サイト内検索

本記事は、SPICE に用意されているドット・コマンドについての連載記事です。第3回目は、最も良く使う トランジェント解析(.tran コマンド)について説明します。

 

最後のアンケートに回答頂くと、LTspice Help にある トランジェント解析 (.tran) コマンドの補足資料をダウンロード頂けます。Help 資料はネットリストベースの資料ですが、本記事のように GUI で実際にシミュレーションを実行した解説資料を入手したい方はアンケート回答のご協力お願いします。

トランジェント解析 ( .tran コマンド)

.tran コマンドによる トランジェント解析は、スイッチング・レギュレーターの動作確認などオシロスコープで測定するような電気的特性の確認に役立ちます。

 

通常トランジェント解析をおこなう場合、 LTspice 上では GUI により解析モードを設定すると思いますが、ここでは、設定後のネットリスト表記について説明します。LTspice の構文 ( Syntax. ) は、次の 2通りがあります。 < >  は、設定時に必須項目となっています。 [ ]  は、省略可能です。

① .TRAN <Tstep> <Tstop> [Tstart [dTmax]] [modifiers]

項目

内容

Tstep

波形のステップサイズの指定として使用します。 LTspiceは、波形圧縮を使用するため、このパラメーターは意味がなく、省略かゼロに設定で問題ありません。

Tstop

シミュレーションの終了時間を設定します。

Tstart

トランジェント解析は、時間ゼロから開始します。ただし、 Tstart を指定すると、ゼロから Tstart まで
の間の波形データは保存されません。Tstarの設定により、起動トランジェントを無視することで、波形
ファイルのサイズを小さくすることが可能です。 Tstartを使用する場合、Tstep の設定が必要です。

dTmax

回路方程式を積分する際の最大時間ステップを設定できます。 dTmax を使用する場合は、Tstepの設定が必要です。

modifiers

UIC , steady , nodiscard , step などを追加できます。

② .TRAN <Tstop> [modifiers]

項目

内容

Tstop

シミュレーションの終了時間を設定します。

modifiers

UIC , steady , nodiscard , step などを追加できます。

modifiers の詳細は、LTspiceのHelpを参考にしてください。マクニカで用意したのHelpの解説資料には、modifiersの説明のほか、下記のようなトランジェント解析事例を用意しています。解説資料を入手したい方はアンケート回答のご協力お願いします。

 

トランジェント解析事例

 1. Stop Time を設定したトランジェント解析

 2. Stop Time と modifiers startupを設定したトランジェント解析

 3. 降圧型DC/DCコンバーターの効率を確認するトランジェント解析

 4. 効率を確認する際に全体のシミュレーション結果を残す方法

 5. トランジェント解析の保存データを少なくしてシミュレーションの高速化

 6. 計算ポイントの間隔を短く設定したトランジェント解析

トランジェント解析の実行

ここでは、解説資料の中の「Stop Time を設定したトランジェント解析」を紹介します。 オペアンプ ADA4510 の JIG 回路を使ってシミュレーションをおこないます。 New Schematicsをクリックした後、ツールバーのコンポーネントを開きます。 Search に ADA4510 と入力し、Open Example Circuit のボタンをクリックし JIG 回路を開きます。

図1:ADA4510 の JIG 回路
図1:ADA4510 の JIG 回路

.tran コマンドの設定を確認します。 ツールバーの   クリックして Configure Analysis のメニューを開きます。 tran Analysis のタブが開いて、 解析コマンドを GUI 上で確認できます。 すでに、 Stop Time が1msec と設定されています。 ここでは、0.1mに変更して、シミュレーションを実施してみます。

図2:トランジェント解析設定
図2:トランジェント解析設定

ツールバー上の    RUN をクリックしてシミュレーションを実行します。

OUT ノードの電圧を確認した結果が次のようになり、出力波形の1周期が確認できました。

図3:シミュレーション結果
図3:シミュレーション結果

波形ウィンドウの上で右クリックして、View → Mark Data Points を選択するとシミュレーションで計算したポイントがプロットされます。 これにより、変化の大きな部分では計算ポイントが多く、変化の少ない部分では計算ポイントが少ないことが確認できます。

図4:Mark Data Points
図4:Mark Data Points

下記プロットのポイント数を多くしたい場合などは、Maximum Timestepで設定することも可能です。詳しくは、Help の解説資料などを参考にしてください。

図5:Mark Data Points を表示させた波形
図5:Mark Data Points を表示させた波形

トランジェント解析 (.tran) コマンドの補足資料ダウンロード

LTspice ヘルプ内の トランジェント解析 (.tran) コマンドの解説は、ネットリストベースですが、アンケートにご協力いただければ本記事と同様に GUI ベースに修正した解説資料をダウンロード頂くことが可能です。アンケート記入後、補足資料ダウンロードURLをメールにて送付させていただきます。

 

今後こんなセミナーを実施して欲しい、こんな技術資料が欲しいなど、ご要望がありましたらアンケートの自由記述欄にご意見ください。皆様のご意見をもとに、お役に立てるようなセミナーの実施、技術資料の提供をさせて頂きたいと考えています。

最後に

まだLTspiceを使ったことがない方は、下記のリンクよりLTspiceをダウンロードしてみてください!
ぜひ、一度お試しください。
LTspiceのダウンロードはこちら

 

もしLTspiceを今から始められる方でしたら、以下の一覧から「基本編」を見ることをお勧めします。  
LTspiceを使ってみようシリーズ 一覧はこちら


また、基本的な回路の書き方から実行方法までを動画で見たいという方がいましたら、個人情報入力不要のオンデマンドセミナーがありますので、ご興味がありましたらぜひご覧ください。セミナーの詳細資料に関してもアンケートご記入の方に提供しています。
LTspice オンデマンド セミナー ~ RC回路で機能確認 ~

 

初心者向けのLTspiceセミナーも定期的に実施しています。LTspiceの基本操作を習得できますので、ご参加頂ければと思います。
LTspiceセミナーの情報はこちら

おすすめ記事/資料はこちら

記事一覧:LTspiceを使ってみようシリーズ

LTspice  FAQ :  FAQ リスト

技術記事一覧  :  技術記事

メーカー紹介ページ  :  アナログ・デバイセズ社  

おすすめセミナー/ワークショップはこちら

アナログ技術セミナー情報はこちら

お問い合わせ

本記事に関してご質問がありましたら、以下よりお問い合わせください。

アナログ・デバイセズ メーカー情報Topへ

アナログ・デバイセズ メーカー情報Topに戻りたい方は、以下をクリックしてください。