本記事は、アップデートされた LTspice 24 について、どのような内容が追加・改善されたのか確認し、追加された一部の内容・機能について説明します。
チェンジ・ログを見てみると、大項目として12項目あげられています。この記事では、追加改善された4つの項目の中からチェンジ・ログ、シミュレーションの高速化、周波数応答解析の強化とコンポーネント・ライブラリーとAppDataについて説明させて頂きます。
さらに詳しく変化内容をセミナーで知りたい方は、「LTspice 24は、何が変わったのか?」というセミナー用意しましたので参加をご検討ください。
最後のアンケートに回答頂くと、LTspice Helpにあるセッティングスの補足資料をダウンロード頂けます。資料を入手したい方はこちら。
LTspiceのチェンジ・ログ
旧バージョンでも、アップデートの内容を確認するには、チェンジ・ログを見ることで確認できました。 LTspice24 では、このチェンジ・ログに関しても変更が入りました。元々は LTspiceの変更点と提供されるデバイスモデルの変更点は、同じチェンジ・ログで管理されていました。LTspice24 からは、LTspice とデバイスモデルのチェンジ・ログが分かれて表示されるようになったので、変更点が見やすくなりました。
図1がチェンジ・ログを表示させた内容です。モデルのチェンジ・ログが上でLTspiceのチェンジ・ログ下になります。 こちら LTspice のチェンジ・ログを見ることでバージョン24の変更点も確認することが可能です。

バージョン 24.0.0 の部分に書かれている変更・改善内容の大項目は次の通りです。詳細は、チェンジ・ログを直接確認して頂ければと思います。この中からいくつか何を改善したかなど、内容を説明させて頂きます。
* シミュレーションの高速化と一貫性の向上
* ユーザーインターフェースの変更
* trtolの設定値を2に変更
* 周波数応答解析の強化
* 波形ビューアーの改良
* ダイアログの改善
* 新しい分析設定ツールバーボタンとショートカット("A")
* Shift + 左クリックでコメント/指示を切り替える
* コンポーネント・ライブラリーとAppData
* LTspiceの改善に役立てるため、匿名の利用状況分析を共有
* SPICE ログファイルの改良と合理化
* ユーザビリティーの向上
シミュレーションの高速化と一貫性の向上
シミュレーションの高速化がおこなわれているようです。LT8609S の JIG回路を使用して確認してみました。LTspice XVII では、約24秒かかっていた内容が LTspice24 では、約14秒と40%ほど早くシミュレーションが終了しました。PCのスペックやモデル、回路内容や解析方法などにより高速化の割合などは変わると思いますが、早くシミュレーションが実行できていることは確認できました。

周波数応答解析の強化
周波数応答解析 (FRA) の強化ですが、すでに LTspice XVII でも FRA コンポーネントの追加がおこなわれていましたが、新たに 4端子のコンポーネントも追加されました。これにより、μModule モデルの周波数応答解析もおこなうことができるようになりました。
こちらのシミュレーションは、Educationalフォルダーにサンプルとして保存されている内容です。実行したい方は、Educationalフォルダー内のFRAフォルダーからサンプル回路を開いて実行してみてください。

コンポーネント・ライブラリーとAppData
LTspice XVII を使用していた多くのユーザーが、 LTspice24 をインストール後使い始めて、このコンポーネント・ライブラリーの変更に戸惑ったのではないかと思います。
まず、LTspiceXVII と LTspice24 は共存できるように、インストール先が分かれていることに注意してください。これにより分かることは、元々インストールしてあったLTspiceXVII 上に LTspice24 が上書きインストールされたわけではないため、使用するライブラリーの保存場所なども異なっています。したがって、今までユーザーがLTspice XVII で追加していたライブラリーに登録したダイオードなどのコンポーネント情報は、LTspice24 からは呼び出すことができません。
LTspiceXVII では、図4のようにドキュメント内にLTspiceXVIIフォルダーとコンポーネント登録用のライブラリーがあり、ユーザーも追加登録が許可されていました。LTspice24 からは、ユーザーが標準ライブラリーへのコンポーネント追加は禁止となっています。保存しようとすると、保存しないようにポップアップで注意を促します。

LTspice24からは、ユーザーライブラリー機能が追加されました。ディレクトリー [ C:\Users\ユーザー名\Documents\LTspice ] の中にコンポーネント・ライブラリーファイル(user.dio、user. mos、user. res、user. cap、user. ind、user. bead、user. jft、user. bjt)を作ってユーザーの必要な追加部品を登録することができます。
ユーザーライブラリーは、セッティングスの中にSearch Pathsとしてディレクトリーがデフォルトで設定されています(図5)。ディレクトリーを変更したい場合は、こちらで所望のフォルダーに変更してください。
また、サードパーティーのコンポーネントの *.lib (ライブラリーファイル) や *.asy (シンボルファイル)も、こちらのディレクトリーに登録して使用することが可能です。私は、subとsymと言うフォルダーを作成して、ディレクトリーをSearch Pathsに図5のように登録して使用しています。

セッティングスの補足資料ダウンロード
LTspiceヘルプ内のセッティングス解説の補足資料が、アンケートにご協力いただければダウンロード可能です。アンケート記入後、補足資料ダウンロードURLをメールにて送付させていただきます。また、今後、こんなセミナーを実施して欲しい、こんな技術資料が欲しいなど、ご要望がありましたらアンケートの自由記述欄にご意見ください。皆様のご意見をもとに、お役に立てるようなセミナーの実施、技術資料の提供をしたいと考えています。
最後に
LTspice24の変更点に特化して知りたい方は、「LTspice 24は、何が変わったのか?」というセミナーを用意しましたので受講をご検討ください。
まだLTspiceを使ったことがない方は、下記のリンクよりLTspiceをダウンロードしてみてください!
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