IIoTで活躍する簡単に使える非接触センサ

インダストリアルIoT(以降IIoT)でセンサを利用するなら、非接触での検出ができ、かつ検出対象物の磨耗や損傷の心配が無い非接触センサがおすすめです。しかし、非接触のセンサといっても赤外線や磁気、光学センサなど様々な物がありますよね。

本記事では簡単に使える非接触センサとして、

  • インダクティブセンサ
  • 静電容量センサ
  • 超音波センサ


の3つに絞って、センサの検出原理と各センサで検出できる物を紹介します。

代表的な3つの非接触センサと各センサの検出原理

はじめに、インダクティブセンサ、静電容量センサ、超音波センサの検出原理を簡単に解説します。更に詳しく知りたい方は、各項目に合わせて掲載した技術記事をご覧ください。

インダクティブセンサ

インダクティブセンサ(誘導型近接センサ)は、相互誘導の原理を利用した近接センサです。

センサコイルに高周波信号を供給するとコイル周辺に電磁界が発生します。そこに金属/導体が近づくと、検出ターゲットの表面に渦電流が流れ、相互誘導の原理でコイルのインダクタンスが変化します。この変化をインダクティブセンサが読み取る仕組みになっています。

インダクティブセンサの利点

  • 金属/導体にしか反応しない
  • ほこりや塵の影響を受けない
インダクティブセンサの仕組み
インダクティブセンサの仕組み

静電容量センサ

静電容量センサは導電性物質(金属など)とGround間に形成される静電容量に対して、他の物質(対象物)が接近することで生じる誘電率の変化を静電容量の変化として捉えるセンサです。

また、静電容量センサには、検出する方式が自己容量方式と、相互容量方式と2種類あります。

詳しくはこちらの記事をご覧ください。
水滴が付いてもタッチ検出可能!2つの静電容量方式とは

静電容量センサの利点

  • 導体や絶縁体まであらゆる物質の検出が可能
  • PCBだけでなく、導体であれば、機構設計方法次第で、センサとして使用可能
静電容量センサの2つの仕組み
静電容量センサの2つの仕組み

超音波センサ

超音波センサはTOFという技術を使って測定します。TOF(Time of flight)とは、飛行時間という意味で、ある発したものが対象物に反射して返ってくるまでの時間を計測し、距離などの測定をする手法です。発するものとして代表的なものが光と超音波です。

超音波センサの利点

  • 色による影響がない
  • 広範囲の物を検出することができる
  • ほこりや塵の影響を受けない
超音波センサの仕組み
超音波センサの仕組み

インダクティブセンサ、静電容量センサ、超音波センサで検出できるもの

インダクティブセンサ、静電容量センサ、超音波センサそれぞれで検出できるものを下記の表にしました。

検出できるもの

インダクティブセンサ

静電容量センサ

超音波センサ

角 度

物体の有無

(衝突回避、ジェスチャ認識、位置検出等)

距 離

流 量

液 面

タッチ

 

なお、距離については、一般的にターゲットとの距離で選択すると良いと言われています。
3種のセンサ毎に計測できる距離が変わるので、開発するアプリケーションによって選んでいただければと思います。

距離の目安
距離の目安

また、具体的にどのセンサを使うかは、アプリケーションの仕様を決めてから選定する必要があります。

例えば簡単に何点か挙げると下記のような項目あります。

  • 検出の範囲
  • 測定の精度
  • サイズ
  • センサの取り付け方法
  • センサを設置する環境


このような情報から、各センサによって得意不得意がはっきりしてくるので、絞り込んでいきます。

各センサの代表的な用途については、Texas Instruments社(以降TI社)にて公開しているセンサのデモ動画をご用意しましたのでこちらをご覧ください。

インダクティブセンサ×タッチ検出 デモ動画

はじめにインダクティブセンサの特長と、このデモで使用するデバイスの紹介を行います。
デモはタッチコイルの付いたボードを使って金属ボタンを押すデモです。1:08からデモを行っています。

