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本記事では、ローコード開発ツールの選び方から導入の落とし穴まで、製造業DX支援を多数手がけるSIerであるエクシオ・デジタルソリューションズ株式会社へのインタビューをもとに解説します。「とりあえず導入したが現場で使われない」「どのツールを選べばいいかわからない」という課題を抱える方に向けて、ツール選定の実践的なフレームワークと、失敗を避けるための視点を提供します。

なぜ今、ローコードが製造業に求められているのか

コアシステムだけでは変化に追いつけない

製造業のDXを語るとき、真っ先に挙がるのはERPPLMMESといったコアシステムです。しかし現実には、これらを導入した後も「現場で使われない」「業務変化に追いつかない」という問題が後を絶ちません。

その根本的な理由は、コアシステムが「変えにくい」ように設計されているからです。ERPPLMは業務の骨格を担うため、一度仕様を固めると変更コストが大きく、市場ニーズや現場の運用変化に柔軟に対応することが難しくなります。

エクシオ・デジタルソリューションズ株式会社をはじめ、製造業DXに深く関わるSIerが共通して語るのは、「コアシステム自体を頻繁に変えるのではなく、その周辺にローコードを配置して変化を吸収する」という発想です。ローコードはコアシステムを守りながら、業務変化・市場変化を迅速に反映させる層として機能します。

「2025年の崖」を超えた先で問われること

経済産業省が提唱した「2025年の崖」は、老朽化した基幹システムの刷新が進まなければ、2025年以降に年間最大12兆円の経済損失が生じるというシナリオです。この警鐘を受け、多くの製造業企業がERPMESの刷新に取り組んできました。

しかし崖を超えた先には、別の課題が待っています。システムを刷新しても、その後の業務変化にどう追随するか。市場のスピードに合わせてシステムを進化させ続けるためのアーキテクチャをどう設計するか。こうした問いに答える手段として、ローコード開発が注目を集めています。

また、Gartnerはローコードの役割が「アプリを速く作る手段」から「コアシステムをクリーンに保ちながら変化を吸収する層(コンポーザブルアーキテクチャ)」へと変化していると指摘しています。さらに直近では、AIエージェントプラットフォームとの連携という新たな展開も始まっており、ローコードの位置付けはより戦略的なものになっています。

ローコードツールは「生まれと育ち」で選ぶ

ローコードツールは一括りにされがちですが、その成り立ちによって得意・不得意が大きく異なります。製造業向けのDX支援を多数手がけるエクシオ・デジタルソリューションズ株式会社は、ローコードツールを「生まれと育ち」によって4タイプに分類しています。この視点を持つことが、ツール選定の最初の一歩です。

ローコードツール4タイプ分類の図

タイプ① RAD型(高速アプリ開発ツール)

代表例:Mendix、OutSystems
1970〜80年代に概念が生まれ、2010年代に再ブレイクした「Rapid Application Development(高速アプリ開発)」の流れを汲むツール群です。アプリ開発そのものを目的として設計されているため、複雑なデータ構造・業務ロジック・スケーラビリティへの対応力が高いのが特徴です。エンタープライズ用途や製造業のように複雑な要件が求められる領域で力を発揮します。

タイプ② BPM進化型

代表例:intra-mart、Appian
ビジネスプロセス管理(BPM)ツールから進化した系譜です。アプリ開発よりもワークフロー設計・プロセス管理を得意とします。承認フローや業務プロセスの標準化・自動化が主用途で、製造業でも品質管理や調達フローなどへの適用例があります。

タイプ③ 業務SaaS派生型

代表例:Microsoft Power Platform、Salesforce Lightning、ServiceNow
特定の業務SaaSを起点に、その機能を拡張するために生まれたツール群です。Microsoft 365Salesforceとの連携が強みである一方、それら基盤なしに単独で使うと真価を発揮しにくいという性質があります。製造業の基幹システムとは距離がある場合も多く、導入目的との整合を慎重に確認する必要があります。

タイプ④ 市民開発型

代表例:kintone、Pleasanter
業務ユーザーが自分でシンプルなアプリを作ることを前提に設計されたツールです。フォーム作成・簡易ワークフロー・データ管理が主用途で、すぐに使い始められる手軽さが強みです。ただし「できることは限定的」であり、複雑な業務ロジックや既存システムとの深い連携には対応が難しい場面が出てきます。

