電源デバイスを選定する前に、ターゲット FPGA の消費電力を知る必要があります。FPGA の消費電力は使用する I/O 数やロジック数、内部メモリや DSP ブロック、トランシーバなど様々な要因(使用するリソース)に依存します。
インテル® FPGA のユーザ向けに、消費電力を見積もるPowerPlay Early Power Estimator (EPE) というエクセル・ベースのツールが用意されています。この EPE に使用する FPGA のリソースを入力すると、消費電力が算出されます。周囲温度やエアーフローなどの条件も入力できます。
なお、インテル® FPGA 向けの消費電力の見積もりや消費電力の解析については、こちらの記事もご覧ください。
FPGAの消費電力の種類と計算方法
消費電力の見積もり方法
FPGA の消費電力を見積もるには、EPE に FPGA のリソース情報を入力する必要があります。このリソース情報の精度が高ければ、それだけ算出される消費電力の精度も高くなります。
ここでは、FPGA のデザイン(回路)の完成度合によって、2種類の方法を紹介します。
FPGA の使用率がまだ見えていない場合
FPGA 用の使用率があまり見えていない場合は、EPE の各タブ内に使用するリソース情報を多めに推察し、手動で入力する必要があります。
設計前であればどの位のリソースを前提に入力すれば良いか迷うと思いますが、各タグ(Logic やRAM、DSP、I/O、PLL、Clock、HSDI、HMC、XCVR、IP、HPS)に予想できるリソース情報を入力してみてください。電力見積もりなら、リソース情報を多めにした方が無難です。
なお、詳細な入力方法は、こちらの記事をご覧ください。
FPGA 消費電力の見積もり方法
FPGA の使用率がある程度見えている場合
Quartus® Prime で FPGA デザインを設計中の場合は、FPGA の使用率がある程度見えてきますので、その情報を EPEに移植することで現状の消費電力の見積もりをすることができます。具体的には Quartus® Prime から EPE へリソース情報を入力できる CSV ファイルを生成して、この CSV ファイルを EPE へ取り込めば、簡単に消費電力が算出できます。
Quartus® Prime の Projectメニュー ⇒ Generate PowerPlay Early Power Estimator File を選択すれば、CSV ファイルが生成されます。この CSV ファイルを EPE の ImportCSV からインポートさせるとリソース情報が入力されて、消費電力が算出されます。
手動で入力する方法よりも、CSV ファイルをインポートする方が圧倒的に楽ですし、正確なのでお勧めです。
実装環境の選択
リソース情報が入力できたら、次に FPGA の実装環境を選択します。
ここで、PowerCharacteristic を Typical から Maximumへ変更すると、算出結果が最大の消費電力結果に変わるので、必要に応じて変更してみてください。
次に、FPGA の周囲温度やヒート・シンクの有無と種類、エアーフローの有無と種類を選ぶと、その条件に応じて消費電力の算出結果が表示されます。
いかがでしたか?
FPGA の消費電力はFPGA の使い方(リソースなど)に依存し、また事前に見積もることができることがわかったと思います。このEPE で見積もった結果を元に、Enpirion® デバイスの選定の参考にしてください。
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