相互容量方式のセンサボードを使ってチューニングしてみよう

CapTIvate タッチ感度をGUIで簡単チューニングでは、自己容量方式のセンサボード(CAPTIVATE-BSWP)を例に紹介しましたが、今回は、水滴付着時でもタッチの検出が容易な「相互容量方式」に対応したセンサボード(CAPTIVATE-PHONE)を紹介します。

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相互容量方式対応のCAPTIVATE-PHONEセンサボード

水の付着と指のタッチを区別できる相互容量方式

自己容量方式と相互容量方式のおさらいです。

自己容量方式は、電極の構造が単純で感度が良いことからタッチパネルの導入が容易と言われていますが、一方で、指のタッチのかわりに電極に水が付着した場合も容量増加が生じるため、水の付着時に指のタッチによる容量増加との識別が困難であるという課題が知られています。

相互容量方式では2つの電極間の電磁界の状態変化によってタッチを検出しています。
ここに水が付着した場合は、電極間容量が増えますが、ここに指が近づいた場合は、電磁界の一部が指で遮られ、電極間の容量は減少します。このような仕組みで、水の付着と指のタッチを区別することが可能となっています。

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相互容量方式タッチセンサの動作イメージ

相互容量方式タッチセンサの電磁界の状態を もう少し詳しく説明します。

  1. 非タッチ時:CapTIvate-IP搭載マイコンが送信電極(Tx)と受信電極(Rx)間の電極間の静電容量を算出します。
  2. 水滴付着時:水滴の付着により、送信電極(Tx)と受信電極(Rx)結合が密となり、電極間の静電容量は増加します。
  3. タッチ時:タッチにより電磁界の一部が指に遮られ送信電極(Tx)と受信電極(Rx)の一部が疎となり電極間の静電容量は減少します。
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注)本図は静電容量の変化を表現したイメージ図です。

評価ボードで動作を確認してみよう

具体的なチューニング方法を説明する前に、各状態で現在のセンサ電極間の静電容量に相当するカウント値がGUI上でどう変化するかを示します。

1. 非タッチ

非タッチ状態でタッチセンサの動作を確認します。
下図ではCAPTIVATE-PHONEのボタン1に対応するCH3の青棒グラフは左のメモリで約298であることが確認できます。

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2. 水滴付着

水滴を付着させてタッチセンサの動作を確認します。図のようにCAPTIVATE-PHONEのボタン1に水滴を付着させた場合、静電容量は増加、その結果、カウント値の減少を確認できます。

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[補足]
CAPTIVATE-PHONEセンサボードでは、複数センサ誤動作防止検知用のガードチャネルのレイアウトが実装されており、水滴がセンサ部をはみ出した場合、カウント値の減少が観測できないことがあります。


3. 指タッチ

水滴の上から指でタッチすることで、静電容量が減少し、カウント値は増加、TouchThresholdに達したことでタッチを認識します。また、CAPTIVATE-PHONEセンサボードには、触覚フィードバックとしてハプティクスのドライバIC とアクチュエータが実装されており、タッチ時にハプティクスアクチュエータの振動で応答しますので、ブルブルっと触覚フィードバック反応を確認できます。

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水の付着時と指タッチ時の変化が異なるのでタッチの検出が容易

水滴が付着すると静電容量が増加し、カウント値は減少。水滴の上から指でタッチすると静電容量が減少し、カウント値は増加。ちょっとややこしいですが、水滴付着によるカウント値の変化と指でタッチした時のカウント値の変化が異なるので、水の付着時でもタッチの検出が容易に実現できます。

操作手順については、CapTIvateで水気タッチのチューニングをしてみよう その2で記載します。

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ガードチャネルって?

本文中に出てきたガードチャネルとは、タッチセンサ周囲に自己容量方式センサ電極をレイアウトすることで導体(手の接近や水の付着)を検出し、センサ応答時の動作を停止させ、タッチセンサの誤動作を防止する仕組みのことです。CAPTIVATE-PHONEセンサボードには、下図の黄色部の様にガードチャネル用のレイアウトが施されています。

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