製造業でのツール選択に加えるべき視点

この4分類に加えて、製造業特有の軸として「SCM(サプライチェーン管理)軸で使うのか、ECM(エンジニアリングチェーン管理)軸で使うのか、あるいは両方か」という視点も選定に織り込む必要があります。また、GartnerForrester Researchのマジック・クアドラントにおけるリーダーポジションのツールは実績・機能・将来性の観点で有力候補になりますが、グローバル評価が高いからといって自社に最適とは限りません。自社の課題・用途・既存システムとの兼ね合いで判断することが重要です。

後悔しないローコード選定基準

ツール選定の前に「目的」を固める

ローコードツールの選定で最もよくある失敗は、「ツールありきで導入を進める」ことです。どのツールが機能豊富かを比較する前に、「何のためにローコードを導入するのか」を明確にすることが先決です。

たとえば、ERPの周辺業務をデジタル化したいのか、現場担当者が自分でアプリを作れるようにしたいのか、PLMMESとデータを連携させたいのかによって、最適なタイプのツールは全く異なります。

製造業向けの選定チェックリスト

  • 導入目的が「業務効率化」「現場活用」「基幹連携」のどれに近いか明確になっているか
  • SCM領域・ECM領域どちらでの活用を想定しているか
  • ERP・PLM・MESなど既存の基幹システムとの連携が必要か
  • 業務部門主導(市民開発)か、IT部門・SIer主導の開発体制を想定しているか
  • グローバル展開・多拠点対応が必要か
  • 将来的なAIエージェント連携・データ活用まで視野に入れているか

これらを整理した上で、前述の4タイプのどれに当てはまるかを照合すると、選定候補が自然と絞られてきます。

ローコードツール選定の意思決定フロー

まず「既存の業務SaaSMicrosoft 365Salesforceなど)をすでに広く活用しているか」を確認します。活用している場合は、そのSaaSと連携する業務SaaS派生型(Power PlatformSalesforce Lightning等)が候補になります。

次に「現場の業務担当者が自分でアプリを作りたいか、それともIT部門・SIerが開発するか」を確認します。前者であれば市民開発型(kintone等)、後者であれば複雑度によって分岐します。

複雑な業務ロジック・基幹システム連携・スケーラビリティが必要な場合はRAD型(MendixOutSystems)、承認フロー・プロセス管理が主目的であればBPM進化型(intra-martAppian)が適しています。

製造業でERPPLMMESとの連携を重視する場合は、Siemens製品との親和性とSAP連携実績を持つMendixが有力候補です。

主要ローコード開発ツール10選

以下の表は、代表的なローコードツール10製品を前述の4分類・主な強み・製造業との親和性の観点で整理したものです。

分類(4タイプ) ツール名 主な強み 向いている用途 製造業との親和性
RAD型 Mendix 複雑業務ロジック・ALM管理・ガバナンス設計・Siemens PLM(Teamcenter)/MES(Opcenter)連携 エンタープライズ向け業務アプリ開発・基幹システム周辺の内製化 ◎(Siemens製品と密接な連携)
OutSystems 高速開発・スケーラビリティ エンタープライズ向けアプリ ○(製造業実績あり)
iPLAss オープンソース・Java連携 自社開発・カスタマイズ重視 △(要エンジニア対応)
BPM進化型 intra-mart ワークフロー・プロセス管理・日本語対応 承認フロー・業務プロセス管理 ○(国内製造業に導入実績あり)
Appian プロセス自動化・AI連携 業務プロセス改善・コンプライアンス管理 ○(品質管理領域で活用事例あり)
業務SaaS派生型 Microsoft Power Apps Microsoft 365との連携・市民開発 社内業務効率化・ワークフロー △(製造業固有機能は限定的)
Salesforce Lightning Salesforce CRMとの連携 営業・顧客管理周辺の機能拡張 △(製造業基幹システムとは距離あり)
ServiceNow IT運用管理・ITSM IT部門の業務自動化・資産管理 ○(設備管理・IT-OT連携に活用例)
市民開発型 kintone 簡易・直感的操作・日本語サポート 現場帳票・簡易データ管理 △(シンプルな用途向け)
Pleasanter オープンソース・低コスト 中小規模の業務管理アプリ △(シンプルな管理業務向け)

※上記はあくまで一般的な特性の比較です。自社の用途・既存システム・体制によって最適解は異なります。
※製造業との親和性の評価基準:=製造業での導入実績が豊富かつ製造業向けツール(ERPPLMMES等)との連携実績あり、=製造業での導入実績あり、=製造業以外の用途がメインまたは製造業基幹システムとの連携に別途設計が必要

