前回の記事 LTspiceを使ってみよう - SPICEモデルを暗号化してみよう ではSPICEモデルを暗号化する方法をご紹介させて頂きました。今回の記事では、可変抵抗を作成したいと思います。

回路シミュレーションをおこなう際に、抵抗値を可変させてノード電圧や電流の動きを確認したい場合があります。しかし、LTspiceでは抵抗値を変化させる可変抵抗のような部品素子がありません。

そこで、今回は抵抗値を可変させる方法をご紹介します。

 

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抵抗のパラメーターを電圧源で設定してみよう!

通常LTspiceでは抵抗素子のパラメーターをR=10Ωなどの定数に設定しますが、R=<式>で設定することが可能です。また、<式>の中にノード電圧を指定することで、抵抗値を可変させます。

早速シミュレーションをおこないたいと思います。ここでは、抵抗値を1k~10kで可変させます。
記入した回路図、作成の手順は下記となります。

  1. 電圧源V1を用意してノード電圧を設定します。ここではノードを“VR”としました。
  2. 電圧源V1の電圧値を抵抗値とみなします。ここでは1秒間に1k~10kの傾きで変化させるために、電圧源をPWL(0 1k 1 10k)と設定します。
  3. 抵抗R1の値をR=<式>=V(VR)に設定します。
  4. トランジェント解析の設定と抵抗に電圧源V2(ここでは5V)を印加し、シミュレーションを実行します。
図1:ノード電圧を抵抗値のパラメーターに設定

シミュレーション結果の波形ビューワー上で、図2のように“Add Trace”よりV(out)/I(R1)を設定することで、時間軸に対して抵抗を可変させたシミュレーション結果を表示させることができます。

図2:R1の抵抗値

この方法を使うことで、トランジェント解析において抵抗値を可変することができるため、抵抗が変化した時の電圧や電流の変化を確認することができます。

.OP解析を使った可変抵抗の作成

図3:可変抵抗を用いた分圧回路
先程はトランジェント解析を使いましたが、ここでは.OP解析(動作点解析)を用いて抵抗値を変化させる方法をご紹介します。
 
この方法では”.step”のコマンドを使用して抵抗値を変化させます。また、その際のノード電圧・電流を確認することができます。
 
なお、.stepコマンドに関しては下記記事をご参照ください。
 
LTspiceを使ってみよう -「.step」でパラメータを変化させてみよう
 
ここでは抵抗R1,R2を可変抵抗とみなし、直流電圧源をつないだ場合の分圧したノード電圧のシュミレーションを実行します。
 
回路図を図3のようにし、抵抗のパラメータに変数’R’と、.stepコマンドで1k~10kΩの間で1kΩごとに可変させていきます。シミュレーション結果は、図4のようになります。
 
横軸が変化させた抵抗値、縦軸が可変抵抗器からの分圧された電圧値となります。
図4:抵抗値を変化させた時の電圧値

このように.stepコマンドと.OP解析により簡単に抵抗値を変化させた場合の、電圧ノードの変化を確認することができます。

今回検証したLTspiceデモ・ファイル

今回実施したシミュレーションモデル

最後に

今回は抵抗値を変化させる可変抵抗の作成方法例をご紹介させていただきました。

まだLTspiceを使ったことがない方は、下記のリンクよりLTspiceをダウンロードしてみてください!

ぜひ、一度お試しください。

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