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製造業界の1つ、車載電装システム市場の好調をみなさん肌で感じているのではないでしょうか。
自動運転技術の向上、シェアリングエコノミーの加速と世の中は変化しつつありますが、それでもあと10年は車載電装システムの需要は伸び続けるともいわれています。しかし、一方で不安要素があることを否定できません。

伸び続ける需要に耐え切れない国内製造業の現状

不安要素として、需要の伸びに対応するための「人材不足」と「安定供給」という大きな課題を解決する必要があるのですが、国内の多くの企業が伸び続ける需要に対応する準備ができていません。

課題解決として、億単位の投資による自動化など「ロボット」の導入が進んでいる企業もありますが、日本の製造業は約99%が中小企業です。もうひとつ会社を立ち上げるほどの大きな投資が必要なロボット推進を、10年以内に日本を支える中小企業が踏み切ることができるかといえば、非現実的でしょう。
残念ながら、現段階ですべての製造業を救う方法はありません。

しかし、「組立工程」のみにフォーカスするなら、一筋の光が見えています。

そこで重要になるのが「不良率の低下」と「サイクルタイム短縮」を両立させることです。一見トレードオフな関係に思えるものですが、質の良いものを早く作るサイクルを作れれば、伸び続ける需要に耐えうる体制を作れるようになります。

製造業における不良率とは何か

製造業における不良率とは、生産した製品のうち、不良品が占める割合を示す指標で、単なる品質の良し悪しを示す数値ではありません。
一般的な不良率の計算方法は「不良品数 ÷ 生産数 × 100(%)」で算出され、品質管理の代表的なKPIとして活用されています。

不良が発生すれば、手直し・廃棄・再検査・再生産といった追加工数が発生するため、製造業では、不良率は現場課題であると同時に、経営に直結する重要指標として位置づけられています。

ppmとは何か?不良率との違い

ppmとは「parts per million」の略で、100万個あたりに不良が何件発生したかを示す単位です。たとえば、不良率0.1%は1,000ppm、不良率0.01%は100ppmに相当します。

製造業では、特に大量生産や高品質が求められる分野において、%表記ではなくppmが使われるケースが多くあり、理由の1つは微小な品質差をより正確に把握できるためです。

%では「0%」に見えてしまうような不良も、ppmで表現すれば改善余地を定量的に捉えることができます。

不良率1%は高い?低い?

「不良率1%」と聞くと、数値としては小さく感じるかもしれません。しかし、生産数量が多い製造業においては、その影響は決して小さくありません。

たとえば月産10万個の製品で不良率1%の場合、1,000個が不良品となります。仮に1個あたりの原価が1,000円であれば、それだけで100万円分のロスが発生します。手直しや再検査の人件費、納期遅延リスクを加味すると、実際の損失はそれ以上になります。

また、不良率1%をどう捉えるかは立場によって異なります。現場では「十分に抑えられている数値」と感じられても、経営視点では「まだ改善余地が大きい数値」と判断されることも少なくありません。

このギャップを埋めるためにも、不良率の目安や許容範囲を共通認識として持つことが重要です。

製造業の不良率の目安

製造業の不良率に、すべての企業に当てはまる絶対的な正解は存在しません。なぜなら、不良率は業種・製品特性・生産方式・品質要求レベルによって大きく異なるためです。

重要なのは、他社平均と単純比較することではなく、自社の前提条件を踏まえた目安を持つことです。

食品製造業における不良率の目安

製造業の中でも「食品」製造業では、他の製造業以上に品質・安全性への要求が厳しいという特徴があります。異物混入や表示ミスなどは、廃棄ロスだけでなく、ブランド毀損や回収対応といった重大な経営リスクにつながるためです。

そのため食品製造業では、不良率は単なる生産効率の指標ではなく、リスク管理の指標として捉えられます。不良が少量でも発生した場合の影響が大きいため、一般製造業よりも厳しい目安が設定されるケースが多いのが実情です。

製造業における不良率の目標設定方法

不良率の目標は、理想論から設定するのではなく、まず現状の実績値を正しく把握することからスタートしましょう。

過去データをもとに、どの工程で、どの程度の不良が発生しているかを整理し、現実的に改善可能なラインを見極めることが大切です。

一方で、背伸びしすぎた目標設定は逆効果になることもあります。達成不可能な数値は、現場のモチベーション低下や数値の形骸化を招きやすく、改善活動が継続しなくなるリスクがあります。

不良率の許容範囲の考え方

不良率管理において見落とされがちなのが、許容範囲の設定です。許容範囲を決めないまま管理を行うと、「どこからが問題なのか」が曖昧になり、改善判断が遅れてしまいます。

そのため、不良率には「改善すべきライン」と「維持すべきライン」を明確に分けて設定することが重要です。設定することで”許容範囲を超えた場合には、原因分析や対策を即座に検討し、範囲内であれば安定維持に注力する”、といった判断が可能になります。