1. Mendix (RAD型)
Siemensグループのローコードプラットフォーム。RAD型の高速アプリ開発力に加え、製造業での豊富な採用実績を持ちます。PLMやMES、装置の組込みなど製造業で使われるシステム群への親和性も高く、複雑な業務要件への対応力が強みです。バージョン管理・CI/CD対応・ガバナンス設計を含む開発運用管理(ALM)機能が充実しており、エンタープライズ用途に適しています。SAP ERPとの提携実績もあり、グローバル製造業での採用事例が豊富です。マクニカはMendixの正規販売パートナーとして、導入検討から活用定着まで支援しています。
2. OutSystems (RAD型)
MendixとともにGartnerのマジック・クアドラントでリーダーポジションに位置するエンタープライズ向けRAD型ツールです。高い開発自由度とスケーラビリティが強みで、大規模・高負荷な業務アプリ開発に向いています。Mendixと比較した場合、ALM(開発運用管理)の機能面で一部差があるという評価もあります。
3. iPLAss (RAD型)
エンタープライズ向けのオープンソースRAD型ツール。Javaベースのシステム開発経験がある組織に向いています。高いカスタマイズ性が特徴ですが、活用にはある程度のエンジニアリングスキルが必要です。
4. intra-mart (BPM進化型)
NTTデータイントラマートが提供するBPM進化型ツール。ワークフロー・プロセス管理に強く、国内製造業での業務プロセス標準化・承認フロー自動化での導入実績があります。日本企業の業務慣行に沿った設計がされており、国内サポートが充実している点も評価されています。
5. Appian (BPM進化型)
BPM進化型のプラットフォームで、プロセス自動化とAI連携を強みとします。コンプライアンス管理・品質管理プロセスの自動化など、製造業での用途でも活用事例があります。
6. Microsoft Power Apps (業務SaaS派生型)
Microsoft 365エコシステムとの親和性が最大の強みです。TeamsやExcel・SharePointと連携した業務アプリや承認フローの構築が得意で、Microsoft製品を広く使っている企業であれば導入ハードルが低いのが特徴です。製造業の基幹システム(ERP・MES)との深い連携が必要な場面では、Power PlatformにAzureを組み合わせた設計が必要になります。
7. Salesforce Lightning (業務SaaS派生型)
Salesforceプラットフォーム上でのアプリ拡張を担う業務SaaS派生型ツール。CRM・営業管理が中心の活用領域で、製造業の基幹システムとは直接の連携より、顧客対応・受注管理周辺での活用が主なケースです。
8. ServiceNow (業務SaaS派生型)
IT運用管理(ITSM)を起点に進化した業務SaaS派生型ツール。製造業ではITインフラ管理・設備資産管理・IT-OT連携での活用事例があります。IT部門の業務自動化に強みを持つ製品です。
9. kintone (市民開発型)
サイボウズが提供するノーコード・ローコードの市民開発型ツール。直感的な操作でデータ管理アプリやワークフローを構築できます。日本語サポートが充実しており、中小製造業の現場帳票電子化・情報共有基盤として導入事例が多い製品です。複雑な業務ロジックや既存基幹システムとの深い連携には、拡張開発が必要になるケースがあります。
10. Pleasanter (市民開発型)
オープンソースで提供される市民開発型ツール。ライセンスコストを抑えながら業務管理アプリを構築したい中小規模の組織に向いています。機能はシンプルですが、カスタマイズ性があり、コスト意識の高い現場での業務改善ツールとして活用されています。

導入を失敗させる落とし穴7つ

ローコードは「導入しやすい」というイメージが先行しますが、準備不足のまま進めると想定外の問題に直面します。エクシオ・デジタルソリューションズ株式会社へのインタビューをもとに、特に注意すべき7つの落とし穴を整理しました。

