今回、日本の製造業DXにおけるDX推進責任者のリアルな課題と、その解決策となる「Digital Execution Factory」、DXの内製化を実現する支援の本質や泥臭い支援の原動力などをデジタルインダストリー事業部 事業部長代理の阿部にインタビューしました。
本連載では、再現性のあるDXを生む「Digital Execution Factory」にたどり着くまでのサービスの変遷から、製造業DXのボトルネックや解決のためのポイントなど、「DXをカルチャーにし、日本の製造業が世界で再び輝くためのヒント」をご紹介します。(この記事は3回目/全4回)
インタビュー連載
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連載③:本記事(5min)
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連載④:「今がラストチャンス。ゲームチェンジが起こる製造業DXで、日本が世界に返り咲くその日まで」へ(近日公開)
「真の内製化」を実現するマクニカの伴走力
マクニカだからできる、ノウハウを移植する真の内製化支援
再現性やカルチャー醸成にはノウハウだけでなく、DX熟達者による伴走も重要だと思っています。マクニカの伴走は、一般的なDX支援サービスとどう異なりますか?
阿部:私たちの伴走の特徴をまとめると、戦略やビジョンを絵に描いた餅にせず、システムを現場に馴染ませるために、一緒に考え、悩み、手を動かし、DXをお客様のDNAにするために「横」に立って伴走するということです。
DXのような正解のない変革では、計画通りに進むことの方が稀なので、計画だけでなく実行が重要になります。一方、とにかく実行するために、ただシステムだけ作れば良いという話でもありません。戦略と実行や実装を行き来し、お客様だけで変革できるようになる伴走が必要であり、私たちはそこに特化しています。
DXの本質は「企業変革」です。変化の速い時代に対応するには、変革のエンジンを社内に持たなければなりません。いつまでも外部に依存するのではなく、自分たちでハンドルを握る必要があります。
だからこそ、私たちは変革の「パートナー」として、お客様と一緒に考え、一緒に悩み、一緒に推進するために「横」に立ち、持てるノウハウ・知識をすべてトランスファー(移転)することにコミットしています。
実際にお客様からは、「あるべき論の押し付けでも、丸投げでもなく、目指す世界を一緒に探索しながら近づいていく安心感がある。マクニカとなら壁を越えられる気がする」と言っていただけていることが、私たちの何よりの励みになっています。
チームの一員として一緒に悩み、一緒に汗をかく伴走
そのような立ち位置で、具体的にどのように信頼を獲得し、部門間の隔たりや動かない人を動かしていくのでしょうか?
阿部:信頼を獲得するために意識していることは、私たちが「同じ船に乗るチームメンバー」として活動することです。口で言うだけでなく、一緒に手を動かし、一緒にチームに入り込むということ。
信頼の質にも種類があると思っていて、「納品物が良かった」という結果の信頼もありますが、私たちが目指しているのは「一緒に汗をかいて、一緒に考え抜いた」というプロセスの共有による深い信頼関係です。その結果としてお客様からいただく「ここまで一緒にやってくれるとは思わなかった」「技術的な支援やメンタリングだけでなく、泥臭いところから一緒に走ってくれるパートナーは今までいなかった」といったフィードバックが非常に嬉しいです。
この信頼関係構築のために、具体的に以下の2つのアプローチを徹底しています。
- 腹を割ったコミュニケーションと惜しみない情報提供:「情報開示しない人は信用されない」というのは鉄則。再現性のあるノウハウや失敗事例を含めた生情報をとにかく提供します。さらに、私たちはもちろんですが、特に内製化支援の場合、共に動く推進者が社内で信頼されることも重要。私たち自身が情報やノウハウを隠さずオープンにする姿勢で、私たちの信頼獲得だけでなく、社内でのDX推進者の信頼獲得にも貢献していく。
- フィードフォワード(早期の巻き込み):「ある程度固まりました。決まりました。はいお願いします」という依頼では人は動かない。 だからこそ、なるべく早く情報を共有し、初期の段階から巻き込む。悩みや希望も含めて、共創していく。そうすることで、プロジェクトへの「当事者意識」と「愛着」が徐々に醸成され、それが結果として隔たりや対立の解消に繋がっていく。
この地道な積み重ねが、信頼関係を築き、部門間の隔たりを埋め、対立の解消に繋がっていると考えています。
また、情報の開示の仕方という観点では、私たちが提供する「デジタル・エグゼキューション・プラクティス」のPromotionでも「どうやって情報開示をしなければいけないか」を含めて規定されています。日本だけでなく、海外でも情報やノウハウ提供を非常に重要視しているからです。
例えば、ストーリーを持たせながら情報を開示するという手法です。最初のプロジェクトを実施する際、たとえ小さなプロジェクトであっても、そこに会社としての重要なストーリーを持たせ、インナーブランディングのように価値を浸透させ、組織全体の信頼と協力を得ていきます。
こういったDXプロジェクトにおける社内プロモーションは、すでに多くのお客様が重要性を理解しています。しかし、実際のプロジェクトになると、その認識以上にプロモーションが重要になります。 実際、マクニカCIOの安藤も、「プロモーションの重要性は理解していたが、ここまで必要だとは」と言っていました。 こういったプロモーションについても、一つ一つ規定しているデジタル・エグゼキューション・プラクティスは本当に強力です。
デジタル・エグゼキューション・プラクティスについて(外部サイト)
隔たりや対立は一朝一夕では解消しません。地道な伴走とDigital Execution Factoryやデジタル・エグゼキューション・プラクティスといったノウハウや仕組みを組み合わせて、一歩一歩進めていきます。
まとめになりますが、お客様の実際のメンバーとして「横」に立ち、一人一人と信頼を構築しながら、 プロセスから一緒に試行錯誤する。さらに、組織全体に価値をプロモーションしながら、お客様が自走できる仕組みを移植していく。これが私たちの伴走の本質になります。
可視化と雑談で、DX推進責任者のビジョンを形にする伴走
CIO/CDOを含めたDX推進責任者への伴走では、どういったことをしますか?