静電容量センサ×物体検知 デモ動画

この動画の前半では、静電容量センサの利点についてご紹介します。後半は静電容量センサの評価ボードを使ってセンサに手を近づけるデモや、人を検知するデモを行います。なお、デモは2:13から始まります。

静電容量センサで液面検出をさせたデモはこちら
[ IoT/M2M展 2017レポート] IoT PoV 検証モデル展示コーナー 水位計測事例

超音波センサ×液面/液体検出 デモ動画

この動画はデモの紹介前に超音波を使ったタイム・オブ・フライト(TOF)の測定方法について解説します。実際に行うデモは、液面測定と、水とアルコールを加えた水の液体識別を行います。

TI社のデモ動画で使用した評価ボード

インダクティブセンサ:LDC2114EVM

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LDC2114EVM(評価モジュール)は誘導性センシングを活用し、一体型金属上にあるボタンの押下を検出します。この EVM は、LDCTOUCHCOMCOILEVM、または WEBENCH で設計したカスタム化コイルを使用して、最大 4 個のボタンに接続することができます。

 

  • 0.625 サンプル/秒 の場合に 7μA 未満の消費電流
  • 最大 4 個のボタンをサポート
  • 専用のボタン・ロジック出力
  • ボタン押下の検出アルゴリズムを統合済みで、構成可能

誘電性タッチ・センサ・コイルの評価ボード:LDCTOUCHCOMCOILEVM

LDCTOUCHCOMCOILEVM

LDCTOUCHCOMCOILEVMは、誘導タッチアプリケーションのシステムプロトタイピングに最大限の柔軟性を提供するように設計されており、異なるコイルサイズでの評価が可能です。これには、金属のたわみを測定するためにコイルを任意の面に分離して接着できるように、スペーサとミシン目が一体化された5種の異なるサイズのPCBコイルが4つずつ組み込まれています。

 

  • プロトタイピング用にサイズの異なる5種類のコイルを4つずつ搭載
  • ボタン表面に簡単に取り付けるための一体型スペーサ
  • センサコイルボードからデバイスボードまで、使いやすいコネクタ

静電容量センサ:FDC2214EVM

FDC2214EVM

FDC2214EVM(評価モジュール)は静電容量性技術を使用し、誘導性と非誘導性のいずれの可能性もある任意のターゲット物体の存在検出を可能にします。このモジュールには FDC2214 の 4 チャネルのうち 2 チャネルに接続する 2 つの PCB 静電容量性センサ・サンプルが付属しています。FDC とホスト・コンピュータ間のインターフェイスとして、MSP430 マイコンが使用されています。

 

  • ボード上の複数の穴:評価とシステム設計のフレキシビリティを最大化
  • 2 個の異なるチャネルに対応する PCB 静電容量性センサ・サンプル
  • PC から USB インターフェイス経由で操作
  • 付属の GUI によりコンセプトの迅速な実装とデータ・キャプチャが可能

超音波センサ:TDC1000-C2000EVM

TDC1000-C2000EVM

※動画で紹介している「TDC1000-TDC7200EVM」が生産中止となりましたので、代替品のご紹介をします。

TDC1000-C2000EVM は超音波AFE TDC1000向け評価モジュールで、リアルタイム制御マイコンC2000も搭載されており、TDC1000の動作・性能を評価することができます。

 

このモジュールは、自動車の液体レベル検出、濃度と液体の識別、近接または距離測定など、多くの超音波検出アプリケーションにご使用いただけます。

 

  • ユーザー・フレンドリーな GUI インターフェイス
  • オンボードの C2000-TMS320F28035PAGを使用してデータを処理
  • 2 個の超音波トランスデューサ用コネクタと、2 個の RTD センサ用コネクタ
  • USB からの電力供給

お問い合わせはこちら

本記事でご紹介したTI社の開発キットや、センサ製品に関する詳細な情報をお求めの方は、是非こちらからお問い合わせください。

 

※本掲載記事は当時の製品ステータスを元に執筆されております。製品をご検討の際は、最新の情報をメーカー若しくは代理店へご確認の上進めて頂けますようお願い申し上げます。

 

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