落とし穴 起きやすい問題 対策の方向性
① 開発が楽=運用も楽という誤解 変更管理・バージョン管理が曖昧になりがち。「誰が作ったかわからない」野良アプリが乱立し、ガバナンスが崩壊するリスクがある 開発着手前にアプリの申請・管理フローを設計しておく。IT部門が共通部品・ガイドラインを整備する
② ベンダーロックイン 業務の中核をプラットフォームに深く組み込むほど、後から別ツールに移行するコストが急増する 業務の中核部分への依存度を意識した設計を行う。疎結合なアーキテクチャを心がける
③ スケールの壁は早めに来る PoC(概念実証)では成功しても、本番環境でユーザー数が増えると性能問題が表面化しやすい 本番を想定したライセンス設計・負荷テストをPoC段階から意識する
④ 業務理解・設計力の不足 現行業務の非効率をそのままデジタル化しても効果は出ない。設計の質がツールの価値を左右する 業務フローの見直しをセットで行う。IT部門と業務部門が共同で設計プロセスに入る
⑤ IT部門の役割が変わる 「現場で作れる=IT部門不要」という誤解から、ガバナンス体制が手薄になるケースがある IT部門はガバナンス設計・セキュリティ統制・標準化の担い手として位置付けを明確にする
⑥ 内製化が進むほど教育コストが増える ローコードは人材育成とセット。ルール・ガイドライン・レビュー体制がなければ品質にばらつきが出る 導入初期から教育プログラムと内製化推進体制を計画に組み込む
⑦ セキュリティ・権限管理が盲点になりやすい 「簡単に作れる=簡単に公開できる」という意識から、権限設定ミスや個人情報の意図しない露出が起きやすい 権限設計のルールを策定し、公開前のレビュープロセスを設ける

これらの落とし穴の多くは、「開発が楽」というローコードのメリットを過信することで生じます。ローコードはあくまで「仕組みを早く作る手段」であり、業務設計・ガバナンス・人材育成への投資は従来通り必要です。

活用を成功させるためのアクション

成功企業と失敗企業の差はどこにあるか

ローコードを上手く活用できている企業とそうでない企業の差は、ツール選びよりも「目的の明確さ」と「組織体制の整備」にあります。失敗しやすいパターンは以下の3つです。

  • 単なる「IT効率化ツール」として導入し、現場の課題理解が浅いまま進めることで、要件定義がズレたシステムが出来上がり、現場に使われないまま放置される
  • 組織的にローコードを支える仕組みがなく、担当者が孤立して属人化が進む
  • 目標設定があいまいで「とにかく作る」が目的になり、ビジネス成果が見えなくなる

逆に成功している企業は、明確な導入目的の設定・小さく試して素早く改善するサイクル・組織的な支援体制の三点が整っています。

導入前にやるべきこと

1
現状業務の課題を棚卸しする(工数・エラー率など定量化できると尚良い)
2
導入の目的・ゴールを設定する(例:承認フローの短縮、作業工数の削減)
3
業務部門とIT部門が協働できる体制を作る
4
ツールの基礎研修・スキル準備を行う

導入後にやるべきこと

5
スモールスタートでプロトタイプを作り、現場でテストする
6
現場の声を反映しながら改善サイクルを回す
7
成功事例・開発ノウハウを蓄積して横展開する

特に製造業では、「全体アーキテクチャを完璧に描いてから着手する」アプローチは現実的に難しいケースが多いとされています。ERP・PLM・MESの刷新プロジェクトは数年単位になり、その間に要件が変化することも珍しくありません。「スモールスタートで実証しながら全体像を固めていく」アジャイル的なアプローチが、ローコードの特性を活かす上でも合理的です。

ノーコードとローコードの違いと、既存システムとの連携

ノーコードとローコードの違い:できることとスキル要件

「ノーコードで全部できる」「ローコードは誰でもすぐ使える」という認識は、どちらも誤解です。両者の違いを正しく理解することが、適切なツール選定につながります。

ノーコード ローコード
できること フォーム・簡易ワークフロー・データ管理が中心 業務ロジック・API連携・複雑なデータ構造まで対応可能
必要なスキル 条件分岐・業務フロー理解・UI操作への慣れ 変数・関数・データ構造・APIの基本・エラーハンドリング・ロジック設計
向いている用途 現場担当者の簡易アプリ作成・情報共有 基幹システム周辺の業務アプリ・システム間連携
主な注意点 複雑な要件には対応できないケースが多い 設計力が成果を大きく左右する。「誰でもすぐ」は誤解

既存システムとの連携は「できるが、簡単ではない」

ローコードと既存のERPMESPLMとの連携は、技術的には可能です。主な連携手段としてはREST APISOAP通信・データベース連携・ファイル連携・iPaaSの活用が挙げられます。ただし、認証設計・データ整合性の確保・エラー時の処理・ベンダー制約の把握など、非エンジニアには難易度の高い課題が伴います。

