前回の LTspiceを使ってみよう - 出力過渡応答性の確認 では、出力電圧値をマウスホールド操作やカーソル追加機能を使って値を求める方法を紹介しました。 今回は、「.measure」コマンド(以後、省略形「.meas」)を使って、自動で電源回路の電圧変動の最大・最小値(Peak to Peak)を表示するシミュレーションを紹介します。
もしLTspiceを今から始められる方でしたら、以下の一覧から「基本編」を見ることをお勧めします。
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μModule® LTM8065の電圧変動値を確認してみよう!
LTspiceを使ってみよう - 基本編 を参考にして、降圧型スイッチングレギュレーターμModule® LTM8065の回路図(JIG回路)を呼び出します。
今回、0.5A→2A間で変動する負荷をLTM8065に与えるシミュレーションをおこないます。
変動負荷の設定方法はこちら LTspiceを使ってみよう - 出力過渡応答性の確認
シミュレーションの実行
「RUN」ボタンを押して、シミュレーションを実行します。出力(OUT)のノードと負荷電流(I1)をプローブして、出力電圧・電流波形を確認します。 次に、シミュレーション結果の赤枠部分を拡大してみました。

この拡大したシミュレーション結果上でマウスホールドやカーソルを用いて、負荷変動時の電圧変動値を確認することができます。
マウスホールド操作の詳細はこちら LTspiceを使ってみよう - DC/DCコンバーターの動作確認
本当に最大値・最小値が検出できているのか不安
しかし、それらの方法では、本当に赤丸部分の最大・最小値にカーソルを合わせているか不安が残ります。
シミュレーション中に、自動で電圧の最大・最小値を求めることができたら楽ですね。

「.meas」コマンドで電圧変動の最大・最小値の確認
「.meas」コマンドでシミュレーション結果から電圧変動の最大・最小値(Peak to Peak)を求めることが可能です。
1.回路図ウィンドウ上で右クリックすると下記メニューリストが現れます。
「Draft」→「.op SPICE Directive」を選択します。

2.「Edit Text on Schematics」のウィンドウが開くので、電圧変動を測定する「.meas」コマンド文を
次のように書きます。
.meas TRAN A pp V(out) from 0.6m to 1.5m

3.「RUN」ボタンを押して、シミュレーションを実行します。
4.シミュレーション終了後、回路図ウィンドウ上で右クリックすると下記メニューリストが現れます。
「View」→「SPICE Error Log」を選択します。

5.テキストファイルが開きます。
テキストの赤枠部分に電圧変動の最大・最小の値 a:PP(v(out))=0.13939が表示されます。一文追加するだけで、簡単に最大・最小値を求めることができました。

コマンドに関する説明
- .meas : シミュレーション結果から測定する場合に使用するコマンド
- TRAN : Transient解析のシミュレーション実行時に使う
- A:測定結果の名前(何でも良い。複数表示させた場合に分かり易くするため)
- pp:peak to peak (最大・最小値)を求める
- V(out):OUTノードの電圧
- from 0.6m to 1.5m:0.6msecから1.5msecの間

(補足) .meas 構文中の pp の部分を max にすると最大値、min にすると最小値を測定できます。
今回検証したLTspiceデモ・ファイル
LTspiceインストール済のパソコンで、zipファイルを同一フォルダに解凍後、LTspiceを実行すると波形表示が自動的に始まります。
.measシミュレーションファイル
最後に
今回は「.meas」に関する内容でしたが、他にも多種多様なコマンドが用意されています。今後も様々な機能についてご紹介していきますので、引き続きよろしくお願いします。
また、LTspiceセミナーも定期的に実施しています。LTspiceの基本操作を習得できますので、ご参加をお待ちしております。
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