新開発のGタイプパッケージ採用製品がラインナップに追加

シリコン半導体に代わる次世代の低損失素子として期待されるSiC(シリコンカーバイト)は、日々、進化しています。

ローム社では世界に先駆けてSiCパワーデバイスとモジュールの開発に取組んできましたが、今回、インダクタンス容量わずか10nH、低熱抵抗を実現した新開発Gタイプパッケージを採用したフルSiCパワーモジュールがラインナップに加わりましたので紹介します。

大電力アプリケーションに最適、高定格電流400A、600A品が追加

ローム社のフルSiCパワーモジュール、BSMシリーズに高定格電流400A、600A品がラインナップに追加されました。これにより、産業機器用の大容量電源やメガソーラー、UPSなど、更なる大電力アプリケーションへの検討が可能になります。

SiCモジュール ラインナップ
品  名 絶対最大定格(Ta=25℃) インダクタンス
(nH)
パッケージ サーミスタ
VGS
(V)
ID (A)
[Tc=60℃]
Tj max
(℃)
Tstg
(℃)
Visol (V)
[AC 1min.]
BSM080D12P2C008 -6~22 80 175 -40~125 2500 25 C type
45.6 x 122 x 17mm
-
BSM120D12P2C005 120
BSM180D12P3C007 -4~22 180
BSM180D12P2E002 -6~22 180 13 E Type
58 X 152 X 17mm
BSM300D12P2E001 300
NEW
BSM400D12P3G002
-4~22 400 10 G Type
58 x 152 x 17mm
NEW
BSM600D12P3G001
600

400A、600A品が追加できた2つの理由

1. インダクタンスの低減

電流定格が大きいパワーモジュールは、パッケージの寄生インダクタンスによるスイッチング時のサージ電圧が非常に大きくなります。フルSiCパワーモジュールの大電流化に際しては、SiCパワーデバイスの特長である高速スイッチング性能を最大限に活かすためにも、このサージを低く抑える寄生インダクタンスを低減する必要があります。

新しく開発されたGタイプパッケージは、内蔵するSiCデバイスの配置や配線パターン、端子構造などを最適化することで、従来のパッケージ(Eタイプ)と比較して、パッケージの内部インダクタンスが約23%低減されています。

これにより、従来パッケージに対してサージ電圧を27%低く抑えることができ、400Aおよび600A定格のフルSiCパワーモジュールが製品化されました。加えて、同等のサージ電圧条件下では、新パッケージによりスイッチング損失を24%低減することが可能です。

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低インダクタンスによりサージ電圧、スイッチング損失を低減

2. 熱抵抗の低減

もう一つの改良点として、冷却機構への接合性を向上させるため、独自処理にてパッケージ放熱面の平坦性を大幅に向上させています。600Aの大電流化を実現するには、内部インダクタンスの低減に加え、高い放熱性能も必要になります。

Gタイプパッケージでは、モジュールの放熱性能に大きく寄与するベースプレート部分の平坦性を向上させることにより、ベースプレートと外付けの放熱器や冷却機構間の熱抵抗を57%削減されています。

このことは、ケースとお客様が使用する際のフィンとの間の熱抵抗を低減することになります。

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熱抵抗57%低減を実現

アプリケーション例

  • 産業機器のパワーインバータ
  • 太陽光発電のパワーコンディショナー
  • モータドライブ
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アプリケーション例

最後に

次世代の低損失素子として期待されるSiC(シリコンカーバイト)。
ローム社は世界に先駆けてSiCパワーデバイスとモジュールの開発に取組んでいきますのでご期待下さい。

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