このように、不良率の目安・目標・許容範囲を整理して管理することが、製造業における継続的な品質改善につながります。

まじめな国民性×AIで、不良率低下とサイクルタイム改善を両立

どれだけまじめに仕事をする国民性といっても、ポカミスをすべて防ぐことは難しいです。
組立工程においても、作業員の熟練度によってタクトタイムが変わるため、どこにボトルネックがあるのかを判断することも難しく、「不良率低下」や「サイクルタイムの改善」は困難です。

しかし、AIを実装することにより「人材不足」も「サイクルタイムの改善」を両立できる可能性があります。

例えば指導員や検査員が常駐する必要がなく、「いまある人材」にAIを掛け合わせるだけで圧倒的な組立工程の最適化が可能です。

このAI実装に必要なのは、作業に関するAIモデルの学習撮影カメラなので、自動化ロボットの導入よりも少ない投資での実現が期待できます。

サイクルタイムが変われば「人材不足」にも光明がある

最初は組立工程のミスを防ぐことがミッションになりますが、データを蓄積していくなかで「どこでミスが起こりやすいのか」ボトルネックが分かるようになります。

そうした改善を続けていくことによって、熟練度別に適切な人員配置も行うことができ、作業によっては国外のスタッフを積極的に採用することもできるようになります。
従来の言語による指導ではなく、AIが記録した適切な作業映像を教育に使うこともできますし、作業エラーについてもAIが指導員になってくれるわけです。

不良率改善を継続させるためのポイント

不良率は一度下げて終わりではなく、継続的に管理・改善していくことではじめて意味を持ちます。ここでは、製造業で不良率改善を「一過性の取り組み」で終わらせないために重要なポイントを整理して紹介します。

KPIを定義し認識を揃える

不良率を改善するうえでまず重要なのは、不良率を一時的な数値ではなく、継続管理するKPIとして明確に位置づけることです。トラブル発生時だけ注目される指標になってしまうと、改善活動は長続きしません。

そのため、不良率については「目指すべき目標値」と「超えてはいけない許容範囲」を分けて設定することが重要です。目標値は改善を促すための指標、許容範囲は異常を検知するための判断基準になります。

また、不良率に対する数値認識が現場・管理職・経営層でずれていると、改善判断が遅れがちになることも。同じ数値を同じ意味で理解できる状態を作ることで、意思決定のスピードが向上し、改善活動を加速させることができます。

可視化し続ける仕組みを作る

不良率改善を継続させるには、誰が見ても同じ数値が出る仕組みを構築することが欠かせません。計算方法が担当者によって異なる状態では、数値の信頼性が低下し、改善議論が進まなくなります。

特に、不良率(%)とppmを併用している現場では、「どの指標をどの場面で使うのか」や「換算方法はどうするのか」などの定義を明確にし、運用ルールを統一する必要があります。

さらに、月次や週次での事後集計だけでは、不良の兆候を見逃してしまう可能性があります。
リアルタイムで不良率を可視化することで、問題が小さいうちに気づき、早期対応が可能になります。

改善アクションまでを仕組み化する

不良率を可視化しても、改善アクションにつながらなければ意味がありません。特定の担当者やベテランの判断に依存した状態では、改善は属人化し、継続性が失われてしまうことがあります。

そのため、不良率が一定のラインを超えた場合に、誰が何を確認しどのような対策を検討するのかといった流れをあらかじめ決めておき、誰が見ても改善に動ける状態を作ることが大切です。

また、近年はAIDXを活用することで、不良発生の傾向分析や原因特定を効率化することも可能になっています。

人材不足が進む製造業においても、仕組みとして改善が回り続ける体制を整えることが、不良率改善を継続させるための鍵となります。

仕組みによって両立は十分に可能

伸び続ける需要に対応するためには、商品の安定供給人材の確保が必要になりますが、従来の紙ベースのチェックシートや、熟練者頼りのサイクルタイムでは限界があります。

AIを実装した組立工程の改善は、そうした3年後、5年後、そして10年後の変化に対応するための大きな武器になるのは間違いありません。

AI実装はロボット導入よりも少ない投資で、いまある人材をフルに活用して、不良率の低いものづくりを安定して実現できる現実的な手段と言えます。

製造業の不良率改善の詳細はマクニカへ相談

製造業の不良率改善やサイクルタイム短縮のためのデジタルやAI活用はまずどこから始めたらよいのでしょうか。
マクニカでは以下のような、DXを組織文化にする「Digital Execution Factory」というサービスを提供しています。

  • 全社を巻き込むガバナンス体制の強化
  • 事業部門・IT部門を横断する専門組織(CoE)の構想設計から立ち上げ・定着に至るまでの伴走
  • DX推進を現場でリードできるスペシャリスト人財の育成プログラム
  • アジャイル開発で小さい成功体験を積めるローコード開発プラットフォームのMendixを活用した開発支援

など

上記の支援を通し、「自社に最適なDXが、自発的かつ継続的に創出される」状態を目指すのが「Digital Execution Factory」です。
この「Digital Execution Factory」はDXが進んでいる欧米で確立された実学を日本の製造業向けに最適化し、日本でマクニカしか提供できないノウハウになります。

もし本記事でご紹介した壁にぶつかっている、悩んでいる方はお気軽にご相談下さい。