LTspiceとは
アナログ・デバイセズ社が無償提供するLTspice は、扱えるノード数が無制限の SPICE シミュレーターで、特にスイッチング・レギュレーターのシミュレーションは、他の SPICE シミュレーターに比べ飛躍的に高速化されています。
また回路・シンボルエディターおよび波形ビューワーを備えている他、豊富な受動部品のライブラリーに加え、非常に多くのアナログ・デバイセズ社製品のマクロモデルを有しており、定常状態検出、ステップ応答解析、および効率計算や電力計算などの高速シミュレーションをおこなうことができます。
本記事では、LTspice を使っている体験談を踏まえてインストール方法と LTspice を使用する上でのメリット紹介させて頂きます。
LTspice を始めるには?
ダウンロードとインストール
LTspice を使うにはまず、アナログ・デバイセズ社のオフィシャルサイトからダウンロードします。
ダウンロードは以下の様に簡単におこなうことができます。
1. アナログ・デバイセズ社の LTspice のページ(リンク)を開きます。
※ アナログデバイセズ社トップページからアクセスする方法。
設計リソース → 資料ライブラリー → 回路設計/設計ツール → LTspice
2. 「Windows 7、 8 、 10の64ビット版をダウンロード」 をクリック
3.「LTspice64.msi」 と言うインストーラーがダウンロードされるので、クリックしてPCへインストールしてください。
アップデート
■LTspice のアップデート
ダウンロードをおこなった後には、必ずアップデートを実施することをお勧めします。
まず、LTspice のアップデートをおこなうには、ツールバーの Help からアップデートを選択します。
「Help」→ 「Check LTspice updadtes…] と選択することで、LTspice のアップデートが開始します。
定期的にアップデートして使うようにしてください。
■コンポーネントのアップデート
アナログ・デバイセズ社の部品に関するマクロモデルやサンプル回路をアップデートするには、次の方法でコンポーネントアップデートをおこないます。
ツールバーの Tools からアップデートを選択します。
「Tools」→「Update components」と選択することで、最新のモデルが追加されます。
さっそくLTspiceを使ってみよう!
電気回路知識の習得に
LTspice を使えば様々な電気回路のシミュレーションをおこなうことができます。それは電気回路を学ぶ際にも有効です。
例えば RC で構成されるローパスフィルターのカットオフ周波数は、
fc = 1/(2πRC)
と教科書で学ぶと思います。
R=10kΩ、C=0.1uF のローパスフィルターを構成した場合のカットオフ周波数 fc は、
fc = 1/(2 x π x 10k x 0.1u) = 159.15Hz
と計算できますね。
これを LTspice を使って実際にシミュレーションすると以下の様になります。
計算通り!
利得が -3dB 低下したカットオフ周波数は、LTspice でも159Hzとなりました。
この様に理論を LTspice を使ったシミュレーションで確認できることで理解は更に深めることができます。
回路設計の事前検証に
またアナログ・デバイセズ製品を使い設計した回路を LTspice でシミュレーションすれば、設計通りの動作が実現できているか事前に確認・検証することができます。その一例を以下に示します。
例にあげた LT8614 は、3.4V~42Vの入力電圧に対し4A出力が可能な同期式降圧型レギュレーターです。このシミュレーション回路ならびに結果では、12V入力から3.3V/4A出力が得られていることが確認できます。
最後に
このように LTspice は、様々なアナログ回路の動作をシミュレーションにより確認することができます。ただし、シミュレーションで用いている周辺部品のモデルのパラメーターは、理想値を使用しているため、実機と差が出ることに注意が必要です。しかし、その特性を理解頂き、LTspice の豊富な機能を正しく使用頂ければ、作業効率などにおいて必ず大きな効果が得られます!
いかがでしたでしょうか?未だ LTspice を使ったこと無い方はぜひ、PC にインストールしてみてください。
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また、初心者向けの LTspiceセミナーも定期的に実施しています。LTspice の基本操作を習得できますので、あわせてご覧ください。
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