本記事は、SPICE に用意されているドットコマンドについて解説します。今回は、パラメトリック解析で使う ドット step コマンド (.step ) について説明します。
最後のアンケートに回答頂くと、LTspice Help にある ドット step コマンド (.step) の補足資料をダウンロード頂けます。Help 資料は、ネットリストベースの資料ですが、本記事のように GUI で実際にシミュレーションを実行した解説資料を入手したい方はアンケート回答のご協力お願いします。
ドット step コマンド ( .step )
.step コマンドを使うことで、色々な解析時にパラメトリック解析をおこなうことが可能になります。
.step の 設定は、最大3つまで許容されています。
※ パラメトリック解析 : 色々なパラメーター(条件・数値)を変化させながら繰り返しシミュレーションし解析すること。
.step コマンドの構文にどのようなものがあるか、HELP の中で紹介されている内容を紹介します。
① .step oct v1 x y z
電圧源 V1 を x から y まで、1オクターブあたり z ポイントずつシミュレーションします。
② .step I1 x y z
電流源 I1 を x から y まで、z ステップでシミュレーションします。
③ .step param RLOAD LIST A B C
グローバルパラメーター Rload を x 、 y 、 z として 3回シミュレーションします。
④ .step NPN 2N2222 (VAF) x y z
NPN 2N2222 トランジスターの VAF を x から y まで z ステップ変化させてシミュレーションします。
⑤ .step temp X Y Z
温度を X ℃ から Y ℃ まで Z ℃ ステップで変化させてシミュレーションします。
パラメトリック解析の方法
参考回路の読み出し
ここでは、.step コマンドを使用したパラメトリック解析の設定方法を紹介します。
最初に、ベースとなる参考回路を読み出します。ADP7105 と言うソフトスタート機能付き LDO 製品の JIG 回路を読み出して使ってみたいと思います。 JIG 回路の読み出し方は、こちらの記事を参考にしてください。 ADP7105 の JIG 回路を読み出して、出力電圧を確認した結果が図1のようになります。

こちらの JIG 回路をファイル使って、ADP7105 がサポートしているソフトスタート機能の確認をおこなってみます。ソフトスタート機能は、SS ピンに接続するコンデンサーの容量の大きさによって電源電圧の立ち上がり時間を制御することができます。.step コマンドを使用して、立ち上がり時間が変わることを確認してみます。
.step コマンドは、Spice ditrective を選択して「 .step param x list 0n 2.7n 6.8n 10n 」と記述します。 x の値は、SS ピンに接続しているコンデンサー C2 の容量として設定しますので、容量値のところを右クリックして { x } と設定します。

コンデンサー容量を 10nF まで設定していますので、立ち上がり時間が 10msec 以上となるためトランジェント解析の時間を 6msec → 15msec と変更してシミュレーションを実行します。
実行した結果が、図3のようになります。 ほぼデータシートに記載のある立ち上がり時間であることが確認できました。
このように、LTspice を使用して .step コマンドを使ってパラメトリック解析をおこなうことで、回路定数などの違いによる特性の変化を事前に確認することができます。この機能を使うことで、実機に反映する定数についてシミュレーションを使い定数設定の目安を確認できるため、非常に便利です。

ドット step コマンド (.step) の補足資料ダウンロード
LTspice ヘルプ内の ドット step コマンド (.step) の解説は、ネットリストベースですが、アンケートにご協力いただければ本記事と同様に GUI ベースで説明している資料をダウンロード頂くことが可能です。ヘルプに出ている .step コマンドに対して、JIG 回路または Educational フォルダーの参照回路を用いてシミュレーションを実行できる資料となっております。アンケート記入後、補足資料ダウンロードURLをメールにて送付させていただきます。
今後こんなセミナーを実施して欲しい、こんな技術資料が欲しいなど、ご要望がありましたらアンケートの自由記述欄にご意見ください。皆様のご意見をもとに、お役に立てるようなセミナーの実施、技術資料の提供をさせて頂きたいと考えています。
最後に
まだLTspiceを使ったことがない方は、下記のリンクよりLTspiceをダウンロードしてみてください!
ぜひ、一度お試しください。
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もしLTspiceを今から始められる方でしたら、以下の一覧から「基本編」を見ることをお勧めします。
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