra-Low Iq Family」のデバイスは、3.5μAという非常に低いIq値を実現しています。OEM製品における消費電力の制約にお悩みの方に、ぜひ検討いただきたい電源ICです。

MAX20075D/6D/7/9の主な特長

設計課題を解決するMaxim電源IC(3) ASIL規格に対応「MAX20411」「MAX20011」

自動車安全水準であるASIL-Dに対応しているのがMAX20411、 MAX20011です。

従来アナログ・デバイセズで提供していなかったASIL対応の電源ICが、マキシムの統合でラインナップに加わりました。車載インフォテインメントシステム、クラスターシステム、ADAS ECU、インバーター、カメラモジュールなどに最適です。

MaximASIL電源ラインナップは、電源ICに搭載される一般的な保護機能に加えて、各種モニタリング機能や自己診断に必要な機能が実装されています。ASIL規格の厳しい安全要求に応えられる電源ICです。

本記事では、車載アプリケーションの電源回路を設計する方に向けて、課題解決に最適なADIMaxim)の電源ICを紹介しました。ご紹介した各デバイスの評価ボードをご用意しています。どうぞお気軽にお問い合わせください。

アプリケーション例

ADAS(先進運転支援システム)
・電気自動車
・車載カメラモジュール

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