軽い、薄い、曲がる、塗れる!発電の概念を変える太陽光発電

ペロブスカイト太陽電池(Perovskite Solar Cells:PSC)は、桐蔭横浜大学の宮坂力特任教授が発明した、従来の太陽光パネルに代わる日本発の未来技術です。

軽く、薄く、柔軟性があり、塗布も可能で、少ない光量でも発電ができるため、いままで耐荷重の問題等で太陽光パネルを設置できなかった場所や、これまでにない使い方で発電が可能となり、脱炭素社会の実現、再生可能エネルギーの拡大を促進する次世代型太陽電池として注目されています。

 

マクニカは、環境省より「地域共創・セクター横断型カーボンニュートラル技術開発・実証事業」の採択を受けて、ペロブスカイト太陽電池の社会実装に向けて、令和5年度より技術開発・実証事業を開始しました。

 

実証事業「港湾などの苛烈環境におけるPSCの活用に関する技術開発(委託)」は、ペロブスカイト太陽電池の発明者である桐蔭横浜大学の宮坂力特任教授の指導の下、ペクセル・テクノロジーズ株式会社(本社:神奈川県横浜市、代表取締役社長:宮坂力)、株式会社麗光(本社:京都府京都市、代表取締役社長:岩井順一)と、マクニカの3社で推進いたします。

 

この実証でマクニカは、ペロブスカイトの利用環境の検討・検証と、統括役として事業の推進を行います。また、IoT、AIの社会実装経験を活かし、日本製ペロブスカイト太陽電池モジュールを用いたパワーユニットのシステム等を開発していきます。

 

 ■港湾などの苛烈環境におけるPSCの活用に関する技術開発(委託) ※環境省HPリンク(外部サイトへ移動します)

https://www.env.go.jp/earth/ondanka/cpttv_funds/pdf/db/253.pdf

 

本記事では、実証事業の概要についてご紹介します。

ペロブスカイト太陽電池を「どこでも電池」として広く社会実装

夏場の社内測定結果

 

大さん橋ぺロブスカイト社会実装実証事業

~脱炭素化を促進する新しいテクノロジーの横浜港実証~

ペロブスカイト太陽電池の実証事業

今回の実証事業は、観光地として知られる横浜市みなとみらい地区の横浜大さん橋で、一般の方の目に触れる場所で行います。

港に面した特性を生かし、塩害等の苛烈な環境下や、波打った屋根の上、より面積の大きい形状など、様々な条件下で実証を行うとともに、ペロブスカイト太陽電池の社会実装に向けた取り組みの認知向上を目指します。

課題と実証事業の目的

■現在太陽光パネルを設置できない90%の屋根で太陽光発電を実現可能とする

 

■ペロブスカイトの「発電効率20%」、「耐用年数15年」等を実現し、2025年度実用化を図る

 

■港湾の塩害環境下に適応し、かつ、設置が容易な製品を開発する

 → 港湾施設、船舶、トラック等の脱炭素化貢献するペロブスカイト製品の実用化を目指す

ペロブスカイト太陽電池の大さん橋設置実証予定時期

令和5年度~令和7年度の3年間にかけて、ペロブスカイト太陽電池の大さん橋設置実証を行います。

ペロブスカイト太陽電池の大さん橋設置実証予定時期
※情報は計画段階のものであり、今後変更が生じる可能性がございます。

令和6年3月 大さん橋実証

令和6年3月大さん橋実証範囲
※情報は計画段階のものであり、今後変更が生じる可能性がございます。

■実証の狙い
•ペロブスカイトを塩害等の苛烈環境で実証すること
•軽量/フレキシブルさを活用して交換容易性を持つ最適システムを構成すること
•先導技術として実証を周囲に示すこと

 

■実証場所の要件
•重塩害影響のある場所
•建物に曲面等がある場所
•交換検証のための作業がしやすい場所
•人は入れないが、よく人が見られる場所であること
•インシデント時の安全性、影響が出ない場所

■実証
実証場所  :大さん橋(横浜市港湾局所有)
指定管理者  :一般社団法人 横浜港振興協会
実施範囲:100㎡(5m×20m)

令和5年~7年 大さん橋実証(設置形状案)

ペロブスカイトの設置方法について検討・開発を行います。実証は以下のような場所で実施予定です。

現在検討中の設置形状は、貼り付けタイプ、大波スレートタイプ、幌タイプの3種類があり、いずれのタイプも、設置・交換・メンテ・撤去コストの大幅な低減が期待できます。
ジャンクションボックスは各タイプのパネルの表面に設置予定です。

※情報は計画段階のものであり、今後変更が生じる可能性がございます。

ペロブスカイト開発と社会実装の未来

ペロブスカイトの現状からの今後の開発製品スペック予測と社会実装展開予測を以下に示します。

ペロブスカイト太陽電池の実用化により、令和8年には大規模施設での実装、令和9年では街区や工場施設等エリアでの実装が予測されます。


※スペック、システム構成等の情報は、あくまで予測となります。

お問い合わせ

マクニカは、資源の地産地消を行う「循環型社会」の実現へ向けて、ペロブスカイト太陽電池の社会実装に向けた取り組みにより、脱炭素社会の促進に貢献します。

本実証事業に関しましては、こちらよりお問い合わせ下さい。

関連情報

■2024.03.29:プレスリリース

マクニカ、神奈川県及び宮坂力特任教授が代表を務めるペクセル・テクノロジーズと「脱炭素化促進のためのペロブスカイト太陽電池の社会実装に向けた連携協定」を締結~エネルギーの地産地消を推進し、脱炭素化を促進~

 

■2023.10.10:プレスリリース

世界中で開発競争が激化する、日本発の未来技術「ペロブスカイト太陽電池」、 発明者の宮坂教授とマクニカが、環境省実証事業で社会実装に向け始動。