本記事は、SPICE に用意されているドット・コマンドについての連載記事です。第4回目は、良く使う DC解析(.dc コマンド)について説明します。
最後のアンケートに回答頂くと、LTspice Help にある トランジェント解析 (.dc) コマンドの補足資料をダウンロード頂けます。Help 資料はネットリストベースの資料ですが、本記事のように GUI で実際にシミュレーションを実行した解説資料を入手したい方はアンケート回答のご協力お願いします。
DC解析 ( .dc コマンド)
.dc コマンドによる DC解析は、トランジスタやFETの静特性などをパラメーターアナライザーで測定するような電気的特性の確認に役立ちます。
通常 DC 解析をおこなう場合、 LTspice 上では GUI により解析モードを設定すると思いますが、ここでは、設定後のネットリスト表記について説明します。
LTspice の構文 ( Syntax. ) は、次の 2通りがあります。 < > は、設定時に必須項目となっています。 [ ] は、省略可能です。
① .dc [<oct, dec, lin>] <srcnam> <start> <stop> <incr>
<srcnam>には、掃引する電圧源名または電流源名を指定します。掃引する値は、 <start> から <stop> まで指定できます。値の増加数は、<incr> で設定できます。キーワード oct、dec、lin で以下の表に従っ て定義することができ、省略した場合は lin となり、lin のステップ間隔を設定しない場合は、<start> から <stop> 間を自動的に 10 ポイントプロットする間隔になります。
Type of sweep |
Nsteps |
oct |
Octave(2 倍)あたりの解析ポイント数 |
dec |
Decade(10 倍)あたりの解析ポイント数 |
lin |
StartFreq と EndFreq 間の解析ポイント数 |
② .dc <srcnam> list <value1> [<value2> [<value3> [ ... ]]]
<srcnam>には、掃引する電圧源名または電流源名を指定します。Value1、Value2、Value3….で指定された リストの値が srcnam で指定した電圧源または電流源に割り当てられます。
③ .dc <srcnam> file <Filename>
指定されたファイルから読み込んだ値が電圧源または電流源に割り当てられます。このファイルには通 常のネットリストのようにコメントを含めることができます。数値は空白またはカンマで区切る必要があります。
マクニカで用意したのHelpの解説資料には、下記のような DC 解析事例を用意しています。解説資料を入手したい方はアンケート回答のご協力お願いします。
DC 解析事例
1. .dc <sweep1> [<sweep2>][<oct, dec, lin>] <srcnam> <start> <stop> <incr> コマンドの確認
2. Increment を省略した場合
3. Type of Sweep を Octave と Decade にした場合
4. Type of Sweep を List にした場合
5. .dc <srcnam> file <Filename> コマンドの確認
6. ネットリストで書いた BSIM シミュレーションの確認
DC 解析の実行
ここでは、解説資料の中の「ネットリストで書いた BSIM シミュレーションの確認」を紹介します。 LTspiceヘルプ内では、ネットリストで書かれている内容を回路図にしてシミュレーションを実行します。最初に、図1のような回路図を書きます。

LTspice ヘルプから、下記の内容をコピーします。
.dc Vds 3.5 0 -0.05 Vgs 0 3.5 0.5
.model nbsim NMOS Level=8
ツールバーから Edit → Spice Directive を選択します。すると、Edit Text on the Schematic が開くので、コピーした内容をペーストして OK をクリックします。 「.dc Vds 3.5 0 -0.05 Vgs 0 3.5 0.5」 の上で右クリックすることで .dc で設定している内容も確認できます。

最後に、電圧源V1をVgsとV2をVdsと名称設定し電圧を1Vと設定しました。また、FETの名称をNbismと設定しました。

ツールバー上の RUN をクリックしてシミュレーションを実行します。
波形ウィンドウが開きます。波形ウィンドウの上で右クリックをして、Add Trace を選択します。
Add Traces to Plot が開くので、その中から I(Vds) を選択してFETのドレイン・ソース電流(静特性)を表示させます。

FETの静特性が表示されます。

DC解析 (.dc) コマンドの補足資料ダウンロード
LTspice ヘルプ内の トランジェント解析 (.dc) コマンドの解説は、ネットリストベースですが、アンケートにご協力いただければ本記事と同様に GUI ベースに修正した解説資料をダウンロード頂くことが可能です。アンケート記入後、補足資料ダウンロードURLをメールにて送付させていただきます。
今後こんなセミナーを実施して欲しい、こんな技術資料が欲しいなど、ご要望がありましたらアンケートの自由記述欄にご意見ください。皆様のご意見をもとに、お役に立てるようなセミナーの実施、技術資料の提供をさせて頂きたいと考えています。
最後に
まだLTspiceを使ったことがない方は、下記のリンクよりLTspiceをダウンロードしてみてください!
ぜひ、一度お試しください。
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もしLTspiceを今から始められる方でしたら、以下の一覧から「基本編」を見ることをお勧めします。
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