鉄道事業における安心・安全・安定的な輸送サービス提供に貢献
環境負荷軽減に大きく貢献する高効率産業用LED照明「ShinyU」

背景

地元に欠かせない生活路線、観光路線として島根県のシンボルを目指す

1914年に一畑軽便鉄道(現・一畑電気鉄道株式会社)として運行を開始し、観光やレジャー、百貨店や建設、不動産業など幅広い事業を展開する一畑グループが運営してきた鉄道事業を継承する分社型新設分割を経て、2006年に誕生した一畑電車株式会社。
島根県東部の電鉄出雲市駅から松江しんじ湖温泉駅をつなぐ北松江線と川跡駅から出雲大社前駅を結ぶ大社線の2路線を運営しており、通勤通学など地元に欠かせない生活路線として、そして出雲大社や一畑薬師への参詣鉄道として多くの方が利用している。

2019年の輸送実績は145万人を数えており、コロナ禍以前は出雲大社詣でを中心にインバウンド需要も拡大するなど、多くの観光客が世界中から訪れる路線の1つとなっている。
現在は、島根県、松江市、出雲市で構成する一畑電車沿線地域対策協議会から支援を受けており、安心・安全・安定的な輸送サービスを提供しながら、島根県の観光資源への郵送路として観光事業者を手助けできるよう、島根県のシンボルの1つとなるべく鉄道事業を運営している。

課題

鉄道運転事故防止に向けた安全対策に必要な検査場の照度を確保したい

鉄道事業を営む同社だけに、鉄道運転事故を防止するための安全対策を最優先課題に据えており、社内で対策本部を立ち上げて、チェック機能の強化や安全優先の意識を全社員に醸成していくための環境づくりへの積極的な取り組みを進めている。

「月1回開催される安全に特化した委員会を開催して課題の洗い出しを行ったうえで改善に向けた活動を行っています。また、事故対応訓練を年1回開催することで社員の意識向上を図るなど、安全を最優先事項として念頭に日々の業務を行っています」

と説明するのは技術部 車両課 井上大輔氏だ。
なかでも車両課では、グループワーク形式にて社員同士が意見を出し合いながらリスクアセスメントを行っており、危険の兆候となりうる案件の共有を実施している。

また安全対策に大きく貢献する車両点検整備においては、視覚や聴覚、打音、測定などさまざまな観点をもとにした検査が実施されているが、そのなかでも大半を占めるのが車両を目で見てくまなく点検する視覚的なアプローチだ。

「電車の構造は、車両下の台車ブレーキ装置も含めた部分が非常に重要な部分で、台車に少しでも亀裂があればすぐ脱線につながってしまう恐れも。それを発見するためには、車両を目視で確認する目検が必要ですが、なかでも照明の明るさが重要なポイントになってきます」

と井上氏は説明する。

選定

環境に配慮しながらコストパフォーマンスの良いLED化に最適

実は1998年以降複数の事業者にて台車の亀裂が発見されたことを受け、2001年9月に台車枠の検査箇所の指定や検査方法などを定めた「台車枠の検査マニュアル」が国土交通省にて策定されている。
その後、2017年に新幹線の台車枠に大きな亀裂が見つかるなど事故につながりかねない重大インシデントが発生し、最適な台車枠の亀裂対策に向けた「台車枠の検査マニュアル」改正が行われた。

「この改正マニュアルのなかで目視検査の方法が示されており“試験表面の明るさは最低350ルクスとする。ただし、500ルクスが望ましい”という指針が示されたのです」

と井上氏。
そこで、目視検査に必要な照度を確保するべく、新たな照明に切り替えることになったのだ。

一方で、鉄道事業を推進するなかで発生する二酸化炭素の排出削減など、環境保全活動にも積極的に取り組んでいる関係から、環境に配慮した新たな照明設備の導入を検討することに。
そこで注目したのが、すでに客室内の室内灯に採用していたLED照明だ。

「バスや電車の利用を進めて自動車の使用をおさえるパークアンドライドなどの取り組みにも参加しながら、一度使った電気を再度ブレーキに生かす回生ブレーキの導入など、二酸化炭素の排出削減につながる活動を行ってきました。その活動の一環として室内灯にLED照明を活用していたこともあり、検査場への照明についてもLED化を進めることにしたのです」

と井上氏は説明する。

そこで白羽の矢が立ったのが、マクニカが提供する高効率産業用LED照明「ShinyU」だった。

「熱伝導プレートと呼ばれる放熱プレートを使用した照明というものに初めて触れ、技術面で興味を持ったのがきっかけです。話を聞いてみると、コスト的にも安価で高効率、そして長寿命であることからランニングコスト的にもメリットが大きいことが分かったのです」

と井上氏。
安全を最優先に掲げる同社に必要不可欠な環境づくりに貢献しながら、省エネにも大きく役立つShinyUを高く評価したという。
特に熱衝撃に強いホウケイ酸ガラスの光学レンズを使用しているため、薬品による影響やほこりなどの付着が最小限におさえられるなど過酷な環境でも性能の衰えが少ないだけでなく、防水仕防塵レベルも標準品でトップレベルのIP68であるためにメンテナンスも容易だと判断。
最終的に同社の検査場に設置する照明として、マクニカの「ShinyU」が採用されたのだ。

現状運用

節電意識の醸成に寄与、安全点検のための環境づくりに貢献

これまで水銀灯で照度を確保してきた車両点検を行うスペース全体の照明設備をShinyUに切り替え、台車枠の検査マニュアルに適した、日々の安全点検のための環境づくりに役立てている。

「以前と比べて検査場が明るくなり、悪天候の日や夕方以降であっても効率的かつ確実に点検作業ができるようになりました。個人的には目の疲れが以前よりも軽減された印象です」

と井上氏は評価する。
明るくなるまで時間のかかる水銀灯の時代にはできなかったこまめな電源の入り切りが可能になり、節電の意識が従業員にも根付いてきている点も見逃せないポイントだ。

今回ソリューションを提供したマクニカも、鉄道という人の命に係わる重要なインフラを維持するための仕組みの一端を担っているという意識のもと、照度の維持はもちろん、その環境が何年にもわたってキープできる状況が作り出せるよう、シミュレーションを重ねて現場に展開している。

「現場からも以前に比べて環境改善に大きく役立っているという声が寄せられています」

と井上氏は評価する。

ShinyU LEDを設置した点検施設の様子

今後

ピット内の照度確保などさらなる安全環境の整備に役立てたい

今回は検査車場、及び車両点検整備場の照明設備を新たに刷新しているが、今後は車両下の点検を行うピット内の構造自体の改修に取り組んでいく過程で、ピット内の照度も確保していきたいという。

「ピットの構造が変わって明るさが確保できるようになれば、点検の正確性がより高まります。当然鉄道運用の安全面にも大きく寄与することになるため、ぜひ取り組んできたい」

と井上氏。
また、安全面は配慮しつつも、業務の効率化やランニングコストの削減は常に求められている部分だ。

「コスト削減については進めていきながら、今後は労働環境改善につながるような設備を導入することで、労働災害の削減にもつながってきます。そんな環境づくりに貢献できる設備があれば、ぜひ提案いただきたい」

と今後について語っていただいた。

 

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