電源ドック技術担当の佐々木です。
このコラムでは、色々なお客様サポートの中で複数回遭遇した、電源に関する不具合事例をご紹介していきたいと思います。
お客様から、FPGA のコア電圧の電源回路設計について、問い合わせがありました。
電源の出力精度と分圧抵抗精度の関係
初めて基板設計担当になりまして、FPGA のコアの電源回路と電圧精度を見直して いたのですが 、この回路で ±30mV は無理だなと思い問い合わせました。
電源 IC のリファレンス電圧の精度が良くないのですか?
いいえ、リファレンス電圧の精度は 1% です。
高精度の電源 IC を選定していますね。だとすれば、問題ないと思いますが。
それはそうなのですが・・・
何か腑に落ちない点があるのですか?
実は、出力電圧を決定する分圧抵抗として 1% 精度の抵抗を使っているのですが、その場合、 抵抗を 2個を使うと +/-1% で最大 2% の誤差になりますよね?
リファレンス電圧で 1% ズレるとすると最大 3% になり、1.0V x 3% = 30mV となってしまいます。。。
今のままで大丈夫ですよ。
きちんと計算してみると、電圧精度が ±30mV 以内になることが確認できますよ。
え?!本当ですか?!
E96 系列の抵抗を使った場合、分圧抵抗 301KΩ と 75KΩ で設定される出力電圧の 値は 0.9993V となります。
+1% と -1% の誤差の抵抗を使ったとすると 0.99538V となり、1V に対して 4.6mV の誤差となります。
電圧の計算方法
本当ですね!
あとは、この誤差にリファレンス電圧の 1% 誤差分の 10mV と、
温度特性を含めた バラツキやラインレギュレーション、ロードレギュレーションを加味するのですが、
選定したデバイスであれば確実に 30mV 以内に入っているので大丈夫ですよ。
ありがとうございます。安心しました。
ところで、ラインレギュレーション、ロードレギュレーションってなんですか?
FAQ に説明を載せてあるので、そちらを参考にしてください。
はい、分かりました。あ、うちの会社E96系列の抵抗使えたかな?
頑張って交渉していただいて使用できるようにするか、複数抵抗で上手く電圧のセンター値を 1.0V に追い込んでください(笑)
分かりました。頑張ります!!
今回のポイント
感覚で判断するのではなく、手計算で確認することが重要。
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