電源ドック技術担当の佐々木です。

 

このコラムでは、色々なお客様サポートの中で複数回遭遇した、電源に関する不具合事例をご紹介していきたいと思います。



FPGA 開発用ボードを設計しているお客様から、「特定ユーザーからボードの不具合返却率が多いので相談したい」と連絡がありました。

不具合を抱えて忙しかったからか!?

私

どの様な症状で返却されてくるのですか?

お客様
お客様

不具合が起きたデバイスのメーカー解析レポートでは、ESD(※)による破壊という結果でした。
※ ESD:Electro-Static Discharge の略

私

ESD ですか。ボードは ESD 対策してありますか?

お客様
お客様

いいえ。FPGA 開発用ボードですから、エンジニアが静電防止リストバンドなどの ESD 対策をしながらボードを扱ってくれていると考えています。

私

そうですか。でも、エンジニアの方が必ず静電防止のリストバンドをするとは限りませんよ(笑)。
何か対策はした方が良いと思いますが。

お客様
お客様

確かにそうですね。
でも、開発用ボードで出荷数量も少ないので、ESD 対策部品を入手して実装することは現実的ではありません。

まずはマニュアルに「静電防止を行って使用してください」と注意書きを入れたいと思います。

私

それが良いと思います。

お客様
お客様

それにしても、なぜ特定のお客様からの返却が多いのでしょうか?
そこが疑問です。

私

そのお客様が静電防止対策を実施せずにボードを取り扱っていたことが1つの原因でしょう。
あとは、そのお客様が静電気体質なのかもしれませんね。

お客様
お客様

静電気体質とかあるんですか?

私

あるようですね。
食生活が乱れたり、ストレスが溜まると体が酸化して静電気が溜まりやすくなると言う方もいますよ。あとは、乾燥肌の方は要注意です。

お客様
お客様

そうなんですね。ストレスも影響するとは驚きです。

そういえば半導体は、人が触っても壊れないよう、ESD 対策として 2,000V まで耐えられるように設計されていますよね?
それなのになぜ今回は、人が触って壊れてしまったのでしょうか?

私

多分、プロービングしたり半田を使用したりするときに 2,000V 以上の電圧がかかっているのだと思います。

人が直接 半導体を触るときは、抵抗値の高い「肌」を介して放電します。しかしプロービングするもの(金属片)を介した場合、抵抗値がゼロの状態で体内に溜まった電気が放出されるので、2,000V 以上になって半導体を破損する可能性があります。

今は夏でもエアコンが効いていてドライな環境なので、静電気は夏冬関係なく発生する 可能性がありますね。

お客様
お客様

なるほど、よく分かりました。
ではまずは、静電防止のリストバンドを徹底してもらいます。

今回のポイント

私

・基板を扱うときは ESD 対策を徹底する(静電防止リストバンドなど)
・余計な不具合を出さないためにも、身体と心は健康に。

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