阿部:まず、「何が足りないのか」を明らかにすることです。
CIO/CDOを含めたDX推進責任者の方々は、やはりビジョンを持っている方が大半です。ただDXというテーマは、とても広義で、掴みどころがありません。お話を聞いていても、「やりたいことがあるのに様々なことが不足している」という状況が非常に辛そうです。
そこで私たちは、今不足しているケイパビリティを明確にし、足りないところを一緒に埋めていくことから始めることもあります。悩みを聞くというのはもちろんですが、実は「何がどれだけ足りないか」が分かることが、一つ目の大きな安心なんだと思います。
弊社ではこの可視化に「マチュリティ分析」というものを使うのですが、これだけでもお客様の状況が整理され、やるべきことの優先順位が決まります。
もう一つ重要なのが、「あえて無駄(雑談)を設計すること」です。
以前、あるDX推進責任を持つ役員の方と毎週金曜日の夕方に、あえて「テーマを決めない雑談」を1年ほど続けたことがありました。すると、「そういえばこんなことがあった」「現場でこんな声を聞いた」という何気ない会話の中から、「実はそれが一番重要だよね」という気づきが生まれることが多々ありました。
裏を返すと、「重要なことって最初から見えているのか」という話にも繋がると思います。テーマが決まった会議やデイリースクラムなどももちろん必要です。しかし、テーマを決めない雑談だからこそ、当初重要だと思ってないことが、話してみたら重要だと気づくことができる。
DXのように最初からすべてが見えているわけではない新しいプロジェクトは特に、あえて無駄や余白を設計する。そこからしか気づけないことが、CIO/CDOを含めたDX推進責任者のビジョン達成に向けた重要なピースになる。
こういった伴走もできることが特徴の一つかなと思います。
DXは「辛い」からこそ、大切にすべきマインド
継続顧客が「また一緒に働きたい」と口を揃え言うマクニカの人柄の正体
顧客の継続理由で、マクニカの「人柄」を挙げる顧客が多いです。この「人柄」を分解すると、具体的にどういった行動やスタンスになりますか?
阿部:ちょっと恥ずかしいのですが、一言で言えば「明るく楽しく元気よく」です。 「明るく楽しく元気よく、オープン・フラット・フェア」。これは弊社の社是のようなものですが、このスタンスで接することが本当に大事だと思っています。
なぜなら、基本的に私たちが取り組んでいるDXは「辛いこと」だからです。 もちろんやりがいはありますが、やはり現状を変えることには多大なストレスがかかります。
そもそも、今が幸せだったら変えなくていいんです。でも、「変わらなければ生き残れない」という危機感があるからやらなければいけない。つまり、プロジェクトは最初から「高ストレス状態」でスタートしているのです。
ただでさえ歯を食いしばって変革に取り組んでいるお客様に対し、私たちまで辛そうに仕事をしていたら、心が折れてしまいます。改革を実行するのは人間です。改革する人が折れてしまったら、変革は絶対に実現しません。さらに、一緒にやっていくプロセスにおいて、その時間が苦痛であってはならないとも思っています。
なので、お客様には「人が良い」とよく言っていただくのですが、これは「人徳がある良い人が集まっているから、人柄が良い」という話ではなくて。
明るく楽しく元気よく接し、心理的安全性を作ることで、辛いDXを乗り越え、前向きにプロジェクトに取り組めるようにすることが大事だと考えていますし、お客様が言う「人柄」の正体だと思っています。
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