電源ドック技術担当の佐々木です。
このコラムでは、色々なお客様サポートの中で複数回遭遇した、電源に関する不具合事例をご紹介していきたいと思います。
開発中のボード上の電源回路について相談したいと、お客様から問い合わせがありました。
使用可能なピンか確認しましたか?

FPGA 回路用の DC/DC コンバーターは弊社 FAE がサポートし、問題無く動作していると聞いていますが、電源回路で問題がありましたか?

はい。おかげさまで FPGA の回路は問題無く動作しています。
今日、相談したいのは電源 IC のことではないのですが、よろしいでしょうか・・・?

はい、私で分かる内容であればお答えしますよ。

ありがとうございます。
実は、FPGA と一緒に基板上に搭載しているマイコンについて相談があります。
使用しているマイコンには INTVCC というピンがあります。
これはマイコン内部で使うレギュレーターの 3.3V 出力ピンなのですが、現在この 3.3V を外部の小規模ロジック回路に使用しています。
しかしボードによっては 3.3V が正常に出力されず、マイコンが誤動作してしまうのです。


その INTVCC ピンの出力 3.3V は、外部回路でも使用可能とデータシートに記載がありましたか?

いいえ、記載はありませんでしたが、数十mA なので問題無いかと思い使っていました。

データシートに記載が無い場合は、使用しない方が良いですよ。

でも、せっかく 3.3V が出ていて、レギュレーター1個分のコストも抑えられるので諦めきれないです・・・。
なぜ使ってはいけないのですか?

内部レギュレーターのほとんどは、IC 内部のバイアス回路用の非常に小さな電流値に対応するためのものです。
だいたいの場合はロジック回路を動作させることも厳しいです。
一応、メーカーに確認しても良いと思いますが、推奨できないことが多いので期待しないでください。

・・・。なぜメーカーは使用できない電源の出力ピンを用意しているのですか?

内部レギュレーターの出力を IC ピンとして外部に出している理由のほとんどは、 ノイズ低減用のコンデンサーを配置するためです。
内部でノイズ除去用のコンデンサーを作るとシリコンのチップ面積が大きくなってしまいコストアップになってしまうので。
内部レギュレーターは使わずに、きちんと専用の電源を配置することをお勧めします。

そうなんですね。次回の改版で専用の電源を置くようにします。
今回のポイント

内部回路用レギュレーターの出力ピンは、外部回路用の電源としては使用できないことが多い。使用を検討する場合は必ず製品のデータシートを確認する。
(推奨でないのに使用すると、トラブルの原因になります。使用しないでください。)
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