これまでのESD対策
通常、RS-485 トランシーバーのようなシリコン・デバイスを過渡電圧から保護するには、ESDサプレッサー(TVSダイオード)のような外付けクランプ・デバイスが使用されます。
PN接合アバランシェ・ブレークダウンの低インピーダンスで電圧スパイクをある制限値にクランプすることにより、ESDからの保護が実現されます。
TVSダイオードは過渡電圧が発生して、サージ電圧が TVSブレークダウン電圧より大きくなると、TVS の抵抗が小さくなってクランプ電圧を一定に維持します。過渡電圧は、瞬時 (<1ns) にクランプされるため、保護対象のデバイスへ損傷電流が流れるのを防止します。
TVSダイオードは、ブレークダウン電圧より低い電圧で動作している場合、大きな抵抗と容量の並列接続でモデル化することができます。
このように、これまでESD対策にはESDサプレッサーのような外付け部品が使用されてきました。
ESD保護を強化したRS-485 デバイス - ADM3065E -

アナログ・デバイセズ社は、ESDサプレッサーのような外付け部品を使うことなく、ESD保護を強化した広範囲な RS-485デバイスを提供しています。
ADM3072Eのように部品番号の後ろに文字Eが付いているのは、ESD保護が強化されていることを表しています。
この製品群へ新たに3.0V ~ 5.5 Vの IEC静電気放電 (ESD) に耐えるRS-485トランシーバーADM3065Eが追加され、トランシーバー・バス・ピンで±12 kVの接触放電にラッチアップなし、または損傷なしで耐えることができます。
ADM3065Eの特徴

- 全電源電圧範囲で TIA/EIA RS-485 に準拠
- VCC の動作電圧範囲: 3.0 V ~ 5.5 V
- バス・ピンの ESD 保護
- IEC 61000-4-2 ≥ ±12 kV の接触放電
- IEC61000-4-2 ≥ ±12 kV の空気放電
- HBM ≥ ±30 kV
- ホット・スワップのサポート(グリッチ・フリーのパワーアップ/パワーダウン)
- 高速データ・レート: 50 Mbps
- レシーバーの短絡、オープン・サーキット、バス・アイドルに対するフェイルセーフ
- 最大 125 °C の広い温度範囲
- VCC ≥ 4.5VでProfibus に準拠
- 半二重
- バスに最大 128 ノードの接続が可能
- 省スペースのパッケージ・オプション
- 8 ピン、3mm × 3mm MSOPパッケージ
- 8 ピン・ナロー・ボディ SOIC_Nパッケージ
ADM3065Eのメリット
- 工業用フィールドバス
- 4.5V以下で電力供給された場合、すべての動作条件でPROFIBUSに準拠
- PCB面積が非常に制約されるモーター制御でのスペース削減
- VCC 3.0~5.5Vの動作電圧範囲による設計の柔軟性
- ビルディング・オートメーション
- ケーブルが動き、モーターとインダクターの距離が近い環境では頑丈な通信システムが必要
- IEC61000-4-2のESD保護(±12kVの接触放電、±12kVの空気放電)
- プロセス制御
- ホットスワップ機能により、バックプレーンの電力投入量の変更時にドライバーとレシーバーを適切にイネーブル
- 高速通信の要求を満たす50Mbpsのデータレート
モーター用エンコーダーにおけるADM3065Eの使用例
サーボドライブとエンコーダーとの間のRS-485通信は、通常、最大16MHzの高いデータレートと低い伝播遅延のタイミング仕様を必要とします。また、 ESDのような有害なEMC事象にさらされる可能性があります。さらにエンコーダーのPCB面積は非常に狭いスペースであり、小型のソリューションが必要です。
これらの課題に、高速・高いESD耐性・小型パッケージでADM3065Eが応えます。

想定対象アプリケーション
- 工業用フィールドバス
- プロセス制御
- ビルディング
- オートメーション
- Profibus ネットワーク
- モーター制御サーボ
- ドライブおよびエンコーダー

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