前回の記事 LTspiceを使ってみよう-「FFT」を使って周波数分析! では、ビヘイビア電圧源(BV:Behavioral Voltage Sources)を使い、「3種類の電圧源を組み合わせた回路(加算器)」を題材にしてFFT解析の説明をさせていただきました。 今回は、ビヘイビア電圧源(BV)の使い方をご紹介させていただきます。

もしLTspiceを今から始められる方でしたら、以下の一覧から「基本編」を見ることをお勧めします。 

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ビヘイビア電圧源って何ができるの?

ビヘイビア電圧源を使うことで、Excelや関数電卓で利⽤できるような関数、算術演算子を信号源に組み込みことができます。また、複数の電圧源や電流源と組み合わせて加算器や複雑な信号のモデルを作ることもできます。

なお使用可能な関数、算術演算子についてはLTspiceの[Help Topics]から "B. Arbitrary behavioral voltage or current sources." の欄をご参照ください。

使い方の説明

ビヘイビア電源の使い方を「パルス波形と正弦波を組み合わせた信号」を例にして説明していきます。

まず "Select Component Symbole" のダイアログボックスの中で "bv" を選択します。

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図1:部品ダイアログボックスで" bv"を選択

次に "V=F(...)" となっているところに直接式を打ち込みます。
コンポーネンツ(B1)のところにカーソルを合わせて右クリック、もしくは "V=F(...)" の文字の上で右クリックでエディターが開くので "Value" のところに関数や演算子を用いて式を記述します。

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図2:ビヘイビア電圧源の”Value”に任意の式を記入

今回は "V = 0.5*SIN( 2*pi*1k*time)  + V(IN)" と記入します。

この式は「1kHzの周波数、0.5Vp-pの振幅をもった正弦波と独立電圧源で作ったPUSLE波形を’+’の演算子で足し合わせた波形」となり、結果は図3の通りとなります。

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図3:ビヘイビア電圧源でパルス波形と正弦波の合成波形を実現

このようにビヘイビア電圧源は、関数と演算子を使えるため任意の信号を作ることができます。
なお、式に「V=5」と設定すれば、独⽴型電圧源と同じように直流5Vの電圧が出⼒されます。

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図4:「 V=5 」で直流電圧源

ホワイトノイズ信号を作ってみよう!

ビヘイビア電圧源は様々な関数を使用することができます。ここではwhite(x)関数を使って疑似ノイズ信号
を発生させてみます。

Helpメニューの説明ページではwhite(x)関数の説明は下記となっています。
"Random number between -.5 and .5smoothly transitions between values even more smoothly than random()."

解釈すると、「0.5Vから-0.5V(つまり振幅は1Vp-p)の間でランダムな数値が得られ、rand()関数よりスムーズに乱数値を発生させる関数です」

早速ですが、シミュレーションで確かめてみます。

なお、whilte(x)のxには "2*pi()*f*time" と記述します。fは信号の発生周波数となります。ここではf=100kHzとしました。回路図とシミュレーション波形は図5の様になります。

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図5:white(x)関数

white関数により疑似的なノイズ信号をさせ、フィルター回路の検証などをトランジェント解析(時間軸解析)で行うなどの応用例が考えられます。

今回検証したLTspiceデモ・ファイル

SimulationFile__1.zip

今回実施した2つのシミュレーションファイルが格納されています。ぜひ、お試しください!

最後に

今回はビヘイビア電圧源を使いオリジナル波形の作り方をご紹介させていただきました!

まだLTspiceを使ったことがない方は、下記のリンクよりLTspiceをダウンロードしてみてください!
ぜひ、一度お試しください。

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