電源ドック技術担当の佐々木です。

 

このコラムでは、色々なお客様サポートの中で複数回遭遇した、電源に関する不具合事例をご紹介していきたいと思います。



今回は、多くの方から質問をいただく FPGA 用電源の「高速応答」や「高速過渡応答」について、色々とお答えしたいと思います。

高速応答とは?

質問Qマーク
質問

そもそも「高速応答」や「高速過渡応答」とはどんな特性のことですか?

回答Aマーク
回答

電源 IC やモジュール製品のデータシートでよく見る、 電流変動時の電圧変動の特性のことです(図1)。

「FPGA がある定常状態から別の定常状態に変化した時に、電源が素早く反応する」ということを「高速応答」や「高速過渡応答」と言います。

例えば、FPGAがスリープ状態(1. 小電流)からバースト状態(2. 大電流)に推移したとき、電流と電圧は図1のように変化します。 電流値が変化した時の電圧の変化によって、電源の応答性が決まります。

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図1 : 高速過渡応答の図(オレンジ:電圧、青:電流)

電圧変動の原因は?

質問Qマーク
質問

FPGA の電流変化が重要なんですか?

回答Aマーク
回答

単純に電流変化だけを見ればいいというわけではありません。

図2 は、FPGA の電流変化にかかる時間ごとの電源電圧のドロップを表しています。(Spiceでシミュレーションした結果)
10μs の速さで電流が変化するとき、電圧は 101mV ドロップしています(黄緑色)。
しかし電流変化にかかる時間を300μsにすると、電圧のドロップは 26mV まで小さくなります(水色)。

つまり、高速で電流値を変化させるほど、電圧のドロップは大きくなります。

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電圧変動の電流変化のスルーレート依存

電圧変動がFPGAに与える影響は?

質問Qマーク
質問

電圧ドロップは問題になりますか?

回答Aマーク
回答

電圧ドロップなどの AC 的な電圧変動は、FPGA のトランシーバーのジッター特性に影響を与えます。

トランシーバーのジッター特性を良くしたい場合は、電圧ドロップが小さい =「高速応答」の電源を選定することが望ましいです。

つまり、より高速での電流変化が要求される FPGA の論理設計回路には、高速応答の電源が必要ということが分かります。

電源廻りの特性を良くする方法

質問Qマーク
質問

電源回路の応答性を良くするにはどうしたら良いですか??

回答Aマーク
回答

電源回路のグランド・インダクタンスは応答性に悪影響を与えます。
そのため、グランドの配線パターンが最短になる製品を使用して電源設計する ことが重要です。

グランドパターンを最適化するには、リードレスパッケージのモジュール品を選定することをおすすめします。

まとめ

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・FPGAの電流変動の傾きが大きい(高速で電流が変化する)場合は、より高速応答の 電源が必要。(FPGAの内部論理設計で、クロック周波数の切り替えや動作させる回路規模の大きさによって、FPGAの電流値の変動が大きくなります)
・電源回路の応答性を良くしたいときは、リードレスパッケージのモジュール品がおすすめ

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