さらに製造業における既存システム連携で最大の壁となるのは、「クラウド(SaaS)」と「オンプレミス」のネットワーク境界です。MESや古いERPはインターネットから隔離されていることが多く、SaaS型のローコードツールから単純にAPI連携するハードルは高いです。セキュアなデータゲートウェイの構築が必要になるか、あるいはMendixのように「自社のオンプレミス環境やプライベートクラウドに直接デプロイできる」アーキテクチャを持つツールを選定し、システムを同じ閉域網内で連携させる設計が求められます。

現実的なアーキテクチャとしては、ローコード単体で全てを完結させようとせず、役割分担を明確にするアプローチが有効です。

レイヤー 役割
ノーコード 業務部門による簡易アプリ作成・情報共有
ローコード 基幹システム周辺のUI・業務ロジック・フロントエンド
既存基幹システム(ERP・MES等) コアデータの保持・基本業務プロセスの実行
iPaaS(連携ハブ) 各システム間のデータ連携・変換・ルーティング

ローコードツールに関するよくある質問

Q.
ローコードツールのシェア率が高いのはどれですか?
A.
グローバルでのシェアはMicrosoftのPower Platformが最大規模を誇ります。エンタープライズ向けではMendixとOutSystemsがGartnerのリーダーポジションに位置し、国内中小企業ではkintoneの導入実績が多い状況です。ただしシェアの高さが自社に最適であることを意味するわけではなく、前述の選定基準に沿って判断することが重要です。
Q.
ローコードとノーコードはどちらを選ぶべきですか?
A.
用途によって使い分けるのが基本です。現場の業務担当者がシンプルなフォームやデータ管理アプリを素早く作りたい場合はノーコードが適しています。一方、既存のERP・MESなどとAPI連携が必要、複雑な業務ロジックを組み込みたい、スケールに耐える本番システムを作りたい、といった要件がある場合はローコードが必要になります。両方を組み合わせて役割分担させるアーキテクチャも有効で、詳しくは本記事の『既存システムとの連携』セクションをご参照ください。
Q.
ローコードのデメリット・欠点を教えてください
A.
主なデメリットは次の7点です。①開発は楽でも運用・ガバナンスの整備は別途必要、②プラットフォームへのベンダーロックインリスク、③本番稼働後にスケールの壁が顕在化しやすい、④業務設計力がなければ非効率をそのままデジタル化してしまう、⑤内製化が進むほど教育コストが増加する、⑥IT部門のガバナンス設計負荷が高まる、⑦セキュリティ・権限管理の設定ミスが起きやすい。それぞれの対策の方向性は本記事の『導入を失敗させる落とし穴7つ』セクションで詳述しています。
Q.
ローコードツールの費用はどのくらいですか?
A.
ツールによって大きく異なります。kintoneのような市民開発型は月額数千円〜数万円から始められる一方、MendixやOutSystemsのようなエンタープライズ向けRAD型は利用規模・ライセンス体系によって数百万〜数千万円規模になることもあります。また、PoC段階では成功していても、本番展開でユーザー数やデータ量が増えた際のライセンス費用増加は事前に見込んでおく必要があります。
Q.
ローコード開発の将来性はありますか?
A.
将来性は高いと見られています。Gartnerの予測では、2025年以降のアプリケーション開発の大部分がローコード・ノーコードで行われるとされています。さらに直近では、AIエージェントプラットフォームとの融合という新たな展開が始まっており、ローコードの役割はアプリ開発ツールを超えて、企業のDX基盤の中核を担う位置付けへと進化しつつあります。

まとめ:ローコードを「戦略」として使う

本記事のポイントを整理します。

  • ローコードツールは「生まれと育ち」によって4タイプに分かれ、得意領域が異なる。ツール選定の前にまず自社の目的・用途を明確にすることが先決
  • 製造業では、ERP・PLM・MESなどコアシステムを守りながら、その周辺にローコードを配置して変化を吸収するアーキテクチャが有効
  • 導入の落とし穴7つはいずれも準備と体制整備で回避できる。「開発が楽」への過信が最大のリスク
  • 成功の鍵は目的の明確化・組織体制の整備・スモールスタートによる実証サイクルの3点
  • ローコードの役割はアプリ開発ツールからAIエージェント連携を含む変化吸収層へと進化しており、中長期的な視点でのアーキテクチャ設計が重要になっている

マクニカでは、製造業DXにおけるローコード活用の支援を行っています。Mendixをはじめとするツール選定から導入・活用定着まで、ご要望に応じてご相談